突然召喚された異世界で俺は気ままに生きていく。

佐々倉 桜

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1章

黒耀 映司 (コクヨウ エイジ)

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闘技場で敗れ…敗北者となった俺はよろよろと立ち上がるのがやっとだった。

女子から歓喜の声で称えられてる勝者と違って敗者の俺への対応は天と地の差がある。

罵声怒声失笑。

観客席からはゴミを投げつけられる始末。

王様はため息を堪えることもせずに吐き出し、この世界へと呼び寄せた女神でさえ冷たい眼差しを向ける。

永遠に続くかもしれない罵声が急に静かになる。

1人の白銀の鎧姿の男が闘技場に降り立ち歩いてくる。
この国の王様ですら震え上がらせる最強の戦士。

「相手が敗者であれこれ以上の侮辱はこの俺が許さん!」

観客へと吼える、その眼光が冷たく光る。

観客席の人々は男の殺気を感じとりその手に持つゴミを静かに置いた。

「ふんっ」と男はゆっくりと俺に近付いてくる。

「俺はお前の友だが…この状況で必要以上にお前を庇うことはパーティーの瓦解を招くことになる。」

「…。」

「この決闘の結果を以て、お前を俺のパーティーからの脱退この国からの追放を言い渡す!!!」


女子達からの鳴り止まぬ怒声と出で行けコールが耳と胸に突き刺さる。


「…だが今は手当てが先だ!!今日はゆっくり休んで明日の朝には出ていってもらう。」



…まったく…。



…仕掛けは上々…後は結果を御覧じろ…ってか。



そんな台詞があたまを過ってから俺の意識は落ちて行きその場に倒れた。



  ーーーー1ヶ月前ーーーー



教室で国語の先生が来るのを待っていたら、教室の前に設置してあるテレビがいきなり光だした。

カメラのフラッシュのような?いやもっと眩しく強い光だった。

光が消えて視界がボヤける…目が慣れてくるとなんというか…洞窟の中の神殿?の様なところの中央に俺たちはいた。
取り囲むように置かれた篝火の火が揺らめいている。


「なんだここは…?」


「うわっ!?」
「きゃっ!?」


クラスメイトの悲鳴とも思える声に視線が集まるがその視線は直ぐに別へと移動する。

大勢に囲まれている。

イメージとして中世ヨーロッパと言えば伝わりやすいだろうか?
剣や盾を持った兵士に囲まれている。


「どうやら成功のようですね…良く来てくれました希望の勇者達…。」


キレイな声が上から聞こえてくる?



「え!?」



見上げると白い翼が生えた女性…?
自身の腰あたりまである透き通るような金色の髪をなびかせてゆっくりと降りてくる?


翼があるだけでも異常と感じるが…特筆するとしたら…その…豊満を通り超えた…そのバスト。
とんでもなく大きいバストが上半身を占めている…あれは何カップなの???
それでいて重力は仕事をしていないのか…?
あの巨大な胸が垂れているようには見えない。
それでいて服装が薄布1枚みたいな…ギリギリ大事なところが隠れてる感じ。


男子生徒がうぉぉぉ…!と目が点になったり股間を押さえてる奴もいた…それを引いた目で見る女子生徒。

 
「私は祝福の女神ミリア…聴きなさい勇者達よ…この世界は今復活した魔王の侵略を受けています。」


は?魔王?侵略??


「もはや我々の力だけでは魔王を抑えきれません…この国の王と手を取り合いこの世界を救うのです。」


女神ミリアの身体が再び浮遊し始める。


「貴女達1人1人には祝福の女神の名のもとに特別な祝福を授けます。その祝福を見事使いこなし、この世界に光りと平和をもたらすのです!」


女神ミリアの身体が閃光と共に消える。


「勇者達よ!!」

 
今度は野太い声が木霊する。


ド○クエに出てくるような王様。
王冠にヒゲの王様が前に出てくる。

「今から女神さまからの祝福を授ける!!さぁこちらへ!!」


王様に言われるままに移動すると…。

ガチャガチャ???

