転生してもお菓子屋さんを目指します〜私とお嬢と勇者さん

木野葛

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目指せ!王都

やりたいこと

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 はえ~、ポーション。ファンタジーじゃん。

 私自身はゲームをやらないものの、小さい頃兄がリビングでゲームをやっていたのを隣で見ていたこともある。さすがにポーションぐらいは分かった。
 蒸留水をすり鉢に入れて溶かし、それをまた鍋に移す。くつくつ弱火で煮ていき、沸騰したところで微塵切りにしたきのこを入れる。
 シリコーンのスパチュラも、木製のしゃもじあるのに何故かユフィは金属のレードルで混ぜ始めた。
 しばらく眺めていると、ピカっと鍋の中が光る。
 ユフィが火を止めて、鍋の中を見れば薄緑の透明な液体に満たされていた。

「ええ~?」
 
 さっきまでデロっとした緑の液体だったじゃん。
 私の疑問を置き去りに、ユフィは手早くレードルで買った瓶に詰めていく。
 蓋を閉めたら最後に薄い紙で封をして完成した。
 鑑定鑑定っと。
 
 ポーション 品質:良
 体力・怪我を治す薬。塗布でも経口でも効果を発揮する。
 飲み過ぎ注意。

 最後の一行が不穏過ぎる。薬物中毒になるとかですかね…。

「素材を売るより、加工して売った方が高くなるわよね」
「そーだね」

 
******

 次の日は早めに冒険者ギルドに向かい、買取のカウンターで作ったポーションを買い取って貰うことにした。
 朝一番のため買取を行う人はおらず、すぐに受け付けて貰える。
 ユフィがポーションを出せば、カウンターにいたおばさんが計量器のような物に乗せてポーションを調べた。

「中々の品質ですね。十本で大銀貨五枚と小銀貨一枚でどうでしょう」
「それでいいわ」
「はい、それではここにサインを」

 書類を差し出され、サラサラとユフィがサインする。

「はい」

 受け取った大銀貨一枚を差し出されたので受け取る。

「どうも…」

 ホントに三倍になって返ってきたよ。
 ギルドでやり取りが終わればダンジョンへ向かい、癒し草を中心に採取して行く。
 イヤー、ただ草を売るより付加価値って大事だよね…。と思いながら、薬草を採っていれば気配を感じたので、短剣を抜いて切る。
 スライムだった。
 魔石と核が落ちる。魔石は加工前の宝石のようにゴツゴツしているが、スライムの核はビー玉みたいにつるんしていた。マジックバッグに放り込む。
 今日は一人で二階で採取している。ユフィは森フィールドだと言う三階へと一人で向かった。
 おかげで緊張しながら、魔物の討伐数が増えている。若干気配が分かるようになった。
 バッグの中から、ルーム内にあった時計を取り出す。パッと見るようのため買ったものだから結構大きめ。
 十一時四十分。昼までには帰ってくるから、ボスの扉近くに居なさいと言われたので素直に向かう。

 ユフィはまだ帰ってなかったので、扉周辺のハーブを採る。やはり単価が高くなる癒し草などは取り尽くされているようだが、タイムやローズマリーなどのハーブは採られていない。色々使えるのにね。
 ボス待ちの人達には奇妙な目で見られた。
 目ぼしい物を取り尽くしたところで、ユフィが三階から戻ってくる。

「おかえりー」
「ただいま。ご飯にしましょう」
「了解」

 ボスの扉からは離れた場所で昼食を食べる。

「はい、お土産」
「ありがとう…?」

 ダンジョンでお土産ってなんだ?と受け取ると小さいりんごが一つ。
 わーい、りんごだ!と洗浄をかけて皮付きのまま食べてみると固くて酸っぱい。あ、これあれだ。日本の大きくて甘い品種じゃなくて、外国のぎゅっと中身が詰まった小さいりんごだ。
 酸っぱいりんごは嫌いじゃないので、そのまま食べる。甘みはないが味も香りも濃い。
 コレはコレで美味いけど、加工した方が美味しいやつだ。ジャムも良いけど、アップルパイ…シャーベットなんかも美味しそう。
 ぶつぶつ言いながら食べていると、もうちょっと採ってくるから作りなさいよ、とユフィに言われた。
 パッと顔を上げれば、ふふっと笑われる。

「貴方、そんな顔するのね」
「?」
「自覚ないの?すごーく、楽しそうな顔してたわ」
「…コレでもお菓子屋見習いだったので」
「ああ、なんか作ってる時の手際がやたら良かったわね」

 イヤ、りんご一つにキャッキャしてたのバレるの恥ずかしいな…。

「ノアは、この国出たらどうするの?」
「出ることが目的だから、まだ考えてない」
「ふぅん。でも、出た後のことを考えるのは楽しいわ。ノアも好きなこと考えておいて、それを目的にしたら?」
 
 好きなことかー、と思いながら手の中にりんごを食べる。日本のりんごほど水々しいわけではないが、酸味と香り、味が濃いりんごは生食よりお菓子にした方が絶対美味しい。

「…やっぱり、お菓子かなー。食べるのも、作るのも好き」
「そう。じゃあ、貴方の作ったお菓子、楽しみにしてる」

 思い出すのは従姉が連れて行ってくれたホテルのスイーツビュッフェ。
 華やかで美味しく幸せな空間。
 やっぱり、生まれ変わっても諦められない気がした。
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