暴走♡アイドル3~オトヒメサマノユメ~

雪ノ瀬瞬

文字の大きさ
159 / 173
後編#3

代わり

しおりを挟む
『あ~!寒い!もう冬になるってのにいつまでやってんだい!おや?なんだ、いい勝負みたいだね。かぁ~…負けたよ、七条』

 海の方から神楽が歩いてきた。特攻服を着ている。

『神楽…』

 その後ろにも見たような顔ぶれが続いている。

『前から言いたかったんだけど樹ちゃんは左のガードが甘いんだよ。こっちはさぁ、病人連れてるんだから早くしてよね』

 琉花に千歌、瞬もいる。3人共東京連合のつなぎを着ている。

『なんやトサカのねーちゃん、豹とえぇ勝負やん。次あたしと行くか!?』

 天王道眩に煌と槐、疎井冬が泪の車イスを押してくる。八代心愛と霞ヶ﨑燎もだ。

『お前ら…なんで…』

『あなたはきっとこう思っているんじゃないかしら。自分が弱いからあの子を死なせてしまった。だから自分のせいだ。そうやって自分の中でもう決めてしまって、一生その気持ちで生きていこうとしてないかしら』

 如月伴が夜叉猫の特攻服で現れ樹の前まで出てきた。

『だから私たちは今日あなたと死ぬ気でタイマンを張る気で来たわ。あなたが弱くなんてないことを証明する為にね。でもまぁ全員とやるのはさすがに厳しいでしょう?だから彼女がその代表を買って出たの。ほら、こういう時真剣に向き合えるのが友達ってやつでしょう?』

 伴はチラッと豹那のことを見た。

「こういう時話せるのが友達ってもんだ」というのは大阪の時に樹が豹那の為に伴に言った言葉だ。
 豹那は機嫌悪そうにそっぽを向いた。

『ジョーダン言うな。あたしは殺すつもりでやってたさ』

 豹那は言うが伴たち後から来た面々はニヤニヤくすくすとしている。

『樹さん…』

 玲璃が樹の腕を引っ張り手に何かを握らせた。

『さっきさ、豹那の服から落っこちたんだ』

 手のひらにあったのは綺麗な百合の花びらだった。

『緋薙…』

 豹那はそっぽを向いたままタバコをくわえた。

『哉原。あなたは弱くなんてない。それを覚えていてほしいの。私たちは決して白桐優子の代わりにはなれないけど、でも私たち全員、彼女と同じ気持ちだということを忘れないでほしいの…』

 辺りが明るくなり始めた。白桐優子追悼の夜が明けた。




 その後、樹さんたちの思い出の海にみんなで花を飾って写真を撮りました。
 結局そこで樹さんの言い出しっぺで宴会が始まってしまい周辺のコンビニからお酒や食べ物を買い占めてきて、たき火をしたりしながら明るくなって日が昇りきって少し暖かくなるまでいてしまいました。

 樹さんが喋り始めるとその身振り手振り話すしぐさや話に出てくる人たちのモノマネをしたりおもしろおかしく話してくれるので、あたしたちはそれを聞きながら笑っていてそれだけで暇がなく、つくづく樹さんはオシャベリが上手で一緒にいて楽しい人だなと思ってしまいました。

 きっと静火さんや唯さん、鬼音姫のメンバーのみんなはそんな樹さんが大好きなんだろうなと思います。

 そして優子さんもずっとずっと大好きだったんだろうなと。

 優子さんとの色んな思い出を楽しそうに誇らしげに話す樹さんを見て、あたしはそう思いました。

 あの日優子さんは息を引き取る直前何か言おうとしてたけど、あれは多分

『あのね、樹。あたしさ、あんたのこと大好きだよ』

 と言おうとしたんじゃないかなというのはあたしの勝手な想像ですが、きっとそうだったんだろうなと思えるほど樹さんの優子さんへの気持ちがいっぱい感じられました。

 伴さんが言ってたようにあたしも麗桜ちゃんやみんなも優子さんの代わりには全然なってあげられないかもしれないけど、この気さくでオシャレでみんなを笑わせてくれる素敵な先輩をこれからもずっとずっと大切にしてあげたいとあたしたちみんなで思っています。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし

かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし 長屋シリーズ一作目。 第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。 十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。 頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。 一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

処理中です...