彼女の本音は下着に宿る

谷地雪@第三回ひなた短編文学賞【大賞】

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地味で弱気な彼女の場合

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「田中さん、ごめん! 今日わたしどうしてもはずせない用事があるの。残りの仕事、かわってくれないかな?」
「え? あ、えっと……い、いいですよ」
「助かる~! ありがと!」

 そう言って、ふわふわ巻き毛の可愛い彼女はすぐにいなくなった。あの浮かれた様子は合コンかデートだろう。自分のデスクに詰まれた仕事を見て、今日は残業かな、と私は溜息を吐いた。

「ね、田中さんまた仕事押し付けられてる」
「あの人も断ればいいのにね~」
「言えないでしょー。姫島さん怒らせたら、ハブだもん」

 姫島さん、というのは、先ほどのふわふわ巻き毛の可愛い彼女。そして私は田中。何の変哲もない、ありふれた苗字。こんなところまで地味でなくてもいいのに、と思いつつ、変わった苗字だったらそれはそれで悪目立ちするから逆に良かったかもしれない。
 うちの会社には制服がない。客先との会議でもない限り、服装はかなり自由だ。そのせいなのかどうかは定かではないが、何となく、女性社員の間では見た目でヒエラルキーができている。
 私の服装は、無地の黒い膝丈スカートに白いシャツ。それに気温に合わせてカーディガンやジャケットを羽織る。たまに違う恰好もするけれど、だいたいはそんな感じだ。ローテーションが楽だし、似合う似合わないを気にしなくていいし、お局に余計な小言を言われることもない。仕事にオシャレが必要だとも思わない。平穏無事に毎日を過ごすには、これが一番だ。ただ、生来の醤油顔に眼鏡、染めたことのない黒髪も相まって、陰で「地味メガネ」と呼ばれていることは知っている。そのせいなのか、見目の良い女性社員から見下されている。それでも、人間関係に荒波を立てたくない私は、甘んじてヒエラルキーの最下層にいる。
 別に、アフターの予定もないし。残業代はちゃんと付くし。今のところ便利に使われているだけで、いじめというほどの被害もない。特別不便も感じていない。これでいいのだ、と思ってはいる。思っては、いるのだけれど。

「お、田中さん今日も残業? がんばるねぇ」
「ありがとうございます」

 男性上司に声をかけられて、表面上は笑顔で返す。そう思うなら手伝えよ。なんて、課長相手には言えない。

「みんな君みたいに真面目だといいんだけどねぇ。剣持さんなんか、絶対残業しないし」

 剣持さん。言われてすぐに思い浮かぶ顔がある。強そうな苗字だから、初めて見た時から記憶に残っていた。そして彼女は、その苗字に見合う外見をしていた。

「ま、ほどほどにね」

 ぽんぽん、と肩を叩かれて、その指先が、服の上から下着の紐をなぞるように少しだけすべった。
 ぞっとして、私は思わず立ち上がる。

「そうですね。ちょっと休憩がてら、お手洗いにでも行ってきます」

 言って、私はその場から逃げるように立ち去り、女子トイレに駆け込んだ。
 ほう、っと息を吐いたところで、人がいることに気づいた。
 その人を見て、どきんとした。赤く染めた髪。濃い化粧。柄物のトップスに、タイトなパンツ。いくら服装自由でもそれはいいのか、と思われる恰好。
 噂をすればその人、剣持さんだ。

「お疲れ様です」
「お、おつかれさま、です」

 向こうから声をかけられて、思わず動揺してしまった。ただの挨拶なのに。
 剣持さんはもう帰るところみたいで、赤いハイヒールをかつかつと鳴らして、トイレを出ていこうとした。

「あ、あの!」

 何を思ったか、私は、剣持さんに声をかけた。

「はい?」

 剣持さんは、普通に返事をして振り返った。
 この人とは仕事で差し障りのない会話しかしたことがないが、見た目に反して怖い人でないことは知っていた。バンギャかと思っていたがそういうわけでもないらしい。単なるポリシーのようだった。

「あ、え、え~っと……」

 声をかけたものの、用事があったわけではない。どうしよう、と思って彼女の姿を眺めて、私はどうでもいい話題を出した。

「け、剣持さんって、姿勢いいですよね。やっぱりハイヒールだからですか?」

 どうでもいいにもほどがある。これから帰ろうとしている人間を引き留めてまで聞くことじゃない。早くも私は後悔していた。
 聞かれた剣持さんは少し考えるそぶりを見せて、

「そうですね。ハイヒールも関係あると思いますけど、あとは今日補正ブラだから、ちょっと背筋伸びてるかも」
「補正ブラ?」

 私は首を傾げた。補正下着とは、歳を重ねた女性が体を若く保つためにつけるものではないのだろうか。

「田中さん、下着どんなのつけてます?」
「えっ!? え、っと、ふ、普通のやつですね……」

 衣類量販店とか、通販で買える安くて便利な無地のやつ。なんならノンワイヤーの楽なやつ。なんて、言えなかった。

「今結構見た目も良くて機能的なやつ多いんですよ。姿勢が良くなったり、脇や背中をすっきり見せたり、胸を綺麗な形に整えたり」
「へ、へぇ……」

 全然知らなかった。だってランジェリーショップの下着は高い。なんなら服より高い。誰に見せることもないのに、そんなものに高いお金を払う意味が分からなくて、気にしたこともなかった。

「すごいですね。やっぱり、恋人がいると、下着までちゃんと気をつかうんですね」

 そう言うと、剣持さんは変な顔をした。

「私、恋人はいませんよ」
「えっ!?」

 驚いて私は声を上げた。絶対に残業しないのは、デートか家に恋人が待っているからだと勝手に思っていた。

「じゃぁ、なんで……?」
「そんなに不思議なことですか? だって、下着って本来誰にも見せない自分だけのものでしょう。一番、自分の好きにしていい自由な服ですよ」

 そう言って、剣持さんは鞄から一枚のショップカードを取り出した。

「これ、私がよく行く店。良かったら、一度のぞいて見てください。試着だけでもいいし、一回ちゃんとサイズ測ってもらうと、それだけで結構違いますよ」
「は、はぁ……ありがとうございます」

 赤いネイルの剣持さんの指先から、呆然とそれを受け取って、私は挨拶をして去っていく剣持さんを見送った。
 一番、自分の好きにしていい自由な服。そんな風に考えたこと、なかった。
 私はそのショップカードを見つめて、丁寧にポケットにしまった。

 それから私は、心なしか急いで残業を終わらせて、時計を見た。
 お店、まだぎりぎり開いてる。

「お疲れ様でした!」

 急いで荷物をまとめて、私は会社を飛び出した。別に今日行くことはないんだけど。せっかく、剣持さんが勧めてくれたし。話のネタに、なるかもしれないし。

***

「ま、眩しい……」

 お店の前で、私は尻込みした。きらきらと光るランジェリーショップ。場違いも甚だしい。これ、追い返されるんじゃないだろうか。

「いらっしゃいませー! 何かお探しですか?」

 若くてきらきらした店員さんの声かけに、思わず「ひっ」と悲鳴を上げそうになる。服屋でのこの声かけが、地味キャラにはしんどい。「大丈夫です」と返すのがいつものパターンだが、今日は。

「あ、あの、サイズを測ってもらうことって、できますか?」

 剣持さんのアドバイス通り、まずはサイズを測ってもらうことにした。一応自分で測ったサイズで普段買ってはいるのだが、もしかしたらこういう場所では表記が違うかもしれないし。

「大丈夫ですよー。試着室へどうぞ!」

 中が見えないよう、きっちりと閉まるカーテンの向こう側で、私は服を脱いだ。

「では下着の上から測りますねー」

 肉が、腹の肉が、脇肉が、と恥ずかしく思いながらも、店員さんはプロなので顔には出さない。実際は何を考えているか知らないが。

「Eの70ですねー」
「えっ?」

 私は思わず声を上げた。そんなはずはないのだが。

「いつも何つけてます?」
「Cの75で、ものによってはたまにD、って感じだったんですけど」
「あー、小さいカップつけてらっしゃる方多いですねー。お客様いつもノンワイヤーですか?」
「はい……。ノンワイヤー、だめですかね?」
「だめじゃないですよー! ただ、緩めのものがお好きですかね?」
「そうですね……。楽なやつ選びがちで」
「横に流れちゃってるのでー、ちゃんと入れれば……そうですねー。いくつか持ってきますね。ご希望の色やデザインはありますか?」
「あ、えっと」

 ベージュか薄いピンク、と言おうとして、口を噤んだ。

「あ、赤いやつ、で、かっこいい感じのありますか?」

 地味メガネが、こんなことを言って変じゃないだろうか、とどきどきしながら口にした。

「分かりました! かっこいいやつ、探してきますね!」

 店員さんはそう言って、試着室から出ていった。
 笑われなかった。馬鹿にされなかった。いや、店だし、当たり前かも、しれないけど。

「お待たせしましたー!」

 外から声をかけて、店員さんがいくつかブラを持ってきてくれた。そのどれもが、海外女優がつけるんじゃないか、って感じの、デキる女の下着、って感じで、目がちかちかした。

「ではフィッティングしていきますねー」

 店員さんの指示通りに試着して、脇や肩紐を直してもらう。

「はい、Eの70でちょうど良さそうですねー」
「そう……ですね……」

 驚いた。Eカップなんて絶対大きいんじゃないか、と思っていたけれど、ちゃんとつけてもらったらぴったりだった。カップも浮いていない。アンダーも普段緩くしているせいで、慣れなさはあるが苦しいというほどではない。
 サイズもそうだが、何より。赤い下着なんて、絶対似合わないと思っていたのに。
 鏡に映る自分は、意外に、悪くないんじゃないか、なんて。

