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秘薬ちゃん+αのお話
たった一つの成功例
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「ほっ、はっ…んどりゃっ、……んむ」
「あ、…えーと、これ、ですか?」ヒョイ
「ありがと…恥ずかしいとこ見せたわね」
「いえいえ、こういう時はお互い様ですよ」
あれから、少しだけ時間が経ちました。二日か、三日か。それよりもっとなのでしょうか。
ここは少し、時間の感覚が曖昧です。ずっと夜なのに、たまに朝で、時には明け方が朝より後にやってきます。
最初に食べられた時は驚きましたが、この中での暮らしは、多少なりとも慣れてきました。
「カセット、コンロ…ですか?」
「えぇ、私が元いた世界の…北の方にある、機械の発展していた国から略だ…んんっ、拾ってきたのよ」
「な、成程。…えー、ガスを燃料として安定した火を生み出す…と」
「あー…今頃だけど、やっぱり読めるのよね。一体どうなってるのかしら…」
「……たしかに、どうなって」
「考えるだけ無駄よ無駄。こういうものだと割り切った方が何かと楽よ。さ、今日はお鍋なの。下ごしらえ、手伝ってくれるわよね?」
「はっ、はい!勿論です」
_________
______
___
それからまた数日経ったところで、一つ気が付きました。彼女…シェルネさんから頂いた鏡をあのログハウスに忘れて来てしまったのです。せっかくのプレゼントを置いて行く訳にもいかない。その事をレスさんに伝えると、
「ありゃりゃ、結構動いちゃったから少し歩かせちゃうけど…取って来る?」
「はい。貰い物をそのままにも出来ないですし」
「誰か連れてく?外は物騒らしいし」
「大丈夫ですよ、高低差のある場所は歩きなれてますし。調合品もそれなりにストックがあるので」
「そっか…そんなに言うなら止めないけどさ、気をつけて。一応私は止まっておくからさ」
「ありがとうございます。それでは」
私はとことこと玄関まで歩みます。慣れ親しんだ靴を履き、道具袋を下げてさぁ行くぞ。玄関の戸を開き、しばらくのお別れ次いでに故郷の世界へと再び赴きます。
「えっ?』
がちっ
あれから、少しだけ時間が経ちました。二日か、三日か。それよりもっとなのでしょうか。
ここは少し、時間の感覚が曖昧です。ずっと夜なのに、たまに朝で、時には明け方が朝より後にやってきます。
最初に食べられた時は驚きましたが、この中での暮らしは、多少なりとも慣れてきました。
「カセット、コンロ…ですか?」
「えぇ、私が元いた世界の…北の方にある、機械の発展していた国から略だ…んんっ、拾ってきたのよ」
「な、成程。…えー、ガスを燃料として安定した火を生み出す…と」
「あー…今頃だけど、やっぱり読めるのよね。一体どうなってるのかしら…」
「……たしかに、どうなって」
「考えるだけ無駄よ無駄。こういうものだと割り切った方が何かと楽よ。さ、今日はお鍋なの。下ごしらえ、手伝ってくれるわよね?」
「はっ、はい!勿論で、す……」
…あれ?
……おかしい
なにか、何かが足りない…?
「……?『秘薬ちゃん』?」
今すぐ、いますぐ今スグ
「あっ!?す、すみません。少し用事があったのを忘れてました!」ダッ
「えっ?ちょ、ちょっと『秘薬ちゃん』!?」
________
_____
__
走っていたら解る。右、前、前、右、左、登って、左、前。
足りない一つ。あの鏡。反対に移るプレゼント。でも、なんで?どうだっていい。早く、速くハヤク_
何かが手遅れになる前にっ!!
私は鏡を手に入れ、そこへと向かう
そこは何処?
あの人が向かった場所、そう聞こえたから
あの人は?私の想い人?
私は『秘薬』。___じゃない
まだ、まだだから
走れ、追いつけ、終わってしまう前に
信じていない訳じゃない。ただ、そこに事実があったから
私がそれを変えるから
力が無いのは解ってる。何も出来ないのは百も承知
だけど、あの時の二の舞にはしたくない
私を突き動かすのは?
