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目指せ!王都
ダンジョン
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そこには草原が広がっていた。ダンジョンに来るまでに草原を通って来たがそっちは丘陵地が広がっていたのの対し、こちらは平坦な草原が続く。
ちらほらと人影がしゃがみ込んでいるのを見かけるが、薬草の採取でもしているのだろう。
勇者の作ったアーティファクト。
人工瘴気収集器。
ダンジョンができて五百年も経っていないのに、生活の一部として馴染んでいた。
子供がパッと立ち上がると、バットの様なものを振り下ろす。
私からは見えなかったが、何かモンスターが居たのだろう。
ユフィと私は揉め事を起こしたい訳ではないので、大人しくボスの扉前に行く。そこにはユフィと同年代くらいの子達が集まっていた。
そのうちの一人の少年が声をかけて来る。
「お前ら、余所者?」
「うん」
「フーン。ボス挑戦すんなら並べよ。通り抜けたいならボス倒したヤツに便乗しても良いけど。ここらは薬草も採り尽くされてるから旨味はねーぞ。まあスライム駆除はできるけど、稼げねーぞ」
面倒見が良いのだろう。忠告に「ありがとう」とお礼を言う。
じゃあなと仲間の元へ去っていった。
「どうする?」
「そうね…ボスに挑戦して二階に行きましょう。当面の目標はノラのレベルアップと気配察知の取得ね」
「気配察知ってどうすんの?」
「ダンジョンとか、黒の森みたいな特殊フィールドにひたすら通ってモンスターの気配を判断できる様にする」
「雑ぅ」
スキルってそんなので取れるのか…。
「あんた達、ここのダンジョン初めて?」
私たちの前に並んでいた少女が振り返る。うんと頷くと暇だったのか、ダンジョンのシステムを説明してくれた。
「ここも一階はほぼスライムね。ボスもスライム。レベルに応じた強さと量のスライムが出てくるから、油断すんなよ。スライムだからって舐めてかかると怪我するガキが毎年何人かいるから」
わかったと頷くと少女が満足気に笑う。美人とは言い難いが、愛嬌がある笑顔だった。
「ボスの復活までには約一分ぐらいかかる。二階は主にホーンラビットとラージラット、スライムとごく稀にマッドクロウ。ホーンラビットの肉は中々美味しいけど、素材ならマッドクロウの風切羽とホーンラビットのツノがそこそこの値段で売れるな」
「スライムはやっぱり売れない?」
「まあ、コアが小銅貨一枚、魔石なら三枚ってところだな。それならまだ薬草探した方が金になる」
「色々、教えてくれてありがとう」
「どーいたしまして、じゃ、気ぃつけろよー」
話していれば順番が来て、少女はひらり手を振ると仲間と共にボスの扉へと向かった。
扉が淡く柔らかく光る。これがボス戦中ですよと言う合図らしい。しばらくすると扉が開かれ、先に進めるようになっていた。
なるほどこれが便乗通過。しかし、自分もボス戦がやりたいのでちょっと待つ。
サリバンからパクってきた短剣を持つが、それよりも土魔法を使いたい。
扉が一旦閉じられる。これがボス復活の目安。いつの間にか剣を持ったユフィが扉を開いた。
現れたのは中型犬サイズのスライムが五匹。小型犬さのスライムが八匹。
「石礫!」
土魔法で唯一使える魔法を使ってみる。当たりはしたが、ブルンと震えただけでダメージを与えられたかわからない。
「私に気をつけながら、魔法で牽制。近づいてきたら刺しなさい」
短く言うとユフィが駆け出す。大きめのスライムを一撃で倒した。
それに群がる小さなスライムをユフィに当てないように気をつけながら、魔法で牽制する。三発目で良いところに当たったのか、二匹倒せた。
五分もかからないうちにユフィが大きなスライムを倒し、残った四匹の小さなスライムも倒す。
意外と素早いスライムに魔法を当てるのは諦めて蹴り飛ばせば、あっさりと倒すことができた。
「最初から、蹴り飛ばしていれば…」
「それだと魔法使わないでしょ。魔法は使えば使うほど強くなるんだから意識して使いなさい」
「あい…それとユフィ…近づいて刺すのは怖いっす」
「まあ、短剣は間合いが狭いしね…あとで武器見繕うわよ」
会話を交わしながら、魔石とスライム核を回収する。大した量じゃないから、すぐに終わった。
そのまま二階へと向かう。
ここも平坦な草原フィールドだ。一階は小学生なら低学年ぐらいの子が多かったが、こちらは中学年から高学年ぐらいの子が多い。
人数もやや少なくなっているので、人気の少ないところで採取を始める。
草の種類など分かんないので鑑定鑑定。
癒し草:ポーションの材料。体力を回復する。
麻痺草:痺れ薬の材料。製法によっては麻酔としても使える。
ロス・マリネス(ローズマリー):薬にも料理にも使えるハーブ。
タチジャコウソウ(タイム):薬にも料理にも使えるハーブ。
ローズマリーとタイムだと!?ヒャッホーウ!!これで肉の臭み消しができる!多めに採っておこう!
