62 / 135
第一章 聖女と竜
第62話 ルニアの居る場所
しおりを挟む
「ブレイド、この辺でわたしだけ下ろしてもらえないか?」
途中、ルニアが言った。ブレイドはスピードを落とし、ゆっくりと止まる。
「何で? ルニア、一緒にきてくれないの?」
私に向けるルニアの顔がいつになく真剣で、本気である事がわかる。
「ごめんな、エマ。わたしは嘘をいっぱいついてた。一緒に見返してやろうぜなんて言っておいて、元婚約者の父親の命令に従ってエマの見張りをしてた。死なないように、護衛して欲しいと言われていたんだ。だから、エマに生きていてもらわないと困るのはわたしだったんだ。今回のだって、連れてこなければこんな目に会わなかった――。ごめんな……。だから、一緒に行けない。わたしがいなくなっても、エマはもう死なないだろ?」
急にそんなこと言われたって嫌だ。ルニアが一緒じゃなきゃダイエットの仕方なんてわからないし、絶対に続けられない。引っぱってくれないと私にダイエットは続けられないよ。
頭では考えているのに、声にならない。驚きすぎてなのかな。でも、はやく答えないと、ルニアがいなくなってしまう。……そう思えば思うほどなんと言えばいいのかわからなくなってしまう。
「エマは死なないかもしれないがルニア、君をここでおろすこともしない」
冷静な声でブレイドは続ける。
「さっきの様子だと、この国に残せば君が殺されそうだった。だから、ここにはおろさない。エマが危険を押して助けに向かってしまうだろ? だから、ダメだ。エマにとってルニアは大切な友なんだろう?」
私の考えていた言葉をブレイドが代わりに話してくれた。こくこくと必死で頷く。
「それにルニア、エマを見つけられたのは君のおかげだったんだ。ダイエットで使うからとエマにボクが作った竜魔石を渡しただろう? ボクは自分が作った竜魔石の場所がわかる。ただの石で作ったのにエマが持ち続けてくれていたのは驚いたけど。でも、それがなかったら見つけられなかった」
ブレイドが作ってくれたからと持ち歩いていた石。そっか、それで知らせてなくてもあの場にこれたんだ。
「ダイエットはルニアが持ちかけたんだろう? まだエマは続けたいんじゃないかな。ボクはブレイドであってルニアではない。君の代わりになれないんだ。だから、帰ってからしっかりと話をして欲しい」
ルニアがもう一度しっかりと私を見る。さっきと違うその表情は困ったように笑っていた。
「そうだなぁ。それ、減らさないとだよなぁ」
私はまた必死にこくこくと頷く。お願い、一緒にいてよ。
たとえ、向こうの味方にならないといけない日が来たとしても、それまでは私と一緒にいて欲しい。
「先に進むよ」
ブレイドはまたマクプンへ向け空を飛び始めた。
途中、ルニアが言った。ブレイドはスピードを落とし、ゆっくりと止まる。
「何で? ルニア、一緒にきてくれないの?」
私に向けるルニアの顔がいつになく真剣で、本気である事がわかる。
「ごめんな、エマ。わたしは嘘をいっぱいついてた。一緒に見返してやろうぜなんて言っておいて、元婚約者の父親の命令に従ってエマの見張りをしてた。死なないように、護衛して欲しいと言われていたんだ。だから、エマに生きていてもらわないと困るのはわたしだったんだ。今回のだって、連れてこなければこんな目に会わなかった――。ごめんな……。だから、一緒に行けない。わたしがいなくなっても、エマはもう死なないだろ?」
急にそんなこと言われたって嫌だ。ルニアが一緒じゃなきゃダイエットの仕方なんてわからないし、絶対に続けられない。引っぱってくれないと私にダイエットは続けられないよ。
頭では考えているのに、声にならない。驚きすぎてなのかな。でも、はやく答えないと、ルニアがいなくなってしまう。……そう思えば思うほどなんと言えばいいのかわからなくなってしまう。
「エマは死なないかもしれないがルニア、君をここでおろすこともしない」
冷静な声でブレイドは続ける。
「さっきの様子だと、この国に残せば君が殺されそうだった。だから、ここにはおろさない。エマが危険を押して助けに向かってしまうだろ? だから、ダメだ。エマにとってルニアは大切な友なんだろう?」
私の考えていた言葉をブレイドが代わりに話してくれた。こくこくと必死で頷く。
