俺様第三王子に溺愛されて聖女を退職させられました!

あさみ

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第1話

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第三王子のテオ様が流行病にかかり重篤化した知らせがあったのは3日前の晩。
私はそのまま王宮に招かれ、王子の枕元で神の奇跡を祈り続けました。

祈りの甲斐もあり、意識が戻られたのが今朝の事でございました。
宮廷医師の薬湯も飲むことが出来るようになり、私の務めも終わったと思われました。

「そなた、名前は?」
「ライラ・ガフと申します」

王族の方から名前を尋ねられるなど、光栄なことです。
まだ少しお辛そうなお声をされておられましたが、上体を起こすことができるまでに回復されたようで良かったですわ。

「イイ女だな。俺様の妻にしてやろう。」

・・・。
はい?

「お戯れを・・・。テオ様はまだ意識が混濁されているようですわ。このままゆっくりと養生を続けさせてくださいませ。」
「意識はもうしっかりしている。もう一度言う。俺様の妻になれ。」

熱で濡れた瞳をどこにそんな力があるのか、ギラギラと輝かせ私を見据えてくる。
いくら王族とはいえ、これが初めて対面した聖女に言う言葉でしょうか!?

私は聖女という職に誇りを持っていますわ。
聖女は神の奇跡の力を使うためには純潔を守らなければなりません。
それを妻になれだなんて、今あなたを助けた神の奇跡を冒涜するも同じこと!

テオ様の女遊びの派手さは俗世と離れた大聖堂の中までも届くほど。
遊びの女性と夜通し休まず回復の祈りを捧げ、神の奇跡であなたを助けた聖女を同等に扱うなど言語道断。

王族とはいえ、いや王族だからこそこれほど驕った態度が取れるのでしょう。

「貴方が今まで会ってきた女性はそれで有頂天だったかもしれませんが、私には聖女の仕事がありますのでお断りです!」

言い捨てると踵を返し、一人で部屋を後にしましたわ。


「へぇ、俺様の妻の座を断るなんて、おもしれぇ女。」



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