「ノア!」
ユフィの鋭い声が聞こえたと思ったら、ホーンラビットつまりツノのついたウサギが目の前に迫っていた。
咄嗟に腕で顔を庇うと角が突き立てられる。正直痛いが、コレで私は目が覚めた。
ああ、異世界だ。
スライムは硬めの大きな水饅頭にしか見えなかった。ウサギはペットやふれあい動物園で愛でるもの。
そんな考えでは生きていけない場所。
自分が生きるために、魔物を殺すのだ。無意識に腰に着けていた短剣を抜き、ウサギの喉に刺した。
ぼんやりした獲物に反撃されるとは思わなかったのか、憎々しげに私を睨むとウサギは死んだ。
残ったのは大きなバナナの葉のようなものに包まれたウサギ肉と魔石。人目を気にする余裕もなく、アイテムボックスに放り込む。
痛い。アイテムボックスの中のポーションを使おうかと思ったがその前にユフィが「洗浄」と短く言うので、反射的に傷口に洗浄をかける。
「ぼんやりしてるんじゃない。ここはモンスターの巣なの。気を抜いたら死ぬの」
「はい、ごめんなさい」
コレは、私が悪い。
ユフィも洗浄かけてというので洗浄をかけると、マジックバッグから取り出した軟膏を塗りガーゼもどきを貼り付けて伸縮性のない包帯を巻き付ける。
こういう時って、ポーションを使うもんだと思ってた。
「ポーションは強力だけど、その分体力を使うわ。急激に怪我を治すことで痛みも生じるの。あと単純に単価が高い」
世知が無い話になったな。
「まあ、ポーションなら跡も残さず治せるけど」
思い出したのは北野亜美の体だ。オーブンに熱い飴。お菓子作りに火傷なんてよくあることで、跡も残っていた。でも気にしたことなんか無かった。
きちんと気を付けなかった私が悪い。
菓子作りで火傷をするたびに思っていた。
そうだ。この怪我もきちんと気を付けなかった私が悪い。
「ポーションはいらないよ。気を抜いてた私が悪い」
「…そう」
私の言葉にユフィが満足気に頷いた。
ちらほらと人影がしゃがみ込んでいるのを見かけるが、薬草の採取でもしているのだろう。
勇者の作ったアーティファクト。
人工瘴気収集器。
ダンジョンができて五百年も経っていないのに、生活の一部として馴染んでいた。
子供がパッと立ち上がると、バットの様なものを振り下ろす。
私からは見えなかったが、何かモンスターが居たのだろう。
ユフィと私は揉め事を起こしたい訳ではないので、大人しくボスの扉前に行く。そこにはユフィと同年代くらいの子達が集まっていた。
そのうちの一人の少年が声をかけて来る。
「お前ら、余所者?」
「うん」
「フーン。ボス挑戦すんなら並べよ。通り抜けたいならボス倒したヤツに便乗しても良いけど。ここらは薬草も採り尽くされてるから旨味はねーぞ。まあスライム駆除はできるけど、稼げねーぞ」
面倒見が良いのだろう。忠告に「ありがとう」とお礼を言う。
じゃあなと仲間の元へ去っていった。
「どうする?」
「そうね…ボスに挑戦して二階に行きましょう。当面の目標はノラのレベルアップと気配察知の取得ね」
「気配察知ってどうすんの?」
「ダンジョンとか、黒の森みたいな特殊フィールドにひたすら通ってモンスターの気配を判断できる様にする」
「雑ぅ」
スキルってそんなので取れるのか…。
「あんた達、ここのダンジョン初めて?」
私たちの前に並んでいた少女が振り返る。うんと頷くと暇だったのか、ダンジョンのシステムを説明してくれた。
「ここも一階はほぼスライムね。ボスもスライム。レベルに応じた強さと量のスライムが出てくるから、油断すんなよ。スライムだからって舐めてかかると怪我するガキが毎年何人かいるから」
わかったと頷くと少女が満足気に笑う。美人とは言い難いが、愛嬌がある笑顔だった。
「ボスの復活までには約一分ぐらいかかる。二階は主にホーンラビットとラージラット、スライムとごく稀にマッドクロウ。ホーンラビットの肉は中々美味しいけど、素材ならマッドクロウの風切羽とホーンラビットのツノがそこそこの値段で売れるな」
「スライムはやっぱり売れない?」
「まあ、コアが小銅貨一枚、魔石なら三枚ってところだな。それならまだ薬草探した方が金になる」
「色々、教えてくれてありがとう」
「どーいたしまして、じゃ、気ぃつけろよー」
話していれば順番が来て、少女はひらり手を振ると仲間と共にボスの扉へと向かった。
扉が淡く柔らかく光る。これがボス戦中ですよと言う合図らしい。しばらくすると扉が開かれ、先に進めるようになっていた。
なるほどこれが便乗通過。しかし、自分もボス戦がやりたいのでちょっと待つ。
サリバンからパクってきた短剣を持つが、それよりも土魔法を使いたい。
扉が一旦閉じられる。これがボス復活の目安。いつの間にか剣を持ったユフィが扉を開いた。
現れたのは中型犬サイズのスライムが五匹。小型犬さのスライムが八匹。
「石礫!」
土魔法で唯一使える魔法を使ってみる。当たりはしたが、ブルンと震えただけでダメージを与えられたかわからない。
「私に気をつけながら、魔法で牽制。近づいてきたら刺しなさい」
短く言うとユフィが駆け出す。大きめのスライムを一撃で倒した。
それに群がる小さなスライムをユフィに当てないように気をつけながら、魔法で牽制する。三発目で良いところに当たったのか、二匹倒せた。
五分もかからないうちにユフィが大きなスライムを倒し、残った四匹の小さなスライムも倒す。
意外と素早いスライムに魔法を当てるのは諦めて蹴り飛ばせば、あっさりと倒すことができた。
「最初から、蹴り飛ばしていれば…」
「それだと魔法使わないでしょ。魔法は使えば使うほど強くなるんだから意識して使いなさい」
「あい…それとユフィ…近づいて刺すのは怖いっす」
「まあ、短剣は間合いが狭いしね…あとで武器見繕うわよ」
会話を交わしながら、魔石とスライム核を回収する。大した量じゃないから、すぐに終わった。
そのまま二階へと向かう。
ここも平坦な草原フィールドだ。一階は小学生なら低学年ぐらいの子が多かったが、こちらは中学年から高学年ぐらいの子が多い。
人数もやや少なくなっているので、人気の少ないところで採取を始める。
草の種類など分かんないので鑑定鑑定。
癒し草:ポーションの材料。体力を回復する。
麻痺草:痺れ薬の材料。製法によっては麻酔としても使える。
ロス・マリネス(ローズマリー):薬にも料理にも使えるハーブ。
タチジャコウソウ(タイム):薬にも料理にも使えるハーブ。
ローズマリーとタイムだと!?ヒャッホーウ!!これで肉の臭み消しができる!多めに採っておこう!
「ノア!」
ユフィの鋭い声が聞こえたと思ったら、ホーンラビットつまりツノのついたウサギが目の前に迫っていた。
咄嗟に腕で顔を庇うと角が突き立てられる。正直痛いが、コレで私は目が覚めた。
ああ、異世界だ。
スライムは硬めの大きな水饅頭にしか見えなかった。ウサギはペットやふれあい動物園で愛でるもの。
そんな考えでは生きていけない場所。
自分が生きるために、魔物を殺すのだ。無意識に腰に着けていた短剣を抜き、ウサギの喉に刺した。
ぼんやりした獲物に反撃されるとは思わなかったのか、憎々しげに私を睨むとウサギは死んだ。
残ったのは大きなバナナの葉のようなものに包まれたウサギ肉と魔石。人目を気にする余裕もなく、アイテムボックスに放り込む。
痛い。アイテムボックスの中のポーションを使おうかと思ったがその前にユフィが「洗浄」と短く言うので、反射的に傷口に洗浄をかける。
「ぼんやりしてるんじゃない。ここはモンスターの巣なの。気を抜いたら死ぬの」
「はい、ごめんなさい」
コレは、私が悪い。
ユフィも洗浄かけてというので洗浄をかけると、マジックバッグから取り出した軟膏を塗りガーゼもどきを貼り付けて伸縮性のない包帯を巻き付ける。
こういう時って、ポーションを使うもんだと思ってた。
「ポーションは強力だけど、その分体力を使うわ。急激に怪我を治すことで痛みも生じるの。あと単純に単価が高い」
世知が無い話になったな。
「まあ、ポーションなら跡も残さず治せるけど」
思い出したのは北野亜美の体だ。オーブンに熱い飴。お菓子作りに火傷なんてよくあることで、跡も残っていた。でも気にしたことなんか無かった。
きちんと気を付けなかった私が悪い。
菓子作りで火傷をするたびに思っていた。
そうだ。この怪我もきちんと気を付けなかった私が悪い。
「ポーションはいらないよ。気を抜いてた私が悪い」
「…そう」
私の言葉にユフィが満足気に頷いた。
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