私は聖女じゃない?じゃあいったい、何ですか?

花月夜れん

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最終章・聖女じゃなくて

番外編・聖女じゃないあの子の

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十夏梅となつうめ?」

 青い眼の彼はこくりと頷く。

「ボクの家の名字。あ、夏梅はマタタビの別名なんだけど」
「それってやっぱり、あれだよね。私が持ってた――」

 思い出しているのか、クスクスと彼は笑う。マタタビ棒、10本と言えば私が彼に渡したあの――。

「じゃあ、私が鰹節とか持っていってたら」
「鰹節さんだったのかなぁ」
「私が猫じゃらしを――」
「猫じゃらしさん? あ、エノコログサさんとか?」

 う、どれも名字だったらあれですね……。

「あ、でも、英語表記だとアリス・トナツウメで、ほら! アリストだよ! それに――」
「それに?」
「アリスとマタタビだ」

 彼が呆れたようにしょうがないなぁという顔で笑う。
 うぅ、笑われてしまった。
 しゅんとしていると、彼がそっと頭に手を置いて、ポンポンと撫でてくれる。

「猫耳も魔法もなくなっちゃったけど」

 私は首を横に振る。

「アリスちゃんは約束守ってくれた」

 彼はふにゃりと笑った。それから急に真顔になる。

「ボクはリサを守る――。何の力もなくなっちゃったけど、約束する」

 私はこくりと頷いて、笑った。

☆☆☆☆☆

リサとアリスの物語、これにて終幕です。連載中たくさんの応援、評価ありがとうございました。
また、番外編が書きたくなったら書くかもしれませんが、その時はよろしくお願いします。
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