壁1面白一色に統一された部屋の真ん中に古ぼけたガチャガチャが1台置いてある。
専用のメダルを入れると妖怪でも出てきそうな…。

「さぁ!これから女神のメダルを渡すゆえ、こちらに1列に並び女神の祝福を受け取るがいい!!」

???

??

「ほう!!なんか面白そうだ!!俺から回すぜ!!」

疑問だらけの頭の中を整理しようと回していたら1人元気な声で前に出てくる。

獅子王 鋼我。 (ししおう こうが)

小学校の頃より「ヒーローより憧れた奴が居る!」と自己流で身体を鍛え始め、食事から睡眠時間の管理、超過負荷な練習を徹底した結果、彼は身体を壊し1ヶ月の入院をすることになった。
しかし懲りずに練習を重ねていった結果、中学で喧嘩無敗、地元じゃ負け知らず。
高校1年にして空手部3年の主将(全国ベスト4)から入部初日に1本取った男。
そして「飽きた」と入部初日40分で退部した男。
無駄な喧嘩はしないが売られた喧嘩は全て買う。脳筋ながらその整ったルックスと天然な性格で曲がったことが嫌いな彼は男女問わず高い人気がある。


「待て鋼我!勝手な行動をするなっ!」


光鷹院 雷覇。(こうおういん らいは)

同じく高校1年にして剣道、剣術、居合いの県大会トップに名を連ねる男。鋼我と幼馴染み。
天は二物を与えずとは言うものの…彼にはいったい幾つ与えたのだろう…。
容姿、成績、運動。
有言実行…完璧主義…なのに友達思い。
…んでもって完璧にはあるであろう秘密の裏面がありそうだが…。
「強い環境ところで強くなるのは当たり前、底辺高の何もない所からトップを狙うのが面白い。」
裏面を堂々と表に持ってくる辺り彼への信頼性は高まっていく。
先の台詞を新入生代表の挨拶として口にだした時は!?!?って思ったよ。

「周りの駒すらも俺ならば強くしてみせる!」と天上天下唯我独尊男では?と警戒していたが…誰よりも動き誰1人とて彼は置いていかない。

勉強もクラスメートの1人1人の学力を把握しそのレベルに合わせて教えてくれる。
「先生の宿題より俺の出す宿題を優先しろ!」
先生にとっては迷惑な行為だが着実にクラスの平均点が上がっているので先生達は強くでれない。

彼の視野も広く隅っこで1人漫画を細々と描いてる女子も見逃さない。
「描ける、描き続けるというのは才能だ!誇っていい!しかし他人の意見もあった方がより幅が拡がるのではないか?君の漫画を否定はしない…しかし読者としては作者の描きかけを見るのはいささかマナー違反のような気がするので気安く見せろとも言えない…完成したら読ませてくれ。」と優しく微笑む。

不良と化した同級生が絡んで来たときも「見た目、頭脳、腕力どれを見ても君は俺に劣っている…が、君の私服の組み合わせと色合いには俺には無い光るものを感じる。将来は美容師やアパレルコーディネーターとして輝ける!」

クラスメイト全員の長所を把握。

ワントップだが皆の意見も取り入れた上で更にいい形に持っていく雷覇…彼のとをいつしか「ホワイトキング」と呼ぶものも出てきた。


俺様の雷覇と無敵天然の鋼我。
この2人のうちどちらが主人公でもおかしくはない。いやむしろ2人が主人公で話が出来るんじゃないか?


「なんだよ雷ちゃん?面白そうじゃないか!」

「違う!」

「???」

「俺が1番だ。」

「あっそっち?そっちなの!?」

「俺の前に道は無い…道は俺の後ろに出来るものだからな。」

「へいへい、じゃ俺は2番目でいいぜ。どうぞ雷ちゃん。」

「当然だ。」

雷覇は王様の目の前に立ち「俺が1番だ!どうしたらいい?」

相手が王様だとしても雷覇の俺様スタイルは崩れない。

「ではこちらの袋から取り出したメダルで回すがよい。」

王様の取り出した革袋から直径が5センチくらいのメダルを掴む。

「ふむ…大きさのわりに軽い…これは素材は何だ?アルミか?」

まじまじと見てからガチャガチャへと投入。

ガチャ、ガチャン!

