優しさだけでは付き合う事が叶わなかったので、別の方法で口説く事にしました♪

おひるね

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49話

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 もはや第二の部屋と化した此処は準備室。

 少しずつだが、ちほの私物が増えている。
 小さいながらもテーブルだってある。右端から座り心地の良いカラフルなタイルカーペットも三畳ほど敷いてある。当然、上履きを脱いでから座る。

 実使用スペースは一畳もない。二人仲良く壁に寄っ掛かりながらくっついて座るのだから。

 そのうちTVや冷蔵庫、生活家電まで用意するのでは無いかとひやひやしている。

 気分は二人だけの部室。もちろん部など存在しない……。

 先生からは『今後も好きに使っていいよ』と言われたが、まさかこんな使い方をされるとは思いもしなかっただろう。


 ──肩を寄せ合い優しい時間が流れる。少しお昼寝しようかなぁ。


 うとうとしていると、「よぉしわかったぞ~」とちほが喋りだした。

 「りっくん! スマホ教室始めるよ!!」

 はい? どうしてそうなった?

 ゴソゴソとちほが俺のポケットに手を入れる。右ポケットにお目当の物は無かったようで、容赦無く左ポケットに手が入ってくる。

「あった♡」

 はい。ありました。ちほのスマホです。
 お目当の物を見つけ出し、とても嬉しそうだ。

 はいっ! と俺に手渡されるスマホ。ここまで来れば何が始まるのかは察しがつく。

 本気でスマホの使い方がわからない。などと思っていないだろう。

 ──これはきっと〝プレイ〟だ。
 そういうプレイだと思って受け入れるしかない。


 俺は右手でスマホを持った。
 ちほは腕に抱きつくような体制で俺の手の上からスマホを両手で触る。

「使い方♡ 教えてあげるねッ♡」

 色々と当たります。352件のメッセージを未読スルーしたツケがこんな形で現れるとは……。

 油断すると健在な男子高校生の理性など一瞬で刈り取られてしまう。せめて妖精さんが居れば。
 完全なる個室に二人きり。それでスマホ教室だなんて。やばいよ。

「ほら、ロック解除して♡」
「お、おう」
「じょーずじょーず♡ じゃあもう一回!」
「う、うん」
「わぁ! りっくんすごい!」

 これはいったい。なんでしょうか。でも……。
 いちいちぐいぐい押されるから、胸が腕に当たるのだけれども。手汗も気になる……困った。

「じゃあ、次はここ押して?」

 てっきりメッセージアプリかと思ったら、まさかの写真アプリ。ちょっと早過ぎませんか? いや、本当に。

「いや、それは……」
「ダメなのぉ……?」
「いや。だ、大丈夫」
「なら、はやくぅー!!」

 急かさないで!! 心の準備があるの!!

 待ちきれなかったのか、ちほに親指を摘まれ「えいっ」と俺の指は写真アプリを押していた。

「わぁぁ! りっくんほんとじょーずだね♡」

 いやいや。今のは完全に……。でもなんだろ。これはこれで、悪くない……かも。

「ねぇ、りっくん。ここ!」

 少し恥ずかしそうに指差す先は、動画フォルダだった。押さなくてもなんとなくわかる。だってちほの顔が映ってるのだから。

 もはや、俺の意思など関係ない。この親指はちほに操作されるだけ。あってないようなものだ!

「再生ボタン押すのは自分でやってぇ♡」

 いや、それ言っちゃダメでしょう! 今まで俺が押してたていなんだから!

「ねぇ、りっくん。はやく!!」

 恥ずかしいのか、俺の肩に顔を埋めてしまった。

 ここで押さぬは男の恥。おそるおそる再生ボタンを……押したッ!!


  〈りっくぅーーん!〉

 俺は画面に釘付けになった。絶世の美女ちほが俺の名前を呼んで手を振っているのだから。可愛過ぎる……。


  〈だ・い・す・き。ちゅ~♡〉

 ゆっくりと大好きと言い、唇がどんどん画面に……近付いて……来る!! ドクンドクン。

 画面越しなのにドキドキする。鼓動が……。


 ──そして、俺はちほにキスをされた。

 普段するキスよりもたくさんドキドキしてしまった。なるほど、これがしたかったのか。

 って、あれ? それじゃまるで、俺がスマホを触れない事、わかってたみたいじゃないか。


 やっぱり手のひらで転がされちゃってるな。

 ◆

「じゃあ、スマホ教室の続きしよっか! Lesson2!!」


 えっ? まだ続くの?
 スマホ教室Lesson2ってなんだよ?!
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