海外一人旅1・万年青年どこへ行く カナダ編(門脇賴29歳の時)

門脇 賴

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第22話 プリンスエドワード島2

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 8月30日。
 この2日間は天気の加減もあり近郊でのんびり過ごした。イミグレーション(入国管理所)で、カナダ滞在を1か月延長して貰った。
 それ以外は、Gary から部屋や公園、それにレストランでバイブルの講義を聴いた。いや、聴かされたと言うべきかな? 彼は私がかなりバイブルに興味を持っていると思い込んでいるようであるが、期待され過ぎてもちょっと辛いものがある。本当はそこまで興味があるわけではないのだが…。

 Gary が骨を折ってくれてバイブルの要約版を入手できた。その折、書店で紹介された鈴木さんと言う日本人男性に2人で訪ねる事になった。彼はプリンスエドワード島の農業研究所で15年働いている科学者だそうだ。
 街にある研究所を訪ねた時、鈴木さんは他の白人男性と真剣な話をしていたが、Gary は平気で話しかけていく。頑張って耳を傾けたが、どのような話をしているのか全然付いて行けない。Gary が、"WE are brothers" を強調していたのだけが理解できたが、それ以外はよく分からない。
 一方、白人男性は静かに2人の話を聞いている。が、仕事中でもあり、少し困惑しているのではなかろうか? Garyはお構いなしに話し続ける。
  

 鈴木さんは一度、私に日本語で声を掛けてくれた。

「貴方は日本人ですね。何をしに来たんですか?」
「一般の観光客です」

「珍しいですねえ」
「え? そうですか」

「ええ、日本からは、女性は時々来ますが、男の人はあまり見ないですね」
「そうなんですか。私もアン・ファンなんで。アンの島を観てみたくって…」

「そうですか。珍しいですね」
「男は珍しいですか?」

「ええ」
「そうですか。鈴木さんもクリスチャンなんですね?」

「まあ、ここではそうですが、普段はクリスチャンの事は忘れてますよ」
「そうですか」

 Gary はクリスチャン同士で話が弾んでると思い込んでいるようだった。だが、日本人の私には鈴木さんは早く仕事に戻りたいのに参ったなあ…というふうにしか見えなかった。
 途中で話を切り上げて2人で去って行ったが、同僚の白人男性も迷惑してたんじゃないかと思う。お2人の話の続きは場所を変えて再開する事だろうと思う。とんだ邪魔をしてしまったようだ。周りが見えなくなるのも困りものである。鈴木さんは真のクリスチャンではなく、『郷に入っては郷に従え』レベルのクリスチャンであろう。

 バイブルは8ページほど読んでみた。会話と違ってまあまあ理解できるので、割と面白い事は面白い。

 街でサマーフェスティバルが開催されている。前日偶然見つけて指定席を購入していた、午後8時からの "Anne of Green Gables" を一人で観てきた。『赤毛のアン』である。セリフはあまり分からないが、ストーリーはよく知っているので結構楽しめた。
 『アン』と『リンド夫人』はイメージどおり。『ダイアナ』と『マシュウ』の演技が特に面白く、とても充実した3時間だった。現地で本物が観られてすごく良かった。
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