「赤いいですよね! やる気出ますよね!」

 鏡に見とれていた私に気づいたのか、店員さんがそう声をかけてくれた。私は、少し恥ずかしくて照れ笑いした。

「お仕事の恰好は今日みたいな感じが多いですか?」
「はい、そうですね。だいたい」
「上からカーディガン着ちゃえばほとんど気にならないと思いますが、シャツのみになるようだったら、中に色の濃いインナーを着れば赤でも透けませんよ。こういう、大きい飾りの付いてるやつで、凸凹が気になるならちょっと厚みのあるインナーにしていただくとか。刺繍やレースのみだったらそんなに響かないですしー。どれか気になるやつあります?」
「あ、じゃぁ、これで……」

 大きな飾りは、やっぱり少しだけ服装が気になる。繊細なレースがふんだんにあしらわれた、少しだけ挑戦的なデザインのブラをひとつ選んだ。

「じゃぁ、ちょっとインナー持ってきますね!」

 私が選んだブラをつけている間に、店員さんがインナーを探して持ってきてくれた。ブラの上からインナーを着て、その上からシャツを着る。

「どうです?」
「確かに、あんまり目立たないですね」
「ですねー! どーしても気になるようならシームレスのデザインもありますので、色々試してみてください!」

 そう言って、店員さんは笑顔で退出した。
 確かに、シームレスなら絶対外に響かないけど。でも。
 これが、いいな。
 私はそっと胸に手を当てた。

「これ、ください」

 私は先ほど試着したブラをひとつ、店員さんに差し出した。

「ありがとうございます! セットのショーツとインナーはどうしますか?」
「えっと、ショーツだけお願いします。インナーは、手持ちので」

 値札はちらちら確認していたが、どれもちょっとお高い。申し訳ないが、今日はワンセットのみの購入とさせていただこう。

「わかりました! では、ブラが18700円、ショーツが9900円、合計28600円になります!」

 たっか!!
 思わず内心で叫んだ言葉を飲み込む。プチプラなら頭の先からつま先まで全部揃う値段だ。
 カードで支払って、私は丁寧に包まれた商品を受け取った。

「洗い替えも必要ですし、また是非いらしてくださいねー!」

 愛想のいい店員さんに見送られ、無事買い物を終えた私はほっと一息吐いた。
 真っ赤な下着のセットを仕事帰りに買って帰る、なんて。いかにも勝負下着を慌てて用意したみたいだ、と私は苦笑した。
 あれ、でも。

 ――『お仕事の恰好は今日みたいな感じが多いですか?』

 店員さん、別に、勝負下着に限定しなかったな。
 仕事終わりのデートの可能性もあるわけだけれど。今着ている服を見て、普段着にするものとして対応してくれた。
 もちろん、目的や用途をちゃんと伝えたら、それに合った提案をしてくれただろう。でもまずは、いつでも使えるものとして。

「特別なものだけど、特別なことじゃないんだな」

 奮発した、お気に入りの下着。それは私にとって、特別なもの。
 でも別に、それは勝負の時にしか着ちゃいけないわけじゃない。いつ着ても、どこに着ていっても、それは誰にもわからない。私だけが、わかってる。
 私の気分を上げるための、私のためのアイテム。
 緩む頬をおさえて、私は軽い足取りで帰宅した。

***

「田中さぁん! ほんっとうに申し訳ないんだけど、今日中の書類、手伝ってくれないかなぁ? がんばったんだけど、どうしても終わらなくて~!」
「それは大変ですね。でも、私も自分の仕事が終わってなくて。課長ならお手すきなんじゃないですか?」
「え?」

 断られたことに姫島さんはきょとん、としていて、急に名前を出された課長も驚いていた。

「課長。姫島さんの仕事、手伝えませんか?」
「ん、ん~~。でも、私も忙しくてねぇ。田中さん、手伝えないかなぁ?」

 言いながら私の後ろに来て、肩に手を置こうとした。その手を、ファイルで受け止める。課長が息を呑んだ。

「ごめんなさい。私今日、定時で帰るって決めてるので。それまでに自分の仕事を終わらせないと」
「え、なになに? 田中さん、もしかしてデートなの?」

 冷やかすように、課長が言った。私はそれに、にっこりと微笑んだ。

「業後のことは、プライベートですよ」

 私が照れたり、嫌がったりすると思ったのだろう。課長は鼻白んだ様子だった。
 それで話は終わり、とばかりに私は自分の仕事に向き合った。姫島さんはじろりと課長を睨みつけて、仕事を半分押し付けていた。課長は姫島さんにセクハラ発言をこっぴどく叱られたことがあるので、彼女相手には決して強く出ることはない。いざこざは起こらないだろう。

 私の服装は、相変わらず地味だ。黒髪も、眼鏡も、代わり映えしない。
 それでも。私だけが、知っている。この服の下には、真っ赤な下着をつけている。それは少しだけ私を強気にして、少しだけ背筋を伸ばしてくれる。
 今日はお気に入りの下着をつけて、公開を待ち望んでいた映画を見に行って、帰りにコーヒーショップの新作を飲むのだ。

 ああ、なんて楽しみ!
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