暴走♡アイドル2 ~ヨゾラノナミダ~

雪ノ瀬瞬

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前編

消えた玲璃2

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『玲璃ー!どこ行ったのー?また怒られるよー?練習しようよー』

 蓮華はキョロキョロしながら玲璃を探し回っていた。

 今年の文化祭で愛羽たち6人は歌とダンスを披露することになったのだが、その振り付けと指導を悪修羅嬢の緋薙豹那が担当することになり、この夏休みほぼ毎日6人につきっきりでダンスを教えていた。

 豹那は以前某アイドルグループにスカウトされたこともあり、ダンスの指導に関しては間違いない人なのだ。愛羽と蓮華の猛烈なオファーを最初は断っていたのだが、何を思ったのかある日突然OKすると今はスパルタ王豹那としてムチを打つ日々を送っている。

 そしてその過酷なレッスンの中、度々玲璃がこうして姿を消す。ボイコットだ。こうなると豹那が怖いので蓮華が探しているという訳だ。

(ジョーダンじゃないぜ!毎日毎日いやって程しごいてくれやがってチクショー。たまにゃーバックレて息抜きしねーと体より心がもたねーや)

 玲璃は校舎の裏、影に身を潜め一服中だった。

『ほーら見つけた。またこんな所でタバコ吸って。みんな待ってるから戻ろうよー』

『ちぃー、見つかっちまった。ここももうダメだな。なぁ蓮華、あたしにはもう無理だ。そもそもあたしみたいなのがダンスなんてやることの方がおかしかったんだよ。蓮華、後は頼んだ。あいつらのことよろしくな』

『な、じゃないでしょ。ほら、吸ったら戻るよ!』

『だぁってぇ~、豹那は怖ぇーしスパルタだし、なんか自分だけ上手くなってない気がするし。もーあたしにはそんなセンスも才能もないんだよー!』

 玲璃は子供のようにダダをこねた。彼女なりに色々と悩んでいるらしい。

『もう…バカね。ちゃんと上達してるじゃない。ちゃんとできてるから大丈夫だよ。豹那さんだって、あんたのこと気に入ってるからあぁやってするんだと思うよ?』

『ないないないない。それはない。あいつはこの夏中にあたしを殺すつもりなんだ』

 玲璃は首を振りながら答えた。

『もう…あたしにも1本ちょうだい。あと1本付き合ってあげるから』

 玲璃がタバコとライターを手渡すと蓮華は1本取って火をつけ話を続けた。

『あたしはさ、練習中多少余裕あるからよく見えるんだけど、豹那さん最近よく笑ってるんだよ?愛羽とかあんたが昨日できなかったとこ出来るようになった時とか、ちょっとそこ上手になったかなって思う時とか、うなずいたり喜んだりしててすっごい楽しそうなの。教える側もさ、手がかかる方が大変だけど、でもできた時の喜びって言ったらすごい大きいんだと思うの。きっと可愛いんだと思うよ?玲璃は豹那さんのこと嫌いなの?』

『別に嫌いとかねーけど。今は…』

『豹那さんは玲璃のこと絶対好きだと思うよ?』

『はぁっ!?あの破壊と闘いの神、鬼阿修羅様がっ!?やめてくれよ恐ろしい…』

 玲璃はひざを抱えて首を振った。

『ほら、あの人形のことだってまだ言ってるじゃん。あれきっと嬉しかったんだと思うけど』

 あの人形というのは、少し前に蓮華が子供をおろすことになってしまった時、玲璃が自分たち6人と1人の赤ちゃんの小さくて可愛い人形を作ってあげたのだが、蓮華が東京連合の七条琉花と龍千歌にやられて意識不明のまま入院していた時に、玲璃がまた蓮華の為に彼女が大切な姉だと言った緋薙豹那の可愛らしい人形を作り、お守り代わりとして持たせてやったのだ。

 それをその後豹那が1人蓮華の元を訪れた時、手に握られた自分の人形を目にすると言葉にできない感情に打たれ、共に東京連合と戦うことを決めたのだ。

 それから豹那はことあるごとに

『もう少し綺麗に作れなかったのかい?』

 とか

『お前の目はどこに付いてるんだい?』

 と、その話でよく玲璃をいじった。

『…なぁ、蓮華。お前あいつのこと、ちょっと美化しすぎじゃねぇか?』

『そんなことないから。ほら、もう行こうよ。せっかく豹那さん毎日来てくれてるんだよ?あたしたちも頑張ろうよ』

『あーもう!わーった。わーったよ!行きゃいーんだろ!』

 2人は立ち上がり戻っていった。こうやって熱く説得されたり自分を必要とされると、なんだかんだ玲璃はすぐ折れる。本人も別にやりたくない訳ではないのだ。
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