21 / 26
代償と日常
しおりを挟む
真紀と階段を降りていく。取り敢えずは一段落が着いたが、真紀にはもう一仕事残っている。そう、親父さんとの大一番。
借金で家を失い、今回の騒動で家族をも失いかけた彼女は父親に何を思い、何を語るのか…。
そして、そんな彼女に俺は何を語り、何が出来るのか…?真紀は、いや人はこうしていきなりのタイミングで人生のターニングポイントを迎える。その時に周りの人はどうしたらいいのか…。
「ねぇ」
「なんだ?」
「その眼…」
「ぬ?やはり怖いか?」
「貴方は人間なの?」
「…う~ん、どうなんだろうな?さっきの奴らの言う通り「バケモン」なのかもな…」
俺の眼の事は極力は知られたくは無かった。あいつらなら理解してくれているが他の人となると…。
「怖い?」
出来る限りの笑顔でニカッと俺は振り向く、たとえ怖がって俺の元から離れてしまうとしても…最後は笑顔でいたい。そう思い振り向いたが、予想は違っていた。
「泣く」でもない「怯える」でもない「恐怖」でもない…真紀は俺に抱きついて来た。
マジか!?
…ごめん、素でそう思った。
「うぅうん…怖くないよ…助けてくれてありがとう…七梨さん」
「…そっか、ありがとうな真紀、無事で良かった」
真紀の頭を撫でる。さて、親父さんの居る部屋までもう少しだな。
先程のドアを開ける。
「おわ!?びっくりした!七梨さん大丈夫でしたか!」
「おう!了こそ無事だったか?」
「もちろんっすよ!俺の右腕は最強っすから!」
「右腕?」
「そう!何故最強か聞きたい?真紀ちゃん!」
「骨折が原因で、肘から甲までの骨に金属が仕込んであってな、何故その選択をしたのかは謎だが、言ってみれば義手ならぬ義骨ってぇとこだな」
「へー」
「いや、へーって!?てかなんで本人の俺じゃなく七梨さんが解説してるんすか!!というか何で七梨さんが知ってるんすか!?」
「あぁ、みどりから聞いたんだ」
「なんで知ってんすか!?あの人!」
三人の会話は真紀の親父さんのうめき声で強制終了される。
さぁ、ここから修羅場の本番だ!
…と思っていたが…親父さんが何か言う前に、ビンタ1発「もう二度と私達の前に姿を見せないで」で終了した。
ちょっとした期待外れ感があったがね。
「さぁて!七梨さん私お腹空いちゃった何か食べてこう!」と本当は泣いてしまいたいだろう、叫びたいはずなのに…真紀の笑顔を見るとそれでもいいかと思える。
「いいっすね!軽く食べてくっすか!?」
「じゃ、了君のおごりね!」
「うへぇぇ!?まじっすか?まだ今月の給料も貰ってないっすよ~」
「あはは!」
ビルの、入り口まで戻ると…。
パシャ!パシャ!
薫が自撮りをしていた…。
「え~と、月夜に栄える、わ、た、し!」
「……」
「……」
「……」
頼れる仲間なんだよ…。
「あら、お帰りなさい!真紀ちゃん!無事で良かったわ~!心配したんだから~!」
薫は真紀に抱きつく。
「薫さん!」
パシャ!
さりげなく写メるな!
「これで、みどりちゃんへの報告はいいわね!あら?七梨ちゃん、だいぶやられたわね大丈夫?」
「おう!だいじょー…ぶ、だ?」
バタン!と無抵抗で倒れてしまった…気を抜いた瞬間に身体中が痺れ痛みが身体全体を襲う。
「大丈夫っすか!?」
「七梨さん!?」
「もう!仕方ないわね」
ひょいと薫の背中に乗せられる。
「しっかりしなさいよ、リーダー」
「すまない」
「うふっ」
「…所で、わざと了を中に入れさせただろ?」
「貴方の信用した子を私も信用しただけよ」
「…そうかい」
その後、病院で意識を取り戻した匡を隣のベットで横になりながら俺は見ていた。情けない話動けない、俺の隣でみどりがリンゴを剥いている。
ちなみに、了にマクドナルドで買って来させたポテトの塩が切れてる口に沁みて悶絶しているところを真紀やちびっ子達に笑われたときは悲しくなった。
あれから2日、俺は店内の掃除をしている(回復は早い方だ!)と真由子ママと真紀が俺のもとへと紙を持って歩いてきた。
「七梨さん、これお願いします」
「ぬ、なんだよ?」
三者面談のお知らせ
「お願いします七梨さん!」
「………は?」
どういう意味だ?季節的に早いんじゃないか?ん?遅いのか?
「私が転校したてだから、覇道館の先生が進路の相談をしておきたいって」
なるほどな一理ある。真紀はどうするつもりなんだろうかな?やはり就職になるのかな?
「その日に薫さんがお休みを希望してまして、確か七梨さんもお休みでしたよね?」
「んじゃ、俺が代わろうか?やることないし構わないぜ?」
「本当ですか?やったー!」
なんだ?真紀が異様に喜ぶな。
「ぬ?やったもなにも人生を決める大事な事じゃないか!」
「ありがとうございます」
二人して頭を下げる。下げるのはいいがそこまで嬉しいのか?あっ帰りに何か食べて来るんだろうな。
真由子も真紀も仕事頑張ってるしな息抜きも大切だ!
