Vの世界で理想の美少女やってたら、幼なじみに見られた……俺。

花月夜れん

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まじで、これで出かけるのか? 俺ぇ!

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 ブンブーンブンブーン

 何かがなっている。

 ブンブーンブンブーン

 あと五分……。おふとんあったかい。
 って、ヤバい!!
 俺は急いで起きあがる。変な体勢で寝たせいか首が固まってる。だが、今はそんなことにかまってる暇はないっ!

「初詣!!」

 約束の時間まであと一時間半。まあ、余裕といえば余裕だ。よし!
 俺は布団の誘惑に負けた。

「ふぁっ」

 何時だ! 時計を見る。7時45分だと――。
 布団をはね飛ばし俺は出かける準備をする。ナミがけたけた笑っているがそれどころじゃない。
 うぉぉぉぉぉぉぉ、急げ俺ぇぇぇぇ。
 顔を洗い、服を羽織る。選んでる暇がねぇ!
 鏡をみると寝癖たっぷり。なんで今日に限ってこんなにっ!!ちょびっとひげも見える。猫ひげのようにちょびちょびとはえる俺のひげ。だーもう、剃ってる暇が――。

 ピンポーン

 きた!! 俺はマスクをつける。これでひげは隠れる! よし、これで……。
 なかなか笑える事になっている。初笑いは俺だったとかにならなきゃいいけど。

「明けましておめでとう。ナミ、いつきく――」

 俺が急いで顔を出すとマキちゃんは見事にぷぷっとふきだした。

「樹君、夜遅くまでゲームしすぎですよ」

 そういう、彼女はなんと着物姿だった。
 なんだこれ、女神か?

「マキかわいいじゃん」

 普段着のナミが俺の言いたいセリフを先に言った。

「マリヤも着てるんですよ」
「明けましておめでとうー」
「明けましておめでとう」

 マリヤとマサユキが後ろで立っていた。おぉ、マリヤも似合ってる。ということはミツキに着せても似合うんだろうなぁ。ただ、着物は発注していない。さすがに3日間の為に、細かくて繊細な高いデータを発注するのはもったいない……。気がしてな。
 マリヤを見るとやっとけば良かったなぁとも思うけど、いつものコネクトデザインファクトリーは年末年始お休みだったからなぁ。書き入れ時だと思うんだけど。

「ナミも着ればよかったのに。そうだ、うちにいけば母が着付けしてくれますよ。たしかまだ予備が」
「あはは、私はいいよ。普段着の方が動きやすいし。時間がかかっちゃうでしょ」
「ナミも着たらどうだ?」

 俺はある考えからそう言った。ナミが着付けしてる間にゆっくり俺も準備ができる、と!

「なに? お兄、妹の着物姿なんて見たいの?」

 ん、違うぞ? 俺の準備時間が欲しいんだ。

「可愛いんじゃないか?」

 だから、ほら行ってこいよ。何顔を赤くしてるんだ?
 あー、普段憎まれ口ばっかりだから俺が言うとびっくりするわな。

「お兄が言うなら、マキいいかな?」
「はいはい、じゃあ行こう。あ、樹君、靴下履き替えておいて下さいね」

 くすくすと笑いながらマキちゃん達が家に吸い込まれていく。
 靴下?
 俺は自分の足元を見た。
 青と黒!! ぐはっ、この違いに気がつくとは、マキちゃんさすが俺の彼女だ。
 間違い探しとか得意そうだ。じゃない、恥ずかしいぃぃぃ!!
 マキちゃんの初笑いが俺の靴下とかじゃなければいいな(がくり)。
 ターンして家の中に戻ろうとしたら、お酒を持った父さんと母さんが立っていた。って顔、赤くない? 二人でデートしてくるんですよね?

「ナミちゃん、着物が着たかったなんて聞いてない!」
「だが、もう向こうに連れていかれてしまったぞ」
「大丈夫よ、うちにはもう一人いるわ……」

 な、な、何をするきだ!? 母さん、父さん!

 あーーーーーーーーーーっ!!

 ◇

「樹……君?」
「あ、はい……」

 髪飾りの白い羽がふわふわと揺れる。

「か、か、か…………」

 なんで俺は彼女の前でこんな格好をしなくちゃいけないんだ。

「かわいぃぃぃぃぃ」

 そして、なんで彼女にそんな事言われなきゃならないんだぁぁぁぁ!!
 淡いピンクと白の着物。冬用のふわふわファー襟巻き。いや、これどう見ても女物。
 無表情が多いマサユキが真っ赤になって笑うほど。あまりに面白すぎて顔をそむけながら笑ってやがる。
 マリヤは珍しい物を見るような瞳で見てくるし。

「ナミ、なぜ母さんに言わなかった……」

 ナミは赤色の毬や花の柄の着物を着て目をまん丸にしていた。正直、綺麗だった。だけど、ほんとならこの可愛いピンクの着物はお前が着るはずだったのに!!
 逆ギレかもしれない。抵抗すれば良かったかもしれない。だけど、嫌だと言うと母さんがべそべそ泣き出したのだ。泣き上戸……。このあとの二人のデートに影響したら悪いし、俺はされるがままされてきた。

「あー、もうどうにでもなれー」

 なんて思うんじゃなかった。

「樹ちゃんいってらっしゃーい」

 満足げな母さんは横に転がりながら手をふっている。出来上がりすぎだろ。

「樹ちゃん、今日はよろしくね」

 マキちゃんが引っ張ってくる。
 さすがに靴じゃないと歩けないから下はただの靴だ。
 あとハーフパンツをはくのはなんとか死守した。
 したが、動きづらい。よくこんなので初詣に行こうとか思えるな。ナミが普段着の方がいいと言ったのがわかる。そこはホントすまなかった。

「マキちゃん、その、こんな格好で俺」
「大丈夫! ここまでお化粧してればバレませんよ」

 いや、そうじゃなくて、ね? 彼氏がこんな格好で嫌じゃないんですか?
 俺は自分の彼女が少しわからなくなった……。
 女の子みたいな俺を卒業したいのに、まさか正月から女の子にされるとは――。

「あー、でもこれじゃあ」

 マキちゃんがぼそっと言う。

「マサユキが逆紅一点です」

 だから、そうじゃなくてぇぇぇぇ。

 ◇

 地元の神社は賑わっていた。歩いて10分にあるそんなに大きくないところだ。
 普段は二、三人が散歩するような場所にこの日はどこからわいてでたのかたくさんの人が集まる。

「あ、たこ焼きやさん」

 ひぃ、マリヤ、俺はもうたこ焼きはとうぶん見たくないんだ。

「りんご飴にわたあめ、焼きそばにポテト」

 ナミがわくわくしながら店をチェックしている。

「一通りの出店はあるんだな」
「あ、あそこ。ステーキ肉のハンバーガーだって珍しいですよ」

 中の方は見えにくい。出入り口付近まで参拝の列が出来ている。

「並びながらあとで買うのを決めとこうぜ」

 俺は小さな小さな声で話す。変声機なんて今はないからな!! 超小型変声機が欲しいぜ……。
 それにしても、長い列だなぁ。
 ん、あそこでポテト食ってるのってどう見ても……。

「あ、ナミちゃーん!! 可愛いねぇっ!!」

 ユウキじゃねーか!!!!
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