魔王と神と王子様

Aya

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幸せな時代

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「ねぇ、お母さん!この絵本読んで!」
 まだ幼い人間の男の子が、イスに座って編み物をしている母親に駆け寄った。
「ええ、良いわよ。この本でいいの?」
 その男の子の様子を見てニッコリと微笑みながら、優しそうな声で答えた。
「うん!」
 母親のこの答えに、男の子はとても嬉しそうに笑い、元気良く返事した。
 母親はふと絵本を見て思い出し、男の子にある質問をした。
「ねぇ、知ってるかしら?実は、これから読む絵本はね。本当に有った話を元にして創られたんだよ。」
「本当なの⁈」
 その話が信じられない男の子は興奮しながら聞いた。
「本当よ。この世界には、三つのの種族が三つに住む場所分けて暮らしていたのは知っている?」
「うん!人族と神族と魔族でしょ!」
 男の子が、自信満々に答えた。
「そう、その三つの種族を元にして創られたのよ。」
「どう言うお話なの?」
「ふふ、それは読んでからのお楽しみ。」
「じゃあ、早く読んで!」
「ええ、そうね。じゃあ読むわ、『魔王と神と王子様』昔、昔のもっと昔、三つのの種族が優れているかで、争っていました。」
「ねぇ、なんでそんなことで争ってたの?今は、こんなに仲が良いのに。」
 男の子は、不思議で堪らなかった。何故ならば、男の子はさっきまで神族と魔族の子供達と楽しく遊んでいたからである。
「さぁ、解らないわ、でも、その時代はそんなことで争ってたのよ。じゃあ、続きを読むわね。ずっと争っていて三つの種族は、もうボロボロでした。その時、誰かがこの戦争をやめようと言いました。皆んなは、これに大賛成で、すぐに戦争を辞めようとしました。その時に、三つの種族である約束をしました。その約束は、『三つの種族が争ってはいけないし、その争いの元を作ってはいけない』という大事な約束でした。それから、五百年間は、三つの種族での大きな争いはありませんでした。けれども、人族が大事な約束を破って魔族を襲ってしまったのです。」
「えっ、なんで⁉︎どうして約束を破っちゃったの?」
 男の子は、とても驚いていた。どうして、人族が大事なはずの約束を破ってしまったのかが解らないからである。
 「人族はね、魔族が恐ろしくてたまらなかったの、それで襲ってしまったのよ。」
 女性は、穏やかな口調でそう答えた。
「でも、約束があるから魔族は怖くないじゃないの?」
 「そうね。でも人族は、怖かったのよ。いつ、魔族が約束を破ってこっちを襲って来ないのか、ってね。」
 「そんなのって、可笑しいよ!僕、魔族の友達がいるけど、その子とってもいい子なんだよ!」
「ええそうね。でも人族はわからなかったの、本当の魔族がどういう者なのか。争っていた頃の記録を見ると、魔族が恐ろしい存在で、人族の敵、と残っていたそうよ。
 だからね、貴方には、そんな間違いを起こさないで欲しいの、わかった?」
 「うん、わかった...」
 少年の言葉には、少し元気がなかった。やはり、人族が大事な約束を破って魔族を襲ったのが衝撃的だったのだろう。
「じゃあ、続きを読みましょう。人族に襲われた魔族は、大激怒でした。そこで魔族は人族との物流を絶ち、攻撃を仕掛けました。
 それからは、魔族と人族の争いでした。
 その様子を見ていた神族は、その争いに巻き込まれたくはなく、中立の立場でずっと争っている二つの種族の争いを見て見ぬ振りをしていました。
 そして、見て見ぬ振りをしている神族に大激怒した魔族は、神族との物流もたち、攻撃を仕掛けました。
 そして、神族は、このことに大激怒し、巻き込まれるきっかけになった人族と、攻撃を仕掛けて来た、魔族に攻撃を仕掛けました。
 互いに、憎しみ合う辛い時間が、百年続いた頃でした。
 その頃、この絵の、三つの種族から三人の主人公が生まれたのです。
 あっ、そろそろ夜ご飯の準備をしなくちゃ。
このお話は、また今度ね。」
 それを聞いた少年は少し不満そうな顔をしたが、ここでごねたら夜ご飯が食べれなくなることがわかっていたので、文句は言わなかった。

 さて、気づいたかもしれないが、ここは、異世界であり、この『魔王と神と王子様』という絵本は、本当に有った話を元にして作った絵本なのである。これから書かれている話は、その時代の出来事である。
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