そんなのは、もういいか
一人で戦う彼女の元へと
_______
____
_
______
_
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い
貴方に逢えなかった時間が
貴方を思っていたその時間だけ
時計の針が私を貫く
それでも貴方に逢えたから
貴方に触れる事が出来たから
また貴方と触れ合えるから
無数に隙間から溢れ出すその手を貴方に這わせて
何処にも行かないよう
傍から離れないように
貴方を私の一部としたい
ずっとこのまま貴方といたいから
何が欠けてようと貴方を愛すから
時間が止められたら良いのに
でもそれも叶わない
あぁ、まだ終わらないで
誰か私を止めて下さい
あの人を食べ尽くしてしまう前に
_
_
______
____
__
_ぇさま
…
お__まっ!」
……っ
「おねーさまっ!!」
っ!
「っおねーさまぁ!やっと起きた!!」
「ちゅん!ちゅん!」
「全くもう…いつまで経っても目覚めないんだから…心配したのよ?」
「アチュリア…ここ、は」
「わがんない…わがんないけどぉ…!!」
「うわっ、ちょ、アチュったら……皆さん…一体、何があったんですか」
「正直な所、あたしもよく分かってないんだよね」
「どこから話せば良いか…あの後、直ぐに皆で探しに出たわ」
同盟ちゃんは、すっかり荒れ果てた地に座り、話を続ける
「辺りを探してみたけど、全く見当たらなくて。それで」
「急にあの黒い鳥がこっちに飛んで行って、なんのこっちゃって思ったけど勝手に行っちゃうもんだから。着いて行かざるを得なくて」
「そしたら本当にいるって言うね…なんと言うご都合主義なんだ」
「うっ…ひく、わたしを置いていかないでよ……ばかぁ!」
「ご、ごめんね。アチュ…皆さんも、迷惑を掛けてすみませんでした」
「いいのいいの、これから私達と一緒に行くんでしょう?困った時はお互い様よ。だから…せめてどこか行く時は一言言ってからにしてね?」
「は、はい…気をつけます」
「詳しい話は後で聞かせて貰うけど…何はともあれ無事で良かった。そんじゃあぼちぼち行こっかー」
「えぇ、まだまだ先は長いわよ?」
彼女達は、起き上がる私に手を差し伸べ、にっこりと微笑む
「「秘薬ちゃん!」」
「…はいっ!」
「あ、…えーと、これ、ですか?」ヒョイ
「ありがと…恥ずかしいとこ見せたわね」
「いえいえ、こういう時はお互い様ですよ」
あれから、少しだけ時間が経ちました。二日か、三日か。それよりもっとなのでしょうか。
ここは少し、時間の感覚が曖昧です。ずっと夜なのに、たまに朝で、時には明け方が朝より後にやってきます。
最初に食べられた時は驚きましたが、この中での暮らしは、多少なりとも慣れてきました。
「カセット、コンロ…ですか?」
「えぇ、私が元いた世界の…北の方にある、機械の発展していた国から略だ…んんっ、拾ってきたのよ」
「な、成程。…えー、ガスを燃料として安定した火を生み出す…と」
「あー…今頃だけど、やっぱり読めるのよね。一体どうなってるのかしら…」
「……たしかに、どうなって」
「考えるだけ無駄よ無駄。こういうものだと割り切った方が何かと楽よ。さ、今日はお鍋なの。下ごしらえ、手伝ってくれるわよね?」
「はっ、はい!勿論です」
_________
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それからまた数日経ったところで、一つ気が付きました。彼女…シェルネさんから頂いた鏡をあのログハウスに忘れて来てしまったのです。せっかくのプレゼントを置いて行く訳にもいかない。その事をレスさんに伝えると、
「ありゃりゃ、結構動いちゃったから少し歩かせちゃうけど…取って来る?」
「はい。貰い物をそのままにも出来ないですし」
「誰か連れてく?外は物騒らしいし」
「大丈夫ですよ、高低差のある場所は歩きなれてますし。調合品もそれなりにストックがあるので」
「そっか…そんなに言うなら止めないけどさ、気をつけて。一応私は止まっておくからさ」
「ありがとうございます。それでは」
私はとことこと玄関まで歩みます。慣れ親しんだ靴を履き、道具袋を下げてさぁ行くぞ。玄関の戸を開き、しばらくのお別れ次いでに故郷の世界へと再び赴きます。
「えっ?』
がちっ
あれから、少しだけ時間が経ちました。二日か、三日か。それよりもっとなのでしょうか。
ここは少し、時間の感覚が曖昧です。ずっと夜なのに、たまに朝で、時には明け方が朝より後にやってきます。
最初に食べられた時は驚きましたが、この中での暮らしは、多少なりとも慣れてきました。
「カセット、コンロ…ですか?」
「えぇ、私が元いた世界の…北の方にある、機械の発展していた国から略だ…んんっ、拾ってきたのよ」
「な、成程。…えー、ガスを燃料として安定した火を生み出す…と」
「あー…今頃だけど、やっぱり読めるのよね。一体どうなってるのかしら…」
「……たしかに、どうなって」
「考えるだけ無駄よ無駄。こういうものだと割り切った方が何かと楽よ。さ、今日はお鍋なの。下ごしらえ、手伝ってくれるわよね?」
「はっ、はい!勿論で、す……」
…あれ?
……おかしい
なにか、何かが足りない…?
「……?『秘薬ちゃん』?」
今すぐ、いますぐ今スグ
「あっ!?す、すみません。少し用事があったのを忘れてました!」ダッ
「えっ?ちょ、ちょっと『秘薬ちゃん』!?」
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走っていたら解る。右、前、前、右、左、登って、左、前。
足りない一つ。あの鏡。反対に移るプレゼント。でも、なんで?どうだっていい。早く、速くハヤク_
何かが手遅れになる前にっ!!
私は鏡を手に入れ、そこへと向かう
そこは何処?
あの人が向かった場所、そう聞こえたから
あの人は?私の想い人?
私は『秘薬』。___じゃない
まだ、まだだから
走れ、追いつけ、終わってしまう前に
信じていない訳じゃない。ただ、そこに事実があったから
私がそれを変えるから
力が無いのは解ってる。何も出来ないのは百も承知
だけど、あの時の二の舞にはしたくない
私を突き動かすのは?
そんなのは、もういいか
一人で戦う彼女の元へと
_______
____
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痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い
貴方に逢えなかった時間が
貴方を思っていたその時間だけ
時計の針が私を貫く
それでも貴方に逢えたから
貴方に触れる事が出来たから
また貴方と触れ合えるから
無数に隙間から溢れ出すその手を貴方に這わせて
何処にも行かないよう
傍から離れないように
貴方を私の一部としたい
ずっとこのまま貴方といたいから
何が欠けてようと貴方を愛すから
時間が止められたら良いのに
でもそれも叶わない
あぁ、まだ終わらないで
誰か私を止めて下さい
あの人を食べ尽くしてしまう前に
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_ぇさま
…
お__まっ!」
……っ
「おねーさまっ!!」
っ!
「っおねーさまぁ!やっと起きた!!」
「ちゅん!ちゅん!」
「全くもう…いつまで経っても目覚めないんだから…心配したのよ?」
「アチュリア…ここ、は」
「わがんない…わがんないけどぉ…!!」
「うわっ、ちょ、アチュったら……皆さん…一体、何があったんですか」
「正直な所、あたしもよく分かってないんだよね」
「どこから話せば良いか…あの後、直ぐに皆で探しに出たわ」
同盟ちゃんは、すっかり荒れ果てた地に座り、話を続ける
「辺りを探してみたけど、全く見当たらなくて。それで」
「急にあの黒い鳥がこっちに飛んで行って、なんのこっちゃって思ったけど勝手に行っちゃうもんだから。着いて行かざるを得なくて」
「そしたら本当にいるって言うね…なんと言うご都合主義なんだ」
「うっ…ひく、わたしを置いていかないでよ……ばかぁ!」
「ご、ごめんね。アチュ…皆さんも、迷惑を掛けてすみませんでした」
「いいのいいの、これから私達と一緒に行くんでしょう?困った時はお互い様よ。だから…せめてどこか行く時は一言言ってからにしてね?」
「は、はい…気をつけます」
「詳しい話は後で聞かせて貰うけど…何はともあれ無事で良かった。そんじゃあぼちぼち行こっかー」
「えぇ、まだまだ先は長いわよ?」
彼女達は、起き上がる私に手を差し伸べ、にっこりと微笑む
「「秘薬ちゃん!」」
「…はいっ!」
応援ありがとうございます!
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