「それと、七梨さん」
「なんだ?真由子まだなんかあるのか?」
「私、離婚成立しました」
「おぉ、良く話がついたな」
「はい、何かあったのか解りませんがスムーズに話が進みました」
「良かったな…とは言いにくいけど、これで終わったな」
「はい、みどりさんのお陰で書類もバッチリでした」
…アイツはすごい奴だな。
借金で家を失い、今回の騒動で家族をも失いかけた彼女は父親に何を思い、何を語るのか…。
そして、そんな彼女に俺は何を語り、何が出来るのか…?真紀は、いや人はこうしていきなりのタイミングで人生のターニングポイントを迎える。その時に周りの人はどうしたらいいのか…。
「ねぇ」
「なんだ?」
「その眼…」
「ぬ?やはり怖いか?」
「貴方は人間なの?」
「…う~ん、どうなんだろうな?さっきの奴らの言う通り「バケモン」なのかもな…」
俺の眼の事は極力は知られたくは無かった。あいつらなら理解してくれているが他の人となると…。
「怖い?」
出来る限りの笑顔でニカッと俺は振り向く、たとえ怖がって俺の元から離れてしまうとしても…最後は笑顔でいたい。そう思い振り向いたが、予想は違っていた。
「泣く」でもない「怯える」でもない「恐怖」でもない…真紀は俺に抱きついて来た。
マジか!?
…ごめん、素でそう思った。
「うぅうん…怖くないよ…助けてくれてありがとう…七梨さん」
「…そっか、ありがとうな真紀、無事で良かった」
真紀の頭を撫でる。さて、親父さんの居る部屋までもう少しだな。
先程のドアを開ける。
「おわ!?びっくりした!七梨さん大丈夫でしたか!」
「おう!了こそ無事だったか?」
「もちろんっすよ!俺の右腕は最強っすから!」
「右腕?」
「そう!何故最強か聞きたい?真紀ちゃん!」
「骨折が原因で、肘から甲までの骨に金属が仕込んであってな、何故その選択をしたのかは謎だが、言ってみれば義手ならぬ義骨ってぇとこだな」
「へー」
「いや、へーって!?てかなんで本人の俺じゃなく七梨さんが解説してるんすか!!というか何で七梨さんが知ってるんすか!?」
「あぁ、みどりから聞いたんだ」
「なんで知ってんすか!?あの人!」
三人の会話は真紀の親父さんのうめき声で強制終了される。
さぁ、ここから修羅場の本番だ!
…と思っていたが…親父さんが何か言う前に、ビンタ1発「もう二度と私達の前に姿を見せないで」で終了した。
ちょっとした期待外れ感があったがね。
「さぁて!七梨さん私お腹空いちゃった何か食べてこう!」と本当は泣いてしまいたいだろう、叫びたいはずなのに…真紀の笑顔を見るとそれでもいいかと思える。
「いいっすね!軽く食べてくっすか!?」
「じゃ、了君のおごりね!」
「うへぇぇ!?まじっすか?まだ今月の給料も貰ってないっすよ~」
「あはは!」
ビルの、入り口まで戻ると…。
パシャ!パシャ!
薫が自撮りをしていた…。
「え~と、月夜に栄える、わ、た、し!」
「……」
「……」
「……」
頼れる仲間なんだよ…。
「あら、お帰りなさい!真紀ちゃん!無事で良かったわ~!心配したんだから~!」
薫は真紀に抱きつく。
「薫さん!」
パシャ!
さりげなく写メるな!
「これで、みどりちゃんへの報告はいいわね!あら?七梨ちゃん、だいぶやられたわね大丈夫?」
「おう!だいじょー…ぶ、だ?」
バタン!と無抵抗で倒れてしまった…気を抜いた瞬間に身体中が痺れ痛みが身体全体を襲う。
「大丈夫っすか!?」
「七梨さん!?」
「もう!仕方ないわね」
ひょいと薫の背中に乗せられる。
「しっかりしなさいよ、リーダー」
「すまない」
「うふっ」
「…所で、わざと了を中に入れさせただろ?」
「貴方の信用した子を私も信用しただけよ」
「…そうかい」
その後、病院で意識を取り戻した匡を隣のベットで横になりながら俺は見ていた。情けない話動けない、俺の隣でみどりがリンゴを剥いている。
ちなみに、了にマクドナルドで買って来させたポテトの塩が切れてる口に沁みて悶絶しているところを真紀やちびっ子達に笑われたときは悲しくなった。
あれから2日、俺は店内の掃除をしている(回復は早い方だ!)と真由子ママと真紀が俺のもとへと紙を持って歩いてきた。
「七梨さん、これお願いします」
「ぬ、なんだよ?」
三者面談のお知らせ
「お願いします七梨さん!」
「………は?」
どういう意味だ?季節的に早いんじゃないか?ん?遅いのか?
「私が転校したてだから、覇道館の先生が進路の相談をしておきたいって」
なるほどな一理ある。真紀はどうするつもりなんだろうかな?やはり就職になるのかな?
「その日に薫さんがお休みを希望してまして、確か七梨さんもお休みでしたよね?」
「んじゃ、俺が代わろうか?やることないし構わないぜ?」
「本当ですか?やったー!」
なんだ?真紀が異様に喜ぶな。
「ぬ?やったもなにも人生を決める大事な事じゃないか!」
「ありがとうございます」
二人して頭を下げる。下げるのはいいがそこまで嬉しいのか?あっ帰りに何か食べて来るんだろうな。
真由子も真紀も仕事頑張ってるしな息抜きも大切だ!
「それと、七梨さん」
「なんだ?真由子まだなんかあるのか?」
「私、離婚成立しました」
「おぉ、良く話がついたな」
「はい、何かあったのか解りませんがスムーズに話が進みました」
「良かったな…とは言いにくいけど、これで終わったな」
「はい、みどりさんのお陰で書類もバッチリでした」
…アイツはすごい奴だな。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。
Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。
そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。
そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。
これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。
(1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる