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三十四話
「ファーシリウスさま、リゼットさまありがとうございました。
またぜひ来て下されよ」
「ふむ、レナンドまた来る」
「…レナンドさんありがとうございました」
お店の外まで見送りに来てくれたレナンドさんに挨拶をして、またシリウス様と手を繋いで店を後にした。
明るいところで見たレナンドさんの金の瞳の中央には縦に割れた黒い瞳孔が見えて、やっぱりドラゴン族なんだなと改めて思った。
「シリウス様、本当に高価な魔道具をたくさん買って頂いてありがとうございます」
「ふむ、リゼットよそれでよい。
我は遠慮されるより、礼を言ってもらった方が嬉しい。
部屋に戻ったら届くようにしておくのだ」
シリウス様がニッコリと私を見て笑ってから前を向いた。
あの状況では止めることが出来なかったけど、高価な魔道具を4つも買ってもらっていいのかなと私は思ったけど、もう買ってもらった後だと首を振り切り替えることにする。
「さあリゼットよ、今日も串焼きを食べるか?それとも違うものがよいか?」
シリウス様は外で私と何かを食べるつもりだ。
街に来た時に前回私がアンディナさんたちとベンチで串焼きを食べたことを嫉妬したって言っていたけど、今から一緒に何か食べようと言うということはやっぱりそうなんだね。
何だか嬉しいような恥ずかしいような気持ちになる。
「リゼットどうしたのだ?」
シリウス様が首を傾げながら聞いてくる。
後ろから陽の光が射していて、シリウス様の長い漆黒の髪がキラキラと輝いていて、とても美しい。
金と赤のオッドアイの秀麗な顔で身長も高くて、手足も長くてこんな美貌の方が本当に私を好きになってくれたのだろうか?
「リゼット?」
シリウス様が少し握っている手の力を強めて、私を覗き込んできた。
シリウス様は私が考えてることがわかっているんだった!
顔に熱が集まってくる。
「あ、あの!今日はシリウス様と違うものを食べてみたいです。
どんなものがあるのでしょうか?」
恥ずかしくてシリウス様の視線から少し目を逸らす。
「そうだな、リゼットは甘い菓子が好きであろう?
ここにはヒト族も食べると言われているクレープというものがあるのだ。
我も食べたことはないが、それなどどうだろう?」
「クレープですか?私も食べたことがありません。
どんなものでしょう?興味あります!」
私もクレープというものを食べたことがないし、どんなものが知らないわ。
「そうか、それではクレープを食べることにしよう」
そう言うと、シリウス様が場所を知っているみたいで私の手を引いて歩いて行く。
クレープのお店までシリウス様と共に行き、どんなものがいいか私たちはわからないので、お店の方おすすめのものを2つ頼んで前回串焼きを食べたベンチで、シリウス様と隣合って座ってクレープを食べる。
薄い小麦の皮に白いクリームと薄い黄色のクリームと色とりどりのフルーツが入っていて、甘みと酸味が合ってとても美味しい。
「とっても美味しいです!」
「甘いな、リゼットが美味しいと言ってくれて良かった」
何だかシリウス様がクレープを持って食べている姿が何だかシュールだわ…。
あれ?シュールって?
いきなりシュールって思ったけど、何でそんな言葉が出てきたんだろ?
えっ?どういうこと?
「リゼットどうしたのだ?何かあったのか?」
シリウス様に心配そうに覗き込まれて、ハッとする。
「…いえ、何でありません」
「…そうか…」
シリウス様が不思議そうな顔で私を見ているけど、自分でも何が何がわからない。
いったい何だったんだろう?シリウス様にも伝わらかったのかな?
でも頭にモヤがかかったみたいに何もわからなかった。
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