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めぐみ。
めぐみ遭遇する。
しおりを挟む今春からここ高島組合総合病院で私はナースとして花開く!!というか就職する。
母親が皮膚科の先生だったため私もそうなるだろうと幼い頃に思っていたが…。
私は内科の看護師になった。
ロッカーで着替えてからナースセンターへ向かい婦長さんへと挨拶。
「おはようございます。今日からよろしくお願いいたします。」
「そんなにかしこまらなくて大丈夫よぉ!これから一緒に働くんだものもっと気を楽にしなさい。」
「はい。」
「さっ他の皆にも紹介しないとね。」
「はい!」
「皆さん集まって!朝のミーティングを始めますよ。」
婦長さんの言葉に皆が集まってくる。
全員で9人。
今日から私もここで働くんだ!気合い入れて頑張っていこう!!
私の教育係に付いてくれたのは私より2年先輩の小堀さん。
身長が160の私より高くスレンダーな体型の美人さん。
きっと美人ナースとして有名なんだろうな。
「あっ大事なことを言い忘れてたわ、最近この付近で変質者が現れたそうだから皆さんも気をつけて、変な人見かけたら直ぐに近くの警備員さんに伝えて下さいね。」
春だからか…やはりそういう類いの人はどこでも増えるんだろうなぁ。
ミーティングが終わり、小堀さんと雑談を交えつつ診察の準備の手伝いをする。
どこにどの器具があるのかを教えてもらい小堀さんの後ろを付いて歩いていると。
マスクの男性が視界に入った…マスクと言っても口もとを隠してるのではなくて…目もとを隠すアイマスクというか仮面というか…あのオペラ座の怪人みたいなのを着けた男性が院内を歩いてる。
「え!?」
白いワイシャツに黒い細めのパンツに白い革靴??
え?入院中の患者さん?にしても点滴もしてないし診察希望の患者さんにしても早すぎるし…何よりまだ入り口の自動ドアは空いてないはず…。
「小堀さん小堀さん!」
「どうしたの?」
「あれ!あの人なんですか!?」
「あの人?あぁドラゴンさんね。」
「ドラゴンさん?」
「数年前からふらっと現れて院内をぶらぶらしてるわよ。」
恐ろしいことをさらりとおっしゃる…。
「ふ、婦長さんが言っていた変質者ってあの人の事なんじゃ!」
小堀さんはくすっと微笑み。
「ドラゴンさんに限っては変質者じゃないわ…ほら。」
「え?」
ドラゴンさんと呼ばれて人はどこからか持ってきたモップで掃除?をし始めてる。
「何してるんですか?」
「アレは掃除ね。」
「それはわかりますけど!!」
「床の磨きが気になるのかしらね。」
広い受付ホールを行ったり来たり…雑になっていたスリッパを丁寧に揃えだしたり…。
もしかして精神疾患??とかと凝視していたら男の先生が歩いてきてドラゴンさんに話かて笑いだした。
そして軽く手を上げて歩いていく先生にグッ!と親指を立ててサムズアップ。
「………。」
「ほら!めぐみちゃん行くわよ!」
「あぁ!すいません!!」
雑務をこなし小堀さんと玄関の自動ドアの開ける。
「自動ドアの鍵は下にあるから、開ける時は鍵を外してから自動スイッチを入れる。逆に終わりはスイッチを切ってから鍵を閉める。あと時間より早く来る人が必ずいるからそこら辺は臨機応変にね。」
「はい!わかりました!」
自動ドアが開くと待ってましたと診察希望の患者さんが入ってくる。
「おはようございます!」
「お、おはようございます!」
診察券を患者さん自身が読み取りの機械にセットして受付を済ませていく。
そして内科、外科、皮膚科の診察室前に置いてある椅子に各々が腰を落とす。
「およ?君は新人さんかい?」
「えっ?うわっ!?」
思わず凄い声が出てしまった…振り向くと白い色で目元を隠すタイプのマスクというか仮面を装着している…あのドラゴンさんと呼ばれてる人が立っていた。
やっほやっほ!とピースしてる…。
「あ、あ、あ、あの…わ、私は」
「この子はめぐみちゃん今日からここで働くから優しくしてあげてねドラゴンさん!」
「!?!?」
小堀さんが代わりに説明してくれた。
「ほうほう…なるほど!俺はドラゴンさんだ!宜しくね!!」
親指をグッと立てて、ドラゴンさんは去っていった。
「………。」
「どうしたの緊張した?」
「小堀さん…。」
「なに?」
「ドラゴンさん………めっちゃいい匂いしたんですけど…!」
「ふふっ…わかる!」
これが、高島組合総合病院に居着く正体不明のドラゴンさんとめぐみとのファーストコンタクトであった。
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