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最終章・聖女じゃなくて
162話・約束と最後の
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「アリスちゃん? 何でここに?」
前もってお願いしていた場所へと向かうと思っていたのに、私は彼に抱き上げられ召喚の魔法陣の部屋に連れてこられた。
何故なのかわからず、首を傾げて、私は彼に聞く。
「アリスちゃん……。私は、あの場所でお別れを――」
「リサちゃんを、元の世界に帰す」
「――えっ!?」
私が驚いているのを置いて、アリスは彼の名前を呼んだ。
「スペード!!」
「叫ばなくても、ここにいるっすよ」
トンっと、軽い足音をならしてスペードが降りてきた。
「君は誰がリサちゃんを呼んだか知っているんだろう? お願いだ。逆転の儀を――」
「リサの気持ちはいいんすか?」
「私は、アリスちゃんのいるこの世界に――」
「ボクは、リサちゃんを愛してる。だから、一人にしたくない!」
「アリスちゃん……? 一人って?」
スペードは、こちらに近づいてきて言った。
「それが、君の答えっすか」
アリスはこくりと頷いた。スペードは、やれやれと帽子に手をやり上に引き上げる。バサリと銀色の長い髪が中から現れた。それと、同じ色の猫耳も。
そこから彼は、包帯も巻きとる。
中からは、サファイヤブルーの目が……。ただ、爬虫類のような瞳孔で、でもその目は確かに、アリスの――。
目のまわりには、鱗の模様が少しだけあった。
「ボクと同じ匂いがするとは思っていたけれど、どういうことだ? ボクに兄弟は――」
「違うっすよ。それに、呼び出したのも僕じゃないっす」
「じゃあ、誰が!」
すっと、スペードは私達を指差す。これは、どういうこと?
「アリスト、君がリサを呼び出した張本人」
「っ?!」
え……? だって、呼び出すにはその人の魔力と愛する人の記憶が必要って。アリスは魔法を使ってるし、最愛の人の――。
「逆転の儀は、君が発動させられるっす」
「…………わかった」
「アリスちゃん!!」
待って、私は、私の気持ちは?
「必ず、もう一度、リサちゃんを見つける。どんなに遠い世界でも。約束する」
「アリスちゃん」
「魔法のないもとの世界に戻れば、リサちゃんは竜にならなくてすむんだ」
「でも、もとの世界には!あ、っ――――」
熱が身体中に広がっていく。もう、時間がない――。
でも、私の世界に獣人なんていない。魔法なんてない。この世界に来る方法なんてもっと――。帰ってしまえば私だけではこの世界に二度とこれなくなる。
「召喚を行いし、魔法陣よ、その役目を逆転しろ――」
アリスが、カトル王子の言った同じ言葉を魔法陣にかける。
「信じて、約束する」
魔法陣が光り、自分の身体が軽く、風船のように浮かぶような感覚に襲われる。帰ってしまう? もとの……世界に……。
「アリスちゃん! 約束だよ!」
私は、渡そうと思って持っていた最後のマタタビ棒をアリスに渡した。
「絶対、ぜったいだよ…………!!」
どんどんアリスの姿が薄れていく。この世界から、私が消えていく。
しっかりとマタタビ棒を受け取ったアリスは、いつものようにふにゃりと笑って答えた。
「大好きだよ、リサちゃん。――――了解」
あの時と逆に、私は上へ上へと浮かび上がっていく。
前もってお願いしていた場所へと向かうと思っていたのに、私は彼に抱き上げられ召喚の魔法陣の部屋に連れてこられた。
何故なのかわからず、首を傾げて、私は彼に聞く。
「アリスちゃん……。私は、あの場所でお別れを――」
「リサちゃんを、元の世界に帰す」
「――えっ!?」
私が驚いているのを置いて、アリスは彼の名前を呼んだ。
「スペード!!」
「叫ばなくても、ここにいるっすよ」
トンっと、軽い足音をならしてスペードが降りてきた。
「君は誰がリサちゃんを呼んだか知っているんだろう? お願いだ。逆転の儀を――」
「リサの気持ちはいいんすか?」
「私は、アリスちゃんのいるこの世界に――」
「ボクは、リサちゃんを愛してる。だから、一人にしたくない!」
「アリスちゃん……? 一人って?」
スペードは、こちらに近づいてきて言った。
「それが、君の答えっすか」
アリスはこくりと頷いた。スペードは、やれやれと帽子に手をやり上に引き上げる。バサリと銀色の長い髪が中から現れた。それと、同じ色の猫耳も。
そこから彼は、包帯も巻きとる。
中からは、サファイヤブルーの目が……。ただ、爬虫類のような瞳孔で、でもその目は確かに、アリスの――。
目のまわりには、鱗の模様が少しだけあった。
「ボクと同じ匂いがするとは思っていたけれど、どういうことだ? ボクに兄弟は――」
「違うっすよ。それに、呼び出したのも僕じゃないっす」
「じゃあ、誰が!」
すっと、スペードは私達を指差す。これは、どういうこと?
「アリスト、君がリサを呼び出した張本人」
「っ?!」
え……? だって、呼び出すにはその人の魔力と愛する人の記憶が必要って。アリスは魔法を使ってるし、最愛の人の――。
「逆転の儀は、君が発動させられるっす」
「…………わかった」
「アリスちゃん!!」
待って、私は、私の気持ちは?
「必ず、もう一度、リサちゃんを見つける。どんなに遠い世界でも。約束する」
「アリスちゃん」
「魔法のないもとの世界に戻れば、リサちゃんは竜にならなくてすむんだ」
「でも、もとの世界には!あ、っ――――」
熱が身体中に広がっていく。もう、時間がない――。
でも、私の世界に獣人なんていない。魔法なんてない。この世界に来る方法なんてもっと――。帰ってしまえば私だけではこの世界に二度とこれなくなる。
「召喚を行いし、魔法陣よ、その役目を逆転しろ――」
アリスが、カトル王子の言った同じ言葉を魔法陣にかける。
「信じて、約束する」
魔法陣が光り、自分の身体が軽く、風船のように浮かぶような感覚に襲われる。帰ってしまう? もとの……世界に……。
「アリスちゃん! 約束だよ!」
私は、渡そうと思って持っていた最後のマタタビ棒をアリスに渡した。
「絶対、ぜったいだよ…………!!」
どんどんアリスの姿が薄れていく。この世界から、私が消えていく。
しっかりとマタタビ棒を受け取ったアリスは、いつものようにふにゃりと笑って答えた。
「大好きだよ、リサちゃん。――――了解」
あの時と逆に、私は上へ上へと浮かび上がっていく。
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