と出てきたのは野球ボールくらいの銀色の玉。

なんだノーマルかと反射的に頭の中で呟いてしまった。

しかし、雷覇が手に取った瞬間、銀色の玉が光輝き虹色に変わった。

誰もが確定演出!?!?と思っただろう。

虹色の玉はパカッと開き金色の光で空中に『聖王』の文字が現れる。


「なんじゃとっ!?」


俺達より王様の方が目を見開いて動揺していた。

文字は再び光に戻り雷覇の身体を包み込んで消える。

「ふむ…なるほど、どこにも痛みなどは無いな…どうやら身体に害は無いようだ…ただ力が漲ってくるのはわかる。」

「過去400年の歴史上現れたことの無い称号じゃ…まさかワシの代でその称号を取得するものが出るとは驚きじゃ…。」

「ふむ…そんなに珍しいものなのか…。」

「あぁそうとも、その『聖王』は複数の特性の頂点を極めた者へ送られる称号じゃ、持ち主は1人で千の兵士に匹敵するとも言われるのじゃ。」

「女神の祝福とはこの称号のことなのか。」

「いやいや、女神の祝福とは称号だけではない、その『称号』やその『称号』を得るために必要な『スキル』や『特技』『耐性』など様々なものが送られる。」

「ふむ、ならば俺が獲得した聖王とやらは何の特性の集まりなんだ?」

「『聖王』とは剣を極めし『剣聖』、武を極めし『拳聖』、光魔法を極めし『光人』、などの複合と言われておるが…正確には今も分かっておらん。」

「ふむ…。」

「いいなぁ~雷ちゃん。よし!!王様さん!俺も引くぜ!!」

鋼我は王様の革袋に手を入れ無造作に1枚を抜き取る。

「これだぁ!!さぁ!!行くぜ行くぜ行くぜぇー!!」

目を輝かせてメダルをガチャガチャに入れてハンドルを回そうと手をかけた瞬間に灰色だったガチャガチャが虹色に光だした。

2連続確定だーー!!(笑)

「おっしゃーーー!!」

落ちて来たのは虹色の玉。飛び出してきた文字は

『武神』

「おおっーー!!まさに俺じゃん!!」

スキルを獲得した鋼我は雷覇とハイタッチ。

「やったぜ!雷ちゃん!武神だってよ!格闘だったら聖王にも負けねーぜ!!」

「ふんっぬかせ。」

この2人だけで物語は完結するんじゃないか?

「次に引くものは誰か!?」

王様が急かしてくるが…確確の次は引きたくねぇ~…。
三度目の正直になるか…二度ある事は三度あるか…。

どっちにしろ、あの2人の後は嫌だな…。

なかなか続かない様子に王様は目の合った女子に狙いを定めた。

「次はお主が引くが良い。」

「え!?わ、私???」

「そうじゃその次は隣の者じゃ、ささ!1列に並ぶが良い。」

王様に手招きされてしぶしぶ並ぶがなかなか列が繋がらない…。

「何をしてる!!身の安全は俺達が証明した!!早く並べ!!話が進まんぞ!!」

皆に喝を入れる雷覇。

「大丈夫だよ!なんともないよー!」

気の抜けた声の鋼我。

あの2人が大丈夫なら…とメダルを引き抜きガチャを回しだす。

ガチャン!!

何も光もしないで落ちてきたのは銀色の玉。

あれは…ノーマルか??流石に続かないよね。

『侍』

「あー私サムライだぁ。」

「いいなぁ侍カッコイイジャン!!」

「もっと可愛いのがよかったー。」

「次は私の番ね、よいしょ。」

ガチャン!!

