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第四章・風の精霊の国
90話・風の精霊の国の前に?
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「ここが風の精霊の国、ウィンドキャニオンかー!」
「ここはね、風の力を使った風車や、真ん中に川が流れてるから大きな水車もあって、ぐるぐるまわるものがいっぱいなんだよ。ほら!」
街には大きな風車が沢山あって、川に大きな大きな大水車が小気味良い水音をたてながら回っていた。
緑溢れる渓谷にサラサラと透き通った綺麗な水が流れる川。
「なんだか、清々しくて癒されるー」
「確かに、ここは空気がとても綺麗ですね」
「いいところっすね。僕も何度かきたことあるっすよ。温泉があってとてものんびりできるんっすよ」
え、一人誰かがまじってるって?
そうそう、この人は――
ーーー
ウィンドキャニオンに着く前に、一度休憩しようと言って森の中の少し開けた小川のほとりで私達は一休みしている最中だった。
近くになっていたという、茶色の木の実をアリスが持ってきた。
「これ、甘いんだよ」
はい、と渡されたのはどう見てもどんぐり。だけど、さわり心地がぷにゅぷにゅだった。
「そのままかじるの?」
「うん、食べれるよー」
かぷっとかじりつくとやっぱりぷにゅぷにゅで、
「チョコレートマシュマロ!」
「ん? リサちゃん食べたことあるの?」
「味がね、チョコレートで食感がマシュマロなの。私の世界のお菓子なんだけど」
「へー」
上空にポイっと投げてアリスはパクリと木の実を食べていた。
ルードは甘いものが苦手なのか、取りに来ず水辺を眺めながらゆっくりしていた。
その時、
「たーすーけーてーーーーっすーーーー!」
何か、助けをよんでいるような叫びが聞こえた。すぐにアリスは耳をピンとたて、どこからの声なのか探っているようだった。
「なんだろう?」
「なんでしょう?」
「なんだろうねぇ」
三人がそろって同じ事を言うと、ビョンビョンビョンという音と人が走る音とともに何かがこちらに突撃してきた。
川を挟んだ向こう側を帽子とマントをつけた人が走っていて、後ろには赤くて大きな生物がビョンビョンと跳びはねながらその人を追いかけている。
「レッドフォレストフロッグかな」
「うわー、おっきいカエルさん」
「あのサイズ、人も飲み込みそうですね、主でしょうか」
「あーっ! そこの人達、見てないで助けてほしいっすー!」
向こうもこちらに気付いたみたい。
「食べられちゃったら目覚め悪いしねぇ、しょうがない」
「休憩が台無しですね」
そう言いながら、二人は風の精霊を呼んで向こう側に飛んだ。
あれ、私は?
ポツンと一人反対側に残されてしまった。
風の精霊さん! 私に力を!!!
しーん
ですよねー!
哀しみにほんのちょっと涙が出そうな私は、飛んで行った彼らに視線を向けた。
「ここはね、風の力を使った風車や、真ん中に川が流れてるから大きな水車もあって、ぐるぐるまわるものがいっぱいなんだよ。ほら!」
街には大きな風車が沢山あって、川に大きな大きな大水車が小気味良い水音をたてながら回っていた。
緑溢れる渓谷にサラサラと透き通った綺麗な水が流れる川。
「なんだか、清々しくて癒されるー」
「確かに、ここは空気がとても綺麗ですね」
「いいところっすね。僕も何度かきたことあるっすよ。温泉があってとてものんびりできるんっすよ」
え、一人誰かがまじってるって?
そうそう、この人は――
ーーー
ウィンドキャニオンに着く前に、一度休憩しようと言って森の中の少し開けた小川のほとりで私達は一休みしている最中だった。
近くになっていたという、茶色の木の実をアリスが持ってきた。
「これ、甘いんだよ」
はい、と渡されたのはどう見てもどんぐり。だけど、さわり心地がぷにゅぷにゅだった。
「そのままかじるの?」
「うん、食べれるよー」
かぷっとかじりつくとやっぱりぷにゅぷにゅで、
「チョコレートマシュマロ!」
「ん? リサちゃん食べたことあるの?」
「味がね、チョコレートで食感がマシュマロなの。私の世界のお菓子なんだけど」
「へー」
上空にポイっと投げてアリスはパクリと木の実を食べていた。
ルードは甘いものが苦手なのか、取りに来ず水辺を眺めながらゆっくりしていた。
その時、
「たーすーけーてーーーーっすーーーー!」
何か、助けをよんでいるような叫びが聞こえた。すぐにアリスは耳をピンとたて、どこからの声なのか探っているようだった。
「なんだろう?」
「なんでしょう?」
「なんだろうねぇ」
三人がそろって同じ事を言うと、ビョンビョンビョンという音と人が走る音とともに何かがこちらに突撃してきた。
川を挟んだ向こう側を帽子とマントをつけた人が走っていて、後ろには赤くて大きな生物がビョンビョンと跳びはねながらその人を追いかけている。
「レッドフォレストフロッグかな」
「うわー、おっきいカエルさん」
「あのサイズ、人も飲み込みそうですね、主でしょうか」
「あーっ! そこの人達、見てないで助けてほしいっすー!」
向こうもこちらに気付いたみたい。
「食べられちゃったら目覚め悪いしねぇ、しょうがない」
「休憩が台無しですね」
そう言いながら、二人は風の精霊を呼んで向こう側に飛んだ。
あれ、私は?
ポツンと一人反対側に残されてしまった。
風の精霊さん! 私に力を!!!
しーん
ですよねー!
哀しみにほんのちょっと涙が出そうな私は、飛んで行った彼らに視線を向けた。
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