私は聖女じゃない?じゃあいったい、何ですか?

花月夜れん

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本編番外編

番外編・片青眼の魔法使いに恋をした女の子(2)

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「何? リサの子ども。彼女はついこの前戻らなかったか? 年齢が……」
「知ってるぞ! ライトコールの王子、カトルだろ? あと、お姉さんがメリエルだよな?」
「お兄ちゃん、王子様達を呼び捨てしちゃ駄目だよ!」

 連れてこられた部屋で、私達は金色の髪の男の人と、紫色の髪の女の人に会わされた。

「外見は確かに似ているが……」
「先ほど、水晶にて、確かめましたところ二人とも、どちらも数値が100でした」
「何? この男の子どももか?」
「はい」
「僕達、この世界をあちこち見て回りたいんだ! 母さんが回った世界を! だからマリョククイ貸して欲しいんだ」
「ふむ……」
「見学だけでしたら、一、二週間程ですか?」
「そうだな、よし、ルード」
「はっ!!」
「前回ガーブが留守番だったからな。散歩がてら連れていってあげるといい」

 ーーー

「何故、私が……」
「ごめんなさい、迷惑をおかけして」

 次に連れてこられたのは色々な物が置いてある部屋。がさがさとしながらルードさんが荷物を選んでいるみたい。ぽいぽいと次々鞄に詰め込んでいる。
 私が謝ると彼は手をぶんぶんとふっていた。

「あぁ、すみません。君達は悪くないですよ」
「このメンバーなら、母さんの旅と一緒だな」
「えっと?」
「ミツキと僕、ルードにマリョククイ、クロにクウ。ほら」

 ヒカルが笑いながら指を折り数を数える。

「……ん?」

 ルードさんが考え込んでいた。

「……リサ様はどこで、マリョククイを手に入れ、何故私が追うことになった……?」
「はやくいこうぜ、ルード」
「お兄ちゃん! ルードさんでしょ」

 袖を引っ張り、ルードさんを急かすヒカルを押さえる私。
 ルードさんは何度も何度も考え込んでいたけれど、わからない様子だった。

「おぉぉ!! これがマリョククイって、ちっさ!! ちっさ!!」
「可愛いいぃぃ」

 小さな雀みたいな鳥。黒い子と白い子が並んでた。

「どっちがぴーちゅんなんだ?!」
「ぴーちゅんはリサ様が……」

 そうだ、父さんと母さんが乗っていたマリョククイ。父さんはたしか指笛で呼んでいたって。

「ヒカル、指笛」
「あ、父さんが教えてくれたヤツだな」

 ヒカルは大きく息を吸って指をくわえる。

 ぴぃょぉぉぉぉぃ

 なんだか、すごく変な音。

「むずかしーぞ!」
「そうね、父さんの音と全然違う」

 そんな会話をしていたら、ぱたぱたぱたと、すずめがヒカルの頭の上にちょんと乗った。来るんだ、あの音で。

「お兄ちゃん、ずるい」
「え、あ、ぴーちゅんか」
「ぴちゅっ!」

 小さなすずめはまるで胸をはってるみたいに自慢気に鳴いた。

「えっと、クウの中にっと、あったあった」

 ヒカルがクウのお腹に手をやると、どこからともなく手綱のようなものを引っ張りだした。

「ぴーちゅん、どっちの魔力がいい?」
「ぴちゅっ」
「僕?」
「ぴちゅっ」

 兄が鳥と会話してるのをじっと眺める。正直、羨ましい。
 ヒカルがそっと指をぴーちゅんに当てた。すると、目の前で大きな鳥に変わった。これが、マリョククイ。
 母さんのお話通りの生き物が、目の前にいた。そう、頭にアホ毛のような飾り羽根のある大きな鳥。

「風の精霊よ」

 ヒカルがトントンと空を駆け上がり、ぴーちゅんに手綱をかけていく。

「さあ、行こうぜ」

 そうヒカルが言うと、白い小鳥と黒い小鳥がすごく怒っていた。
 ルードさんが、白い小鳥に「今回はお留守番だよ」と、諭すと黒い小鳥が嬉しそうに彼の肩にとまる。ただ、白い小鳥はもっと怒ってしまった。

「子どもだけでは危ないでしょう。私もそちらに乗ります。ぴーちゅんいいですか?」
「ぴちゅっ!」

 乗るってどうするんだろう。私は大きな鳥を見上げる。ヒカルはさっき、飛んでいったけど、あんなこと出来ないし、よじ登るの?
 私は頭に「?」を浮かべながら、考える。

「ミツキ様は魔法は使えないのですか?」 
「あ、えっと……よくわからなくて……」
「魔力があるので、きっと出来ますよ。後で教えてあげます。では、今回は失礼しますよ」
「え?」

 すっと抱き上げられ、ルードさんの顔が近くなる。すごく、カッコいい。

「風の精霊よ」

 彼がヒカルと同じ言葉を口にすると、トンっと軽く地面を蹴るだけで空に浮いた様に感じた。ほっぺたを風が撫でていく。すごい、本物の魔法使いだ! なんて、思ってた。すこし前にヒカルが同じ魔法を使っていたのは、頭の外に追い出して。
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