Vの世界で理想の美少女やってたら、幼なじみに見られた……俺。

花月夜れん

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次々におそいくる刺客が!俺のHPを削っていく!

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「やっぱり、マリヤさんだ」
「何のようだ?」

 マサユキがマリヤの前に立つ。おぉ、かっこいいな! まるでお姫様を守る騎士のようだ。
 菊谷はまったく意に介せずこちらに歩いてきているけれど。
 ホント、何の用だよ。まさか、またマリヤに――?

「この前は勘違いしてたのにしつこくしてごめんなさい」

 菊谷は頭を下げ、きちんと謝罪している。なんだ、謝りにきただけかよ。こういうとこはちゃんとしてるんだな。

「あの……」
「遠坂ともきちんと話して確かめました。あれはアイツのだったと理解しました」

 あー、そうかい。俺はアイツの中でミツキちゃんファン友認定されてしまったようだ。

「それで、少し前にあなたに言ったことも色々違ったかもしれません。本当にスミマセンでした」
「あ……、えっと、そうなんですか?」
「――人違いから傷つけてしまったかもしれません。謝罪します」

 うーん、暑苦しいがまあ、きちんと謝れるのはいいことだ。
 俺は聞き耳をたてながらトルネードの半分位まで食べ進める。

「勘違いだったんですか? いったい誰と……いえ、私じゃないとわかってもらえたんですよね」
「えぇ、似てはいるんですが、どこか違う気がして」

 そりゃそうだ。マリヤじゃないからな。それにしてもこのポテトうまいな。

「本物の彼女が好きなので、僕はあなたに告白したことを取り消してもらいたいと思い」

 告白の取り消し? 本物が好き? 何を言ってるんだ。
 俺の頭の中に疑問符があらわれる。

「そうですか。わかりました」

 わかるんだ!?
 俺にはさっぱりわからない。

「ありがとうございます!」

 勢いよくお辞儀をした菊谷。その手に握られていた唐揚げ棒から唐揚げがひとつ、大空に旅だった。

 ひゅー

 すとんと無事着地したのは俺の皿。これは俺への献上品か?

「わわ、スミマセン! 大丈夫でしたか? ってあれ、遠坂と一緒にいた人」

 マキちゃんに気がついた菊谷。

「あの、この女の子とお知り合いですか?」
「はい、そうですが」

 俺が唐揚げごとマキちゃんの後ろに隠れたから、彼女に声をかけたのだろう。
 とっととこの唐揚げを引き渡すべきか? でもこの姿で出来れば近付きたくないな……。俺はトルネードポテトを最後まで食いつくそうとかぷかぷ食べ進める。皿が必要なくなればコイツにぽいっとこれごと渡せるだろ?

「ミツキさんはいま風邪で声が出ないんだとよ。唐揚げはそのままあげとけばいいじゃねーの? 菊谷ぁ」

 おい、ユウキぃぃぃぃぃ!? その名前はコイツの前で禁句だぁぁぁぁぁぁ!!

「ミ……ツキ……さん?」
「あぁ、樹の従姉妹なんだってさ」

 おぃぃぃ、ユウキぃぃぃぃぃぃ!!??
 お前は個人情報保護法って知ってるかぁぁぁ?
 菊谷の目が俺に向けられている。
 冷や汗がだらだらと流れ落ちた。

「可愛いですね。どこかで会ったことあるのか、見覚えがあります。あ、飛んでいってしまった唐揚げはあなたへのスパチャ……おっと、差し上げます」

 ヒィィィィィィ。
 なんか、コイツの目が怪しく見える!!

「それじゃあ、僕はこれで」

 あれ? なんだか思ったほど軽く菊谷は去っていった。あー、名前が一緒ぐらいならさすがにVのミツキとは結びつけないか……。
 俺はホッと肩を撫で下ろす。

「すごく緊張してましたね? 大丈夫ですか?」

 マキちゃんが心配してくれる。

「いや、さすがにクラスの親しくもないヤツに女装バレとかしたら俺が死ぬ」
「あ、そうですね」

 マキちゃんに引っ張られ次の店クレープ屋に連れていかれる。

「やぁ、マキちゃん」

 そこにはアイスクリーム屋のお兄さんがいた……。

「あれ、こんなところで会うなんて」
「今日は彼氏君はいないの?」
「あはは、今日は友達となんですよー」

 ちくしょぉぉぉ、いるよ! ここにいるよ! 俺ぇぇ!! これが大凶の始まりか……。今年の俺は本当に気をつけて生きていかないとだ――。

 家に帰りついた俺を待っていたのは、カメラを構える母さんと父さんだった。
 ふたりがじりじりとにじりよってくる。
 これ以上、女の子な俺を増やさないでくれぇぇ。
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