かいがらさんちまとめ

かいがら

文字の大きさ
上 下
3 / 31
シェルネのお話

おかしがおかしいことに

しおりを挟む
「ぶっ……おぇっへ……疲れた…」
どうも、みんな大好きシェルネですよ
現在日付が変わる頃。
だいたい私のお勤めが終わったあたりです。誰も知らねぇか
かちゃりんことお部屋を開けると
そこに開いた貝口は、暗いのに眩しくて、私の目を眩ませ、言葉では言い表せな(ry
はぶっ
______
____
__
「おかえり、シェルネ」
「……あのさぁ」
「はい?」キュルン
…なんでこんな愛嬌あんだこいつは
「……まいっか、もう段々慣れてきたよ。二日目だけど」
「それは何より、さて。今日は何をお話しますか?」
「お前結構喋るの好きよね…私も退屈しなくて良いけどさ。じゃあさいしょ。ここ、なんなの。簡潔に3行くらいで説明して下さい」
あたしは適当にコルセットを外しながら尋ねる
「なんなの…と言われると、深くは考えてないです。強いて言うならば私のお腹の中くらい?」
「おめぇは分からないこと尽くしやなぁ…じゃあ次、なんか……世界越えられるの?」
「はい、私も何故かは知りませんが。世界の移り方は、分かります」
「ほぇー、どうやんの」
図書館で借りてきた本をぱらぱらっと捲りながら適当に聞く
「この空間…まぁ私のお腹の中、で、大体七日ほど経てばするするっと他の世界です」
「ふーん、ふわっとしてんねぇ」
んー…これにも載ってないか
「まぁその間、外の私は無防備になるんですが……そういえばさっきから何を?」
「んー?これ?いや、お前がなんの貝なのかなーって調べてんの、未だに種類もなんも分かってないから…ね……」
「……?どうしました?」 
「待って、世界越えられるんだよね?それっていつから分かってたの?」
「かなり、前からだったと思います。えぇ…とてもとても前から」
「ちょっとよく見せてみて」
「?は、はい」
貝を手に取って見てみる、まぁこれに深い意味は無いんだけど
「……もし、本当に違う世界なんてあるんなら。もしも、他の世界に移れる方法なんてマジであるんなら……」ブツブツ
「シ、シェルネ?どうしたんですか急に…」
「いいじゃん…いいじゃんそう言う夢あるの!!あたしそう言うのすっごい求めてた!!ありがとう貝ちゃん!あなたが来て初めていいと思ったよ!!」
「は、初めてですか…あと貝ちゃんはやめて本当に」
「ちょっと追加で本借りてくるっ!お茶入れて待っときな!!」ダダダッ
「お、おぉう…飛んでっちゃった」



~としょんか~
「モルジェさんあれ何処にある!?あの…昔私が好きだった御伽噺!」
「あら、本日二回目。御伽噺ねぇ…流石にその程度の情報量で探せるほどわたしも司書長くやってないわ、一昨日来な?」
「おうぇ…そんな言う。あのあれよ、鱗の神様とか他の世界の人が恋に落ちてどんどん険悪になってくハートフルストーリーとか天国から天使が振ってきて海中蹂躙してくやつ」
「あぁ、あれね。ちょいと待っててくれ。それにしてもあんた幼少期なんてもん読んで育ってたんだい」
「ふへへ、そりゃあこうもなりますよ…あ、あとさ」
「はぁい?なんですかねぇ」
「他の世界って、本当にあると思う?絵本みたいな」
「さぁね、あたしのおじいさんの嫁の息子の娘が、もしかしたら急に空から変なのが降ってくるかも知れないと言ってたのは、聞いたことがあるよ?」
「いやそれお前やんけ」
「なんか言ったかい?最近耳が遠くてねぇ、お前とか抜かしやがるがきんちょが紛れ込んだかと思ったよ。はい、どうぞ」
「そ、そんな訳ないって…ありがと、モルジェさん」
「いえいえ。最近ここの図書館使う人もあんたくらいさね、昔の約束を律儀に守る所は、あんたのいい所さ」
「っ…そう言えば、そんな約束してたっけ」
「あぁ、あの時のあんたは目をきらっきらにしてねぇ、これから毎日来るねーなんて。可愛かったもんだよぉ」
「…今は可愛くないっての」
「いんや、今でも可愛いさ。あたしにとっちゃああんたなんかどんだけおっきくなっても孫みたいなもんさね」
「……あの」
「それに、あたし言ったろ?律儀な所があんたのいい所さ。あんた、そのうちこっから逃げるんだろ?」
「っ、はぁっ!?なんでわかんの!?」
「昔に比べていい顔しなくなったからねぇ、あんた行動力はあるし。こればっかりは年季さね、あたしがあんたと何年ここで居たと思ってるんだい?」
「……モルジェさん、ごめんね」
「良いのよ、あんたが楽しい顔してんのを見るのががあたしの数少ない趣味さ。ここ最近見れなかったからね、また落ち着いた時……どっかで楽しく暮らせるようになった時にでも、また楽しい顔、あたしに見せてくんな?」
「…ありがとう、モルジェさん!絶対にこの本、返しに来るから!!」
「おっと、借りパクは許さないからねぇ、ひっひっひ 」

