私は聖女じゃない?じゃあいったい、何ですか?

花月夜れん

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第二章・火の精霊の国

54話・晴れたらいいな

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「あれ、リサちゃんその話どこで聞いたの?」

 ぴーちゅんの背中にのって、山を越えている途中、アリスから、話を聞いていた。けど、サラから聞いた話とほとんど同じだったのでもう知っていると言うと不思議そうに聞いてきた。

「さっき、アリスちゃんが来る前に仲良くなったサラっていう人から聞いたの」
「そうなんだ。もう日照りの話も向こうの雨が止まない話も街で噂になっちゃってるのかな」

 ぴーちゅんが上空で止まり、アリスは、前を指差す。ここはちょうど雨が降らない雲の境目のようだ。

「あそこが雨が降り続けて困ってる街だね。前に来た時より酷くなってる」

 眼前に広がる黄土色の街は、雨がパラパラ、ザーザーと降っており、低い場所は、水に浸かってしまっている。

「この水を山の向こう側に魔法で持っていけないかなって思ってるんだけど。ボクだけじゃ、ぴーちゅんにあげる分と水を運ぶ分の魔力が足りないからさ」
「うん、水の魔法なら私も使えるし! 私が水を運べばいいのよね?」

 任せて! と握りこぶしをつくる。
 ライトコールじゃ、バレちゃ駄目って制限のせいで魔法を使えなかったけれど、ここならドーンと使っても問題ないよね! だって、監視役もいないし。
 えっと、なんて命令しよう。

 雲って水蒸気だから、水よね。雲ごとあっちの街に動け……とかかな。よーし。

「ウォーター!」

 ピーンと空気が張りつめたと思った瞬間、境目にいたはずの私達の上に雨雲が流れてきた。

 ザーー

「ひゃぁぁぁぁ!」

 冷たい、冷たいー!

 急いでアリスが風の魔法で私達の上に風の傘みたいなものをだしてくれたけれど、すでにびしょ濡れです。

「これ、リサちゃんがやったの?」
「いちおう……」

びしょびしょの髪を絞りプルプルと水を飛ばす。

「ボクの想像の遥か上のことをしたね。まさか、雲ごと移動させるとは……。雲って水魔法でうごかせ……たんだ?」
「……みたい」

 空からは雲がなくなり、太陽が顔をのぞかせていた。とりあえず、少しの間は晴れてくれるといいけれど。
 毎日これをするわけにはいかない……よね。

「一回、街に戻ろうか。このままじゃ風邪引いちゃうよ」

 びしょびしょになった私達は、ドレンのいる街に引き返した。
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