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第五章・木の精霊の国
115話・木の精霊と昔話
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「それじゃあ、ここにアリスちゃんを元に戻せる薬があるのね」
木霊人によく似た女性が前を歩く。彼女には、頭のてっぺんに可愛い双葉がある。なんだか、すごくつつきたくなるなぁ。
双葉の彼女に連れられて、魔女が使っていそうな釜のある部屋に私達は案内された。
「そう、ここのあの辺に確か作り方を書いてたと思うのだけど」
「リサ様、木の精霊は何と言っていますか?」
さっきから、お話ししてくれているこの人は、木の精霊さんらしく、アリスの薬と契約の話をお願いしたら、快く引き受けてくれた。なぜか、まずはアリスの薬からねと契約を後回しにされてしまったけれど。
「ここの辺りに作り方を書いているみたいなんだけど」
紙の束が積まれている。そして、私は字が読めない。
ルードさんがいてくれて本当に良かった!!
「この猫ちゃん、大魔法使いの奥さんの最初の姿によく似てるねー」
「え?」
「彼女、最初猫だったんだよね。彼が薬で獣人にしちゃったけど。もともとは人間を動物に変える薬の試しだったんだ。謎の失敗でさ、彼ぶつぶつ言ってたなー」
思い出し笑いをしているんだろうか、くふふと笑っている。
「たぶん、失敗って大きく書いてるからすぐわかるよ。あと言語薬は二種類あって、同じ紙に書いてるけどバージョン1は失敗らしくて、2を作ってね。そっちは彼女が1に失敗って書いたらしいよ?」
また、くふふと笑う。どんな夫婦だったんだろう。すごく楽しそうに大魔法使いの夫婦のことを話す双葉の彼女。
ルードに、目印を説明すると少しして束の中から二枚の紙を選んだ。
「一枚はこれで合ってると思うのですが。もう一枚は二種類の言語薬の紙なのですが……」
そこに並んで置かれた紙を見て、私は驚いた。
「失敗……」
「リサ様、読めるのですか? これは失敗と書かれているのですね。ならばこちらで合っているかと」
だって、それはひらがなだもの……。可愛い丸文字でしっぱいと書かれている。それと、手をばってんにしたような顔文字も一緒に……。
もしかして、この人……。あれ、でも最初は猫?
「材料はそこの扉を開けた倉庫に積んであるから、何でも使えるよ」
「え?」
何年ものでしょうか、さすがに腐ってませんか?
ルードが、頭に? を浮かべている。
「そこの扉の先に材料があるらしいです」
私が説明すると、ルードは扉へと向かった。私も、怖いもの見たさに後ろに続く。
「これは――」
「わぁ――」
沢山の、薬の材料? がところ狭しと並んでいる。
でも、全部綺麗。腐ってるものなんて全然無さそう。
「この棚には大魔法使いの彼がかけた特別な魔法が今も生き続けているんだ。ここだけじゃないよ? この家にも、外の結界も。彼が彼女の為に、永遠にとけない魔法をかけたのさ」
「まるで、おとぎ話みたいね」
「リサ様」
「あ、ごめんなさい、これはね――」
私はルードに先程の話を通訳した。そして、そのあと目的の材料をすべて揃えて釜の部屋に戻り、作業を開始した。
木霊人によく似た女性が前を歩く。彼女には、頭のてっぺんに可愛い双葉がある。なんだか、すごくつつきたくなるなぁ。
双葉の彼女に連れられて、魔女が使っていそうな釜のある部屋に私達は案内された。
「そう、ここのあの辺に確か作り方を書いてたと思うのだけど」
「リサ様、木の精霊は何と言っていますか?」
さっきから、お話ししてくれているこの人は、木の精霊さんらしく、アリスの薬と契約の話をお願いしたら、快く引き受けてくれた。なぜか、まずはアリスの薬からねと契約を後回しにされてしまったけれど。
「ここの辺りに作り方を書いているみたいなんだけど」
紙の束が積まれている。そして、私は字が読めない。
ルードさんがいてくれて本当に良かった!!
「この猫ちゃん、大魔法使いの奥さんの最初の姿によく似てるねー」
「え?」
「彼女、最初猫だったんだよね。彼が薬で獣人にしちゃったけど。もともとは人間を動物に変える薬の試しだったんだ。謎の失敗でさ、彼ぶつぶつ言ってたなー」
思い出し笑いをしているんだろうか、くふふと笑っている。
「たぶん、失敗って大きく書いてるからすぐわかるよ。あと言語薬は二種類あって、同じ紙に書いてるけどバージョン1は失敗らしくて、2を作ってね。そっちは彼女が1に失敗って書いたらしいよ?」
また、くふふと笑う。どんな夫婦だったんだろう。すごく楽しそうに大魔法使いの夫婦のことを話す双葉の彼女。
ルードに、目印を説明すると少しして束の中から二枚の紙を選んだ。
「一枚はこれで合ってると思うのですが。もう一枚は二種類の言語薬の紙なのですが……」
そこに並んで置かれた紙を見て、私は驚いた。
「失敗……」
「リサ様、読めるのですか? これは失敗と書かれているのですね。ならばこちらで合っているかと」
だって、それはひらがなだもの……。可愛い丸文字でしっぱいと書かれている。それと、手をばってんにしたような顔文字も一緒に……。
もしかして、この人……。あれ、でも最初は猫?
「材料はそこの扉を開けた倉庫に積んであるから、何でも使えるよ」
「え?」
何年ものでしょうか、さすがに腐ってませんか?
ルードが、頭に? を浮かべている。
「そこの扉の先に材料があるらしいです」
私が説明すると、ルードは扉へと向かった。私も、怖いもの見たさに後ろに続く。
「これは――」
「わぁ――」
沢山の、薬の材料? がところ狭しと並んでいる。
でも、全部綺麗。腐ってるものなんて全然無さそう。
「この棚には大魔法使いの彼がかけた特別な魔法が今も生き続けているんだ。ここだけじゃないよ? この家にも、外の結界も。彼が彼女の為に、永遠にとけない魔法をかけたのさ」
「まるで、おとぎ話みたいね」
「リサ様」
「あ、ごめんなさい、これはね――」
私はルードに先程の話を通訳した。そして、そのあと目的の材料をすべて揃えて釜の部屋に戻り、作業を開始した。
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