______
____
__
「たぁだいまぁぁ!!!!」ドンガラガッシャン
「うわぁぁぁあ何事じゃああぁぁぁあ!!!??」
「適当に他の世界が書かれてるの借りてきた、ついでに別れの挨拶もしてきた」
「本当に別の世界に行く気なんですね…中々度胸のある小娘だ事」
「うっせ、……ほら、これとかここの神様とか他の世界の人とか書かれてんの。見覚えとか無い?」
「……絵本じゃない」
「絵本だよ?」
「ごめんなさい流石に………いや、でもこの、ここ」
「ん?あぁ、『ローレライは月の力をつかって、世界をこえるための安らぎを、ひとびとにもたらしました』って所?こんなの妖精さんみたいなのが他の世界に飛ばすなんて……良いよね、こう言うの」
「……ありました、見覚え」
「……マジで?」
「多分…ここに来るまでに、何度かぶつかった様な……」
「………あの、そう言えばその月の模様って…」
「……ローレライって、轢いたら罪かな」
「ま、まぁ。いざとなればあたしがもみ消す。王族ぞ我」
「頼みます…こんな所で権力を使わせるのも申し訳ないですが」
「はぁ…これでもうお前が少なくともこの世界のもんじゃねえってのはほぼ確定だねー、あんなこと言った手前もう返しに行くのもなんか忍びねぇな」
「私は…一体何処で生まれて……何をして来て」
「それはもう今考えても仕方ないでしょ。さてと、名前付けよっかな、なんか希望ある?」
「名前…ですか。特に……何かあるという訳でも、……ですが、シェルネにつけて貰えるのなら何だって嬉しいです」
「じゃ、ま、レスで。なんもないし」
「雑っすね」
「何だって嬉しいんじゃねぇのかこのやろう」

〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰

シェルネが図書館に行ってる位の頃

「た、たたた、大変だよミア姉…シェルネが……シェルネが私達に隠し事を」
「な……なん、ですって?それは、確か、なのですか…セアン」
「うん…確かに信じ難い、とってもとっても…でもさ、昨日の夜にね、いつものようにシェルネの部屋を盗聴してたらね?いきなりばりばりーん!って音が聞こえて…駆けつけたんだけど、明らかに…シ、シェルネがっ…ひっく、うやむやにしようとしてっ……『お姉様も早く寝た方が良いんじゃない?』とか言われっ、気遣いにキュンとして寝ちゃったけどっ…ぐすっ、あれってさぁ~!!」
「落ち着いて…落ち着くのよ、あの子はとても優しい子、それは私達が何よりも知ってるはず。きっとシェルネは私達に気を使って、何かを隠そうとしたの。そうよ、絶対」
「で、でもぉ…もし、シェルネが男とか連れ込んできてたらぁ~…お、お姉ちゃん達のことなんてどうでも良くなっちゃったらぁぁ…?」
「……うっ、そ、そんな事無いわよぉ……ぐすっ、うえぇん…!!シェルネぇ……お姉ちゃんを見捨てないでぇぇえん!!!!」
「びえぇぇぇえん!!!!シェルネ愛してるよぉぉぉお!!!!!お姉ちゃん達が代わりになるからぁぁぁあ!!」
「_むむ…、喧しいぞ。娘共よ」
「ひっく…お父様ぁ……シェルネがっ…シェルネがぁ…」
「すんすん…すみません、お父様……我らが愛する妹が…お姉ちゃん達を捨てようと」
「……一体どう言う了見なのだ、あやつが姉妹を捨てようなどと……いや、これは流石にするやもしれんが」
「ぶえぇあぁ…しょんな……ひっく」
「シェルネ…貴女が居なかったら…私達はどうやって生きていけば」
「まぁまぁ、あの子がそんな事するはず無いじゃない、いくらこんな姉妹でも、あの子に愛情を注いでるってことは伝わってるはずよ?こんなだけど」
「「かっ、かあざまぁぁ…!!!」」
「ノルン…あまりそういう事ばかり言ってはだな」
「あらあら、貴方そんなことばっかり言ってるから娘との険悪ムードがいつまでも収まらないのよ?たまには寛容になってみない?」
「ん…むぅ」
「でも…結局シェルネは何を隠してたんだろ……こうなりゃ直接調べてくるしか」
「おい、セアン。いくら姉妹とは言え無断で他人の部屋に入るのは褒められたことでは無いぞ、家族とは言えプライバシーという物がな」
「…この子にそんな事行っても、もう無駄だと思いますけどね」
「セアンちゃん。貴女、明るくて頼りになるところはいいのだけれど、あまり人の隠したいところにずけずけ入り込むのはダメよ?良く無神経なこと言って他人の心をめっためたにするじゃない。少しは落ち着きを持ちなさいな」
「そんなに…そんなに言う?…分かったよ、母様がそんなに言うなら今日の一週間に一回シェルネの布団に潜り込んでぬっくぬくあったか幸せになるよ計画は辞めとくよ…」
「貴女……そんな事までやってたのね」
「そうよ、流石にミアもこれは引くでしょ「……次の週私の番よ?」
「…何故私の娘はこうも妹にベタ惚れなのだ……」
「私はやめとくけどさぁ…結局、誰がシェルネのこと聞いてくるの?」
「そうね…メイドの皆様もあまりシェルネと仲良くありませんし…お父様は嫌われてるし…」
「えっ…私シェルネに嫌われて……嘘であろう…?」
「あら?自覚無かったのかしら、『末っ子だからって、甘やかしてはならんぞー』とか言ってシェルネに何かとやらせてたからねぇ、お姉ちゃん達との温度差とかもあるのかしら?」
「そ、そんな……シェルネ」
「私はお稽古がありますし……どうしましょうか」
「なら私よ!お母様張り切っちゃうわ!」
「…大丈夫ですか?」
「えぇ、勿論!」
「母様、私よりも数倍ぽわぽわしてるからなぁ…むしろそこが良いのかな」
「そ、それよりノルン、我が娘達よ。私がシェルネに嫌われてると言うのは「じゃ、お菓子でも持っていこうかしらね。じゃあね~♪」「行ってらっしゃーい!」「行ってらっしゃいませ、お母様」…私、王……お父様…」「そういうとこよ、父様」

〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰

「さて、レスや」
「はいはいなんでしょうかシェルネや」
「他の世界に行くに当たって、色々と準備する必要があります。例えば食べ物、そして服、ざっと纏めてこの辺り。お金はティアラとかドレスとか私物を売れば事足りるし、泊まる場所はここのお部屋がある」
「ふむふむ、成程」
「まぁ明日にでも買い物しようと思うんだけど…私あんまり重たい物持ちたくないから付き合ってくれない?」
「荷物持ちですか…ま、まぁ良いですけどっ」
「いよっし。じゃあ今日はもう寝なね、私は色々やる事あるから。じゃね」
「はいはーい、おやすみなさい」
私は玄関の扉を開けて、外へと出る事にした。
外では、中と同じ貝ことレスが出迎えてくれた、そういやなんでしれっとお腹の中に居るんだろう。
適当に鍵付きの引き出しにぶち込んでおいた
よし、今日は徹夜だ



「おかしい…お菓子がおかしい事に」
「お母様…何故調理場に居るのですか……?」
「うっわ!?何このダークマター!?」
「……てへっ☆」
「使用人の方、お手を煩わせて申し訳ないのですが、この人がここに来たらつまみ出してくれませんか?」
「待って?ミアちゃん、話があるの。ねぇ、ミアちゃん?ミアちゃ~ん?」
しおりを挟む

処理中です...