「私も銀色…なにこれー???」

『錬金術師』

「えー!!そっちの方がいい!交換したいーー!」

「出きるのかな?」

女子2人は王様に顔を向けると「ダメじゃ!回して出た祝福は回した者のものじゃ、良いも悪いも受け入れることじゃな。」

と先に王様が答える。

「なんだー。」
「もっと可愛いのがよかったなぁ。」

ふて腐れる2人に

「侍も錬金術師もとても素晴らしい特性だ。」

「どっちも可愛いじゃん!」

王様の隣に並び頷いてる雷覇とやったじゃん!と笑顔で親指を立てている鋼我。

「さぁ皆次々と並ぶのじゃ!」

王様の声に皆足早に並ぶ。
きっと先にノーマルが出たから皆の心のどこかに安心感が産まれたんだろう。

「銀だ!!」
「俺も!!」
「私も!!」
「やった金!!」
「おお!!虹だ!!」

…なんか普通にガチャガチャを楽しんでいらっしゃる…。

「次はお主の番じゃ。」

「あ、すいません。」

袋に手を入れると「???」思ったより袋の底が深い。
肝心のメダルの枚数もまだまだというか…明らかに俺達の人数分以上ある。
メダルの感触は程よくすべすべしている。
大きさも手の平サイズで何かぼーっとしているときに手の平でくるくる回していたい気分になる。ハンドスピナー的な(笑)なにかずっと持っていたくなるメダルだ。

「まだかね?」

「あっすいません。」

怒られてしまった…正直どれでも良いのだが何かメダルが手の平から離れてしまう。
「ん??」
咄嗟に握ったメダルを取り出して良く見るがメダルはメダル。
これが異世界のメダル?

「よいかね?」

王様の問いに大丈夫ですと答えガチャガチャへと進む。
こっちもこっちで並んでいる。
乗り気になった皆が回す前に何かしらの願掛け的な事をし始めたから時間がかかっているようだ。

こんなときは雷覇辺りが「遅いぞ!何をもたもたしている!!」と一喝してそうなのに…鋼我と1人1人のスキルを聞いて回っていてこちらを見ていない。

「もう少しかかりそうだね。」

俺の前に並んでいるショートボブの女の子。

春野 霞  (はるの かすみ)

霞はどこかふあふあとした雰囲気で誰にでも優しいし顔もとても整っている。
客観的に見て…美人だ。それでいて出ているところはしっかりと出ている。
そんな霞は俺の幼馴染みで小さい頃からずっと一緒にいる。
俺の妹とも仲が良くて姉妹のような関係になって家族間での付き合いも長い。

いつも一緒に居るのでもうクラス公認だ。
思春期特有の彼女がいるとからかってくる男子が出てくると思いきや…雷覇が「駒の幸せを護るのも王の務めだ!」と宣言。
なので下手にいじってくる生徒は出てこなかったがクラスメイトを駒扱いするのはどうかと思う…。
このまま何もなくずっと一緒に居るんだろうなぁと考えていた矢先にこんな所に連れてこられた…よし、なんとしてでも霞だけは俺が守らないとな!!

「あれぇ?う~ん…あれ?あれ?」

「どうした?」

「何でだろ?ガチャガチャが回らないの…メダルもちゃんといれたのに。」

「回らない?」

「うん~動かないの、どうしよう~。」

「どれどれ?」

触ると確かにハンドルは固定されてるように動かない…ガチャガチャと前後に動かしてみると不意にガチャン!!と玉が落ちてきた。

「あっ落ちた…多分中でメダルが引っ掛かってたのかな?はい霞の分だよ。」

取り口から霞が取り出そうとすると「ダメじゃ!!」と王様の声が響く。

「!?!?」
「!?!?」

霞とビクッとして王様を見る。

「出てきたスキルは回した者のモノじゃ!例外はない!!」

「え~私回してないよ~。」

困ったなぁ~…あっ!

