花月夜れん

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落ちてきた食べ物 ― 3

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 最後の食事からもう3日もたった。食べ物はまだ落ちてこない。
 最近は食べ終わってもすぐに落ちてきてたから油断してた。
 お腹がぎゅぅぅとなる。ゆめは横で丸くなって寝てる。

「……お腹空いた」

 ゆめの赤い小さな手を軽く引っ張る。ここにきた時に比べて大きくなっていた。

「……おニ……ちゃ……」

 ゆめが小さく僕を呼ぶ。もう少し、もう少しだけ待ってみよう。
 降ってくるのを祈りながら僕は何もない空を見上げた。きっと、きっともうすぐ降ってくる。

るい、オレの――』

 ねぇ、おにいちゃん。

 ◇

「ごめんね」
「お母さん?」
「あなただけを置いていけないの。わかって」
「なんで泣いてるの?」
「大丈夫、大丈夫よ」

 ゆっくりとまぶたが落ちる。真っ暗な闇。
 一瞬、痛みが身体中を走る。
 でも、ぎゅっと抱き締められて温かかった。

 ◇

 小さな食べ物。これは二人で食べればすぐ無くなってしまう。
 僕は少しだけちぎりとって、あとはゆめにあげた。
 祈ったら落ちてきた。だからきっとすぐに次が落ちてくる。
 僕はお腹を押さえながら次の食べ物を祈った。
 いいな。この食べ物は大好きな人にぎゅうって抱き締めてもらいながらここに落ちてきたんだ。
 だけど、大きな食べ物は落ちてこなかった。なんでだろう。
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