神速の成長チート! ~無能だと追い出されましたが、逆転レベルアップで最強異世界ライフ始めました~

雪華慧太

文字の大きさ
16 / 82

16、食材の香り

しおりを挟む
 レイラは仲間たちが来たときに困らないように倉庫の壁に仲間への伝言を剣で刻んだ後、再び狼の姿に変身する。
 そこには、少しだけここを離れるが直ぐに帰ると書かれていた。
 ククルは何度見ても驚くのか、その姿に声を上げた。

「ふぁ! レイラお姉ちゃん、また狼になったです!」

 それを聞いてレイラは笑う。

「ええ、この方が鼻が利くのよ。食材探しするなら、やっぱり鼻は大事だからね」

「へえ、確かにそんな気はするよな」

 ナナは少し心配そうに言う。

「でも、せっかく食材見つけても、何だかレイラに全部食べられそうね」

「はう、レイラお姉ちゃん沢山食べそうです!」

 ククルも大きく頷いた。
 それを聞いてレイラが心外だって顔をした。

「ちょっと、いくら何でもこの姿のまま見つけた食材をいきなり食べたりはしないわよ」

「はは、そりゃそうだ」

 何しろこのサイズだ、ナナやククルが心配したように全部食べられちまいそうだもんな。
 昨日なんてククルにあの悪党たちを食べちまったと思われてたんだから。

「そうだ。手ぶらでいくのも何か見つけた時に困るよな」

 俺は地面にあるものの絵をかいて眺める。

「まあ、こんな感じか」

 そして、昨日倉庫を作った時に少し余った板を手に取った。
 ナナが不思議そうに俺を眺める。

「何するの? 裕樹」

「ああ、見つけた食材を運ぶ入れ物を作ろうと思ってさ」

 先程から俺は職業を大工と剣士に変えている、その板から木製のカバンを二つ切り出した。
 本当は布で作るのがいいんだろうけど、その代用だ。
 手提げバッグみたいな形で、きちんと取っ手部分も作ってカバンの本体と組み上げた。
 丁寧に加工し、持ちやすいような形に工夫はしてある。

「ほら、ナナ。この木製のカバンに、見つけた食材を入れて運べば便利だろ?」

「そうね! 頭いいじゃない裕樹」

 レイラに案内してもらって見つけた食材を、俺やナナが運べばいい。
 まるで売り物みたいに綺麗に切り出された木製のバッグを見て、レイラが呆れ顔で言う。

「はぁ、まったくユウキってば本当に器用よね。あれだけの剣の腕を持ってる戦闘職なのに、こんなこと出来る人みたことないわ」

「はは、まあ色々事情があってさ」

 本当は戦闘職だけじゃなくて生産職も使ってるんだよな。
 話しても急には信じてもらえそうにないけどさ。
 ナナもすっかりこの入れ物が気に入ったようだ。

「へえ、これなら取っ手もついてるし軽くて持ちやすいわ! それに木のカバンなんて可愛いし」

「だろ?」

 ナナが大喜びでカバンを持ってクルリと回ると、ククルが指をくわえてナナを見つめている。

「はう……ククルも欲しいです。木のカバン可愛いのです!」

「そっか、ククルも欲しいのか。分かったククル用のを作るからな」

 食材は俺とナナで運ぶつもりだったけど、ナナの姿を見てたら欲しくなったんだろうな。
 俺はまだ残っている木材を手に取るともう一つカバンを作る。
 取っ手をつけたそのかばんの横には、ククル専用に印をつけておいた。

「ほら、出来たぞ! ククル」

「はう! 凄いのです! ククルのお顔がついてるのです!」

 カバンの横に刻まれた印はククルの顔のマークだ。
 俺たちのものよりも小さく作ってククルに持ちやすくしている。
 ククルは大喜びで俺のまわりを走り回る。

「可愛いのです! ククルの宝物にするのです!」

「はは、そっか」

 こんなに喜んでもらえると嬉しいよな。
 作った甲斐があるというものだ。
 ナナは喜んでいるククルを優しく見つめながら少し頬を膨らます。

「私のは?」

「……はいはい、ちょっとそれ貸してくれよ」

 俺はナナのカバンにもマークをつけてやる。
 まったく子供っぽいところがあるよなナナは。

「はぁ! 可愛い」

「ククルとお揃いなのです!」

「そうね!」

 目を輝かせる二人。
 まあいいか、喜んでくれてるんだし。

「さあ、準備も出来たし出かけようか」

 レイラも張り切っている。

「じゃあついてきて、早速朝食探しよ!」

 俺たちは頷く。

「ああ」

「はいです!」

「お~!」

 俺たちは早速森の中に入っていく。
 銀狼姿のレイラの鼻は大したもので、すぐに一つ目の食材を見つけた。
 大きなキノコだ。

「うお! でかいな」

 思わず声を出してしまった。
 元々落ち葉と土の中に埋もれていたんだけど、レイラの嗅覚で探り当てたそれは、なんだか松茸に似ている。
 それに見事なサイズである。
 松茸よりも一回りは大きい。
 しかもそこに三本並んで埋もれていた。
 レイラはくんくんと匂いを嗅ぎながら尻尾を振った。

「ついてるわね、いきなりこんなものが見つかるなんて。しかもこんなに大きいし! ギルドに引き取ってもらったら、結構高く売れるんだから」

 一方でナナは少し疑わしそうにキノコを見つめる。

「毒キノコじゃないわよね? えっと、【マルルナタケ】……『マルルナの木の傍にしか生えない珍しいキノコ。その味と香りは最高で高級食材として珍重される。特に獣人や一部の獣はその香りをとても好む』か。大丈夫のようね。よく見ると美味しそうじゃない!」

 ナナの奴、鑑定眼を使ったな。
 ククルも嬉しそうにくんくんと匂いを嗅いで、キノコを一つ手に取るとバッグに入れる。
 俺とナナも一つづつ取ってカバンにいれた。

「とってもいいにおいがするです! 早く食べたいのです」

「はは、確かにな。でもキノコだけじゃ少し物足りないか」

「はう!」

 レイラもこのきのこの匂いが好きなんだろう、俺のカバンに入ったマルルナタケの匂いを堪能していた。
 ナナは大きく背伸びをしながら言った。

「でも、意外と楽しいものね! こうして食べるものを探すのって」

「はいです!」

 ククルもそう言って尻尾を立てた。
 それにしても、森の中で食材探しか。
 そんなこと考えもしなかったよな。
 元の世界なら、スーパーやコンビニだってあるし。
 山や森で食材を確保するなんて、猟師とか狩人って感じだ。

「ん? 狩人か……」

 そういえば、選べる職業の中に狩人っていうのもあった気がする。
 せっかくだ、試してみるか。
 朝食探しに役に立つかもしれない。

「ステータスオープン!」

 俺はすっかり食材探しにはまって辺りを探索しているナナやククルを尻目に、そう唱えていつものパネルを開ける。

「やっぱりあった、狩人か」

 俺はそう思って、剣士をマスタージョブにしたままメインの職に狩人を選んだ。
 レベルダウンするといつものように俺の体が淡く光って、それを繰り返すとカンストした。
 そして狩人のステータスを確認しようとしたとき、暫く俺の傍できのこの匂いを堪能していたレイラが鋭い口調で声を上げる。

「何か来る! ナナ、ククル! 離れたら駄目よ!!」

 俺も職業変更をしていて少し油断していた。
 その瞬間、森の奥から凄まじい勢いで巨大な何かがこちらにやってくるのが見えた。
 それは、ナナとククルの方へ一直線に向かっていく。

「ドリルホーン! ナナ、ククル、そのかばんを捨てなさい! マルルナタケの匂いを嗅ぎつけたのよ」

 それは一本角を持つ巨大な猪だ。
 落ち葉と土の中に埋もれていたそれを掘り出したから、その匂いにつられてやってきたのだろうか。 
 だとしたら凄い嗅覚だ。
 それに聞いていた話よりもデカい!
 狼の姿のレイラに引けを取らない大きさは、まるで山の主だ。

「大きい! こんな大物がこの森にいるなんて!!」

 レイラはもう、うなり声を上げてそいつに向かって駆けだしている。
 ナナとククルはあまりのことにかばんを捨てるどころか、ギュッと握りしめて立ち尽くしていた。
 あんな奴に、体当たりされたら二人とも死んじまう!
 ましてやあんな角で貫かれたりでもしたら。
 俺は背筋が凍りついた。

「ナナ、ククル! うぉおおおおお!!」

 俺は、剣を手に猛烈な勢いで駆けだしていた。
しおりを挟む
感想 37

あなたにおすすめの小説

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?

桜井正宗
ファンタジー
「アウルム・キルクルスお前は勇者ではない、追放だ!!」  その後、第二勇者・セクンドスが召喚され、彼が魔王を倒した。俺はその日に聖女フルクと出会い、レベル0ながらも【レベル投げ】を習得した。レベル0だから投げても魔力(MP)が減らないし、無限なのだ。  影響するステータスは『運』。  聖女フルクさえいれば運が向上され、俺は幸運に恵まれ、スキルの威力も倍増した。  第二勇者が魔王を倒すとエンディングと共に『EXダンジョン』が出現する。その隙を狙い、フルクと共にダンジョンの所有権をゲット、独占する。ダンジョンのレアアイテムを入手しまくり売却、やがて莫大な富を手に入れ、最強にもなる。  すると、第二勇者がEXダンジョンを返せとやって来る。しかし、先に侵入した者が所有権を持つため譲渡は不可能。第二勇者を拒絶する。  より強くなった俺は元ギルドメンバーや世界の国中から戻ってこいとせがまれるが、もう遅い!!  真の仲間と共にダンジョン攻略スローライフを送る。 【簡単な流れ】 勇者がボコボコにされます→元勇者として活動→聖女と出会います→レベル投げを習得→EXダンジョンゲット→レア装備ゲットしまくり→元パーティざまぁ 【原題】 『お前は勇者ではないとギルドを追放され、第二勇者が魔王を倒しエンディングの最中レベル0の俺は出現したEXダンジョンを独占~【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得~戻って来いと言われても、もう遅いんだが』

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。

克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作 「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位 転生者のブルーノは絶大な力を持っていたが、その力を隠してダンジョンの荷役として暮らしていた。だが、教会の力で勇者を騙る卑怯下劣な連中に、レットドラゴンから逃げるための生贄として、ボス部屋に放置された。腐敗した教会と冒険者ギルドが結託て偽の勇者パーティーを作り、ぼろ儲けしているのだ。ブルーノは誰が何をしていても気にしないし、自分で狩った美味しいドラゴンを食べて暮らせればよかったのだが、殺されたブルーノの為に教会や冒険者ギルドのマスターを敵対した受付嬢が殺されるのを見過ごせなくて・・・・・・

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます

なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。 だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。 ……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。 これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。

処理中です...