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第六章・土の精霊の国
139話・順番が逆になってしまった
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少しの間、静寂が流れる。
隣に座るアリスは、優しく涙を拭ってくれていた。
「アリスちゃん」
「んー?」
涙が止まって、私は話しておこうと決めていたことを言う事にした。だって、きちんと伝えておかないと――。本当は、告白前にするつもりだったのに、順番が逆になってしまった。
「あのね、この世界にくる前の話なんだけどね。私、好きな人がいたの」
アリスはまっすぐ、こちらを見ている。意気地なしの私が邪魔をしにこないようにぎゅっと手を握りしめた。
「幼なじみに近いかな。家が近くて、子供の頃から知ってる人。ただ、告白とかはしてなくて憧れていたっていうのかな。大人になって意識し出したんだけどね。その人、彼女が出来ちゃったんだ。ここに落っこちてくる前にね」
たははと笑いながら、話を続けた。
「それを知った時、すごくショックだったな。意気地のない自分が、――嫉妬する自分が嫌になった。告白もしてないのにね」
あぁ、また涙が出てきそう。
「それでね、リンさんのところに向かうアリスちゃんが、その人と被ってしまって……、ごめんなさい。こんな黒い感情を持っていたから、私は魔女だったんだね。だから指輪は嬉しいけれど、私に貰う資格あるのかなぁって――」
言葉の途中でそっと、アリスが肩を抱き寄せてきた。彼の右側にぴったりとよりかかると心が軽くなった気がした。
「告白してなくて、ボクはラッキーだったんだね」
ポンポンといつものように頭を撫でられる。嬉しいけれど、子供じゃないんだけどな。
「もし、恋人が向こうの世界にいたら、ボクはリサちゃんを諦めないといけなかったし――、リサちゃんの意気地なしに感謝しなきゃだ」
アリスはくすりと優しく笑う。ポンポンと、頭を撫で続けながら彼は一呼吸して、はっきりと言った。
「それに、その気持ち。ボクも知ってるよ」
「え――」
ゆっくりと、顔を覗き見ると、少し寂しそうな顔をアリスはしていた。
「ボクにもいたんだ。好きだった人。でも、相手には婚約者がいて。だからね、一緒だ」
「それって……」
アリスは、遠くを見るように視線を上へと投げた。
「スペードが言っていた、ボクの初恋の相手。今はいない。メリエの妹――マナエル」
私は、頭の中で考える。アリスの幼なじみメリエルの妹……。でも、今はいないってどういうこと?
こちらをチラリと見て、アリスは答えをくれた。とても、残酷な事実の――。
「彼女は、亡くなったんだ。ボク達がまだ子供の頃に――」
隣に座るアリスは、優しく涙を拭ってくれていた。
「アリスちゃん」
「んー?」
涙が止まって、私は話しておこうと決めていたことを言う事にした。だって、きちんと伝えておかないと――。本当は、告白前にするつもりだったのに、順番が逆になってしまった。
「あのね、この世界にくる前の話なんだけどね。私、好きな人がいたの」
アリスはまっすぐ、こちらを見ている。意気地なしの私が邪魔をしにこないようにぎゅっと手を握りしめた。
「幼なじみに近いかな。家が近くて、子供の頃から知ってる人。ただ、告白とかはしてなくて憧れていたっていうのかな。大人になって意識し出したんだけどね。その人、彼女が出来ちゃったんだ。ここに落っこちてくる前にね」
たははと笑いながら、話を続けた。
「それを知った時、すごくショックだったな。意気地のない自分が、――嫉妬する自分が嫌になった。告白もしてないのにね」
あぁ、また涙が出てきそう。
「それでね、リンさんのところに向かうアリスちゃんが、その人と被ってしまって……、ごめんなさい。こんな黒い感情を持っていたから、私は魔女だったんだね。だから指輪は嬉しいけれど、私に貰う資格あるのかなぁって――」
言葉の途中でそっと、アリスが肩を抱き寄せてきた。彼の右側にぴったりとよりかかると心が軽くなった気がした。
「告白してなくて、ボクはラッキーだったんだね」
ポンポンといつものように頭を撫でられる。嬉しいけれど、子供じゃないんだけどな。
「もし、恋人が向こうの世界にいたら、ボクはリサちゃんを諦めないといけなかったし――、リサちゃんの意気地なしに感謝しなきゃだ」
アリスはくすりと優しく笑う。ポンポンと、頭を撫で続けながら彼は一呼吸して、はっきりと言った。
「それに、その気持ち。ボクも知ってるよ」
「え――」
ゆっくりと、顔を覗き見ると、少し寂しそうな顔をアリスはしていた。
「ボクにもいたんだ。好きだった人。でも、相手には婚約者がいて。だからね、一緒だ」
「それって……」
アリスは、遠くを見るように視線を上へと投げた。
「スペードが言っていた、ボクの初恋の相手。今はいない。メリエの妹――マナエル」
私は、頭の中で考える。アリスの幼なじみメリエルの妹……。でも、今はいないってどういうこと?
こちらをチラリと見て、アリスは答えをくれた。とても、残酷な事実の――。
「彼女は、亡くなったんだ。ボク達がまだ子供の頃に――」
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