「それにルニア、エマを見つけられたのは君のおかげだったんだ。ダイエットで使うからとエマにボクが作った竜魔石を渡しただろう? ボクは自分が作った竜魔石の場所がわかる。ただの石で作ったのにエマが持ち続けてくれていたのは驚いたけど。でも、それがなかったら見つけられなかった」
ブレイドが作ってくれたからと持ち歩いていた石。そっか、それで知らせてなくてもあの場にこれたんだ。
「ダイエットはルニアが持ちかけたんだろう? まだエマは続けたいんじゃないかな。ボクはブレイドであってルニアではない。君の代わりになれないんだ。だから、帰ってからしっかりと話をして欲しい」
ルニアがもう一度しっかりと私を見る。さっきと違うその表情は困ったように笑っていた。
「そうだなぁ。それ、減らさないとだよなぁ」
私はまた必死にこくこくと頷く。お願い、一緒にいてよ。
たとえ、向こうの味方にならないといけない日が来たとしても、それまでは私と一緒にいて欲しい。
「先に進むよ」
ブレイドはまたマクプンへ向け空を飛び始めた。
0
あなたにおすすめの小説
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
愛人を選んだ夫を捨てたら、元婚約者の公爵に捕まりました
由香
恋愛
伯爵夫人リュシエンヌは、夫が公然と愛人を囲う結婚生活を送っていた。
尽くしても感謝されず、妻としての役割だけを求められる日々。
けれど彼女は、泣きわめくことも縋ることもなく、静かに離婚を選ぶ。
そうして“捨てられた妻”になったはずの彼女の前に現れたのは、かつて婚約していた元婚約者――冷静沈着で有能な公爵セドリックだった。
再会とともに始まるのは、彼女の価値を正しく理解し、決して手放さない男による溺愛の日々。
一方、彼女を失った元夫は、妻が担っていたすべてを失い、社会的にも転落していく。
“尽くすだけの妻”から、“選ばれ、守られる女性”へ。
静かに離婚しただけなのに、
なぜか元婚約者の公爵に捕まりました。
ブスすぎて嫁の貰い手がないから閨勤侍女になれと言われたので縁を切ります、完全に!完全縁切りの先にあったのは孤独ではなくて…
ハートリオ
恋愛
ルフスは結婚が決まった従姉の閨勤侍女になるよう父親に命令されたのをきっかけに父に無視され冷遇されて来た日々を終わらせようとブラコン父と完全に縁を切る決意する。
一方、従姉の結婚相手はアルゲンテウス辺境伯とのことだが、実は手違いがあって辺境伯が結婚したいのはルフス。
そんなこんなの異世界ファンタジーラブです。
読んでいただけると嬉しいです。
わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。
織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。
父であるアーヴェント大公に疎まれている――
噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
地味な私では退屈だったのでしょう? 最強聖騎士団長の溺愛妃になったので、元婚約者はどうぞお好きに
有賀冬馬
恋愛
「君と一緒にいると退屈だ」――そう言って、婚約者の伯爵令息カイル様は、私を捨てた。
選んだのは、華やかで社交的な公爵令嬢。
地味で無口な私には、誰も見向きもしない……そう思っていたのに。
失意のまま辺境へ向かった私が出会ったのは、偶然にも国中の騎士の頂点に立つ、最強の聖騎士団長でした。
「君は、僕にとってかけがえのない存在だ」
彼の優しさに触れ、私の世界は色づき始める。
そして、私は彼の正妃として王都へ……
【完結】悪役令嬢ですが、元官僚スキルで断罪も陰謀も処理します。
かおり
ファンタジー
異世界で悪役令嬢に転生した元官僚。婚約破棄? 断罪? 全部ルールと書類で処理します。
謝罪してないのに謝ったことになる“限定謝罪”で、婚約者も貴族も黙らせる――バリキャリ令嬢の逆転劇!
※読んでいただき、ありがとうございます。ささやかな物語ですが、どこか少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる