66 / 106
66話
しおりを挟むガチャン。無事に店内の奥へ入れた。最側感謝!!
「じゃあ、研修頑張って下さいねー!」
「待ってくれ!!」
「はい?」
「俺はこれからどうしたら?」
こんな通路で放置されたら困っちゃうよ?
「…………。えっ、知らないですよー」
最側なりに考えてくれたように見えたが、めんどくさそうな顔と口調で突き放されてしまった。
ここで引き下がったら二の舞だ。俺はまた……体育座りをするしかなくなる。
「おまえしか居ないんだ。頼む」
「なんですかそれ。一瞬ドキッとしちゃったじゃないですかぁ。ほんと、どこでそういうの覚えてるんですかッ!」
慌てるように大きく一歩後ろに下がり、近寄らないでと、手をこちらに向けてきた。
しかし、引き下がれない。体育座りはもう嫌だ!!
「おまえに見捨てられたら、俺はもう終わりだ」
誠心誠意、懇願した。脳裏を過るのは体育座り。最後まで諦めない!!
「さすがにきもいですぅ。わかりましたから、頭上げて下さいぃぃ!!」
やった!! 最側サンキュー!!
「あからさまに嬉しそうな顔しないで下さいよー。もーーーう、きもいですきもいですきもいですぅ!!」
やっぱ、腹立つわこの女。
◆◇◆◇◆◇
テクテクテクテクテクテク。
最側についていった。そして最側は当たり前のように女子更衣室に入る。当然、俺はここで立ち止まる。
昨晩と同じミスはしない!!
「じゃあ、先輩♪ 後ろ向いてて下さいーー。って居ない?!」
当たり前だろうが!! 馬鹿女!!
「俺はここで待つわ!」
それだけ言い、扉を閉めた。
ガチャンッ。
「うー。勝手に開けて覗かないで下さいよぉ!」
「覗くわけねーだろ!」
…………。
「そこに居られると落ち着かないなぁ。入って来て下さいよぉ!!」
…………。
「ねぇ、せんぱーい! 聞いてますー?」
「馬鹿な事言ってないで、早く着替えちまえよ!」
「うーーーー。覗かないで下さいよぉ?」
「覗かねぇよ!!」
普通じゃないだろこれ。部屋の外に居るより、中に入って背中を向けててくれた方が良いって事なのか?
女心はわからないからなぁ。これが普通なのだろうか。いや、どう考えてもおかしい。
ほんと、何考えてるのこの子。
◆◇
「せーんぱい♪ おまたせです♪」
「おう、早かったな」
「あ、なんか鳥肌立ってきました。なんですかこれ、カップルの待ち合わせですか? ごめんなさい無理です」
こ、こいつ……。
「まっ、とりあえず店長を探しますかー!」
◆
店長は食料庫に居た。
「もう、そんな時間か。悪かったね!」
「お疲れさまでーす! ご苦労さまでーす!」
簡単に挨拶を済ませると、最側と店長さんがミーティングをしだした。ーー此処で?!
「じゃあ、頼んだぞ今日も!」
「はいはぁい!」
このやる気のない返事。〝はい〟を二回言うな! 一回にしろ!!
「さっそくで悪いが運ぶの手伝ってくれ! 男手があると助かるな!!」
「はい!」
見たか最側。返事の仕方はこうだぞ?
──当然、感心はゼロ。まぁキリキリしてたら最側っぽくないか。
台車に目一杯乗せられる食材。
俺が台車を押し、店長さんが落ちないように押さえる。
おい、最側。おまえは?
「最側! おまえも手伝えよ!!」
「あー、いいんだ。こんなところで体力を使わせる訳にはいかん! 売上に関わるからな」
「そーなんです。先輩頑張って下さい。」
意味はわからないが、少し切なそうな顔をしているように見えた。
俺は最側でも持てそうな袋を取り出し、渡した。
「これでも持ってろ。一人だけ楽しようとするな」
「…………はいッ!!」
一瞬、驚いたような様子を見せるも、嬉しそうに袋を受け取り笑顔で返事をした。
そんな様子を店長がニヤニヤしながら見ていた。
「最側をよろしく頼むな!」
「あ、はい」
何をよろしく頼まれたのかまったくわからず、最側を見るも「ニコッ」と笑顔が返ってくるだけだった。
──何か言ってよ! 意味わからないから!!
0
あなたにおすすめの小説
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
とっていただく責任などありません
まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、
団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。
この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!?
ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。
責任を取らなければとセルフイスから、
追いかけられる羽目に。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる