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二章

五十九話

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 むぎゅむぎゅむにむに。
 昨夜もロフトで一緒に寝たからここは定位置。当たり前のように程よく実ったエリリンのお山に埋まる。添い寝!

 ぷはぁっ!! 窒息しちゃうからね! 適度に息継ぎもしないと!!

 むぎゅむぎゅむにむに。幸せだぁ。

 で・も! 今日は昨日と違って二人きりっ。ふ、ふ、二人きりっ!! えへ、えへへ。


「はいはい。良い子だから、ねんねしよ」

 ドクんっ! 何故か俺にだけ優しい。そして、二人きりの時はこの口調!

 これぞ今時ギャル、エリリン!
 夜は母性が溢れちゃうんです!


 フッ。今夜は二人きり。フラグは立ったようなもの。ねんねなんかしてる場合じゃないんだぜ!

 ──ガォォォー!!

 ◇

 むぎゅむぎゅむにむに。ぷはぁ

 それは不意に、よしよしぎゅっぎゅされながら、むぎゅむにぷはぁしてる時だった。

「ねぇ、アヤノちゃんが良かったらなんだけど、その……わたしもね……したいなって」

 へ? えええぇぇぇええ?! したい?!

 少し気まずそうにも照れた様子で、普段見せない顔つき。これって、もう……そういうことだよね?!


「うんっ! いいよぉ! アヤノもねっずっとずっとしたかったの!!」

「ほんとっ?……じゃあ脱ごっか。バンザーイってして!」
「ほんとぉだよぉぉ! ばんざぁぁーーい!!」

 万歳! 万歳! なんだよこの急展開!!
 いつからだよ! ずっとずっと心は一つだったんだ!!

 エリリン大好きだぁぁぁ!

 「ひゃぁっ」万歳すると秒速でTシャツを脱がされたっ。そ、そんなになのかエリリン。そんなに急いで!! んんっ!! もうっ!


「じゃあ、わたしも」

 手をクロスして裾を掴んだっ!
 え、え、エリリンも脱ぐぅぅ!!

 やばい。色々やばい。心の準備が。は、初めてなんだよぉ!

「んっ、しょっと」ぬ、脱いだぁーー! で、でかい! いや、これは……これは寄せてます! ブラで寄せてます!! さて、次は下着だぁ!! いつでもいいよ。さぁさぁさぁ!


「大丈夫かな……臭くないかな?」
「ん? そんなことない!! いい匂いだよ!!」
「なら良かった。じゃあ……はいっ!」


 えっ? Tシャツが顔を覆って……頭から……。
 えっ? 腕を通して……。あれっ?

 今さっき脱いだばかりだ。脱いだんだ。
 なのにどうして俺はまたTシャツを着させられてるんだ?

 んんっ?!

「……じゃあ、わたしも着るね」

 ええっ?!

「……ねぇ、そんなにじろじろ見ないでよ。恥ずかしくなっちゃうじゃん」

 っっ?! え、ええっ?! そりゃガン見するよ。なんで? ねぇなんで? どうして着ちゃうの?!

 せっかく脱いだのに……どゆこと?!

「交換完了だねっ!!」

 ハッ!? このTシャツはさっきまでエリリンが着てたやつ……ドクンッ。ドクンッ。ドクンドクンドクンっ。

 スゥゥゥゥゥゥぅぅ!!

 襟を掴んで鼻にIN!! キャミソールの時には出来なかった幻の奥義。スゥゥゥゥゥゥハァッ!!

「ちょっと?! 何してるのアヤノちゃん?」

 ふんっはぁ!! スゥゥゥゥゥゥぅぅ!!


 〝フルアーマーシリーズ 
  model見せパン系ギャル!〟

 なんだ、この漲る闘争心は……エリリンがエリリンが……体に吸収されていく!!

 柑橘系の……柑橘系の甘い香りがっ!! 鼻を包み込む!!

「それはダメっ!! やめて!!」

 エリリンに手を掴まれ、襟が鼻から離れた。
 無意識だった。俺は……鼻から下を襟で覆っていたんだ。

 美少女の目の前で……なんたる間抜けな姿を……。醜態だ……。

 僅かに冷静さを取り戻せた。これは寝静まってからだな。寝静まってからもう一度、襟を鼻に埋めよう!

 でもこれはいったい。
 まさかエリリンにはユニフォーム交換の心得があったのか?! し、しかも対象は俺?!

 ドクンドクンドクンッ。

 交換したんだ。そういう事にしかならないよな。

 エリリンは俺のことをそういう目で見ていたってことか! だったらいこう! 今すぐ次のステージへ!!



「これで同じ。ジャスミンなんかに負けないんだから」

 ちょっぴり嬉しそうにするエリリン。
 あぁ、なんだ。そういうことか。


「じゃあ、ねんねしよっか。おいでアヤノちゃん」

 添い寝IN。こんな、こんなところで寝て……いや、寝たら堂々と襟に鼻をかけられる。うむ! それも悪くない!!


「うんっ。一緒に寝るぅ!!」

 スヤァ。スヤァ。スヤァ。


 起きない……。完全に寝たようだな。

 さぁて! 宴の時間だぁ!
 フルアーマー奥義を発動だぁ!!
 襟を鼻に掛けて……スゥゥゥゥゥゥ!!

 ハァァッ!!

 スゥゥゥゥゥゥっっ。スゥゥゥ……Zzzzzz。

 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


 ──この一週間は色んなことがあった。楽しい楽しい異世界の想い出。いつまでも大好きな四人の美少女。

 ◇

 エリリン二日目はデートをした。女の子二人で街を散策。お揃いの小物を買ったりとっても楽しかった。

 夜は一緒に里芋の煮っころがしを作って、続くカシスちゃんへのお土産もバッチリ。なんだかんだでカシスちゃん想いなんだなと、ホッコリした。

 夜は昨晩に続きユニフォーム交換をした。「これでわたしは二回。ジャスミンに勝った!」と喜んでいた。いったい何を争っているのかと不思議に思っているとあっさり答えは見つかった。

 ジャスミンお姉さんのことを嫌いなのかと尋ねると、
「綺麗で大人っぽくて、スタイルも良くて。年上風吹かせてくる割には面倒見もいいし。ほんと嫌い。無理!」とな!

 なるほどジェラシー!

 もしかしたら関係修復できるかもしれないと、ちょっぴり安心した。
 
 ◇

 セカンドバッターのカシスちゃんは学生寮に住んでいた。お忍びでのお泊まり。ドキドキツンナイトフィーバーは予想を超える夜になった。

 学園内では神童カシスとして名を馳せてて、同級生、上級生問わずカシス様なんて呼ばれていてビックリ。
 エア友達のくまごろうが存在する理由がなんとなくわかった気がする。

 カシスちゃんがツン道を極めてることなど、きっと誰も知らないのだから。もっともっと仲良くなりたいなと思った。

 ◇

 続くサードバッターのヒメナちゃんは何故か王宮内で皮のブーツを着用していた。もちろんニーハイで。色々と嫌な予感がして逃げ出そうとしたんだけど、逃げられず……とんでもない二日間になってしまった。

 なんせ、そのニーハイはエリリン家、カシスちゃん家と四日間お泊まりしてる間に、ブーツの中を四泊五日していたのだから。

 しかもそれだけじゃない。単なるお泊まりではなかったんだ。

 どうやら皮のブーツを履いて毎日ランニングをしていたらしい。もはや日課なのか、二日目は一緒にランニングをした。あぁ、なんだか青春っぽいなぁって清々しい気持ちになったんだけど、一日明けて五泊六日になったニーハイに襲われてしまいTHEエンド。

 ◇

 ──そして最後。ラストバッターはジャスミンお姉さん。

 このお泊まりは月曜日を跨ぐ。この日をお姉さんの家で迎えられる事は偶然にして奇跡だったのかもしれない。
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