「霞は俺のメダルで回しなよ。」

俺が引いたメダルを霞に渡す。

「いいの?」

「いいもなにも勢い良くガチャガチャし過ぎた俺が悪いんだから…それにほら…銀だし霞ならきっといいのが出るよ。」

「うん!」

霞がもう一度メダルを入れて今度こそと回すと出たのは銀玉…。

あ~あと意気消沈気味に取り出すと銀玉が光り虹色に変わる。

『聖騎士』

「わーい!やった!!格好いいぞぉ!!」

喜ぶ彼女を見てそれは本当は俺のだったというのは野暮だろう…。
男は黙って現実を受け入れないと…。

「ほう…春野は聖騎士かこれは有益に使えるな。」

「かっけーじゃん!!すげーよ!霞っち!!やったな!!」

「えへへやったぜぃ!」 

いつの間にかやって来た雷覇と鋼我に向かってピースサイン。

「お前は…まだ開けてないみたいだが?」

「およ?銀色か?うん!大丈夫だ!開けるまでまだまだ期待できるぜ!!」

「あぁ…そうだね。」

銀色のカプセル?を開けようと手に力を入れたら銀色が金色に変わった。

「おお!?」

『特殊補助』

なんだこりゃ?聞いたこと無いな…。

「特殊…補助?補助って事は仲間のサポート要員ってことかな?」

首をかしげる霞。

「なるほどサポーターか…ふっやはりお前は俺達の最前線に必要な男なようだ。」

「え?」

「おぉ!!これ以上無いってくらい心強いぜ!!」

「えっ?あぁ頑張るよ。」

 雷覇は他の生徒の所へ向かい鋼我は俺に親指を立ててから雷覇の後をついて行ってしまう。


「ねぇねぇ。」

霞が頭に「?」マークをつけ首をかしげながら聞いてくる。

「ん?」

「何だかんだであの2人と仲いいよね?何かあったの?男の友情みたいな?」

「いや~…特に接点とか無いんだけどなぁ。そう言えば入学した時に最初の挨拶の前から俺の名前を知っていたし…でも雷覇の事だから既に知っていてもおかしくはないだろうし…。」


確かに不思議に思っていたが悪いことでは無いので気にしてなかった…なんか他のやつらより雷覇と鋼我とは距離が近いような…。
『君』を付けて呼んだときは「雷覇でいい。その代わり俺も呼び捨てで呼ばせて貰う。」「おいおい!鋼我でいいぜ!友達たろ!俺ら!」
…と初日で言われた。
初日でおどおどしているときだったから正直ビビってた。

「祝福を獲得したものはそこに見える階段を上がって外に出るのじゃ!そこで待つ商人からスキルや特性に合った装備品を支給させよう。」


王様の声に従い階段を登っていく(…長っ!?)やっと見つけた扉を開くと塀に囲まれた中庭?に出た。
どうやら『異世界』というのは本当らしい…そとの空気がどことなく違う…澄んでるというか…なんと言うか…昔に家族で行ったキャンプ場を思い出す。

そして目の前には縁日の屋台?それかフリーマーケットを連想するくらいの人と武具防具が並んでる。

「剣士スキルの勇者様はこちらへ!!」

「魔道スキル!!魔道スキルの杖はウチの商品をどうぞ!!」

「漢は何より拳じゃ!!敵を殴り潰す拳を守るのはウチ商品じゃ!!」

おぉ!?と見回していたが…手作りの看板を立ててる者や可愛い女の子が2人でこっちの商品もいかがー!と手をブンブン振っている。

…なんだ部活の新入部員の勧誘か…。

ワイワイと騒ぐなか雷覇と鋼我が商人の1人に近づいていく。

「おい。」

「おお!勇者様!!必要なのは剣ですか?防具ですか?今はこの国の商売人がここぞとばかりに集まっておりますゆえ品物もありとあらゆる物が揃ってますよ。」

商人は雷覇に1本の剣を手渡す。

おもむろに剣を抜き剣先を見る。

「ふむ…諸刃か…。」

制服姿で剣を持ってる雷覇…なんだ、あの主人公感は…!!

「どうですか?勇者様お気に入ったでしょうか?」

「どうですかと言われてもこっちはここに来たばかりで…我々はこの世界の通貨も知らない。」

「あぁ!料金に関しては何の心配はございませんよ。」

「ん?」

「…タダなのか!?」

雷覇の隣から鋼我が割り込む。

鋼我の距離が商人に近い…ほら商人がワタワタしているぞ…。

「タダなんだな!?」

「鋼我っ!話が進まんぞ!」

雷覇に注意されてる………。

「おぉ!そうか!すまんすまん!」

改めて距離を保ち雷覇とずいっと商人につめる。

「説明してもらおうか。」

「はい、ここで選んでもらった商品の代金は総てこの国が代わりに支払うことになっております。私達ここの商人は数年または数十年に1度この国へ召還される勇者様達への武器や防具などを準備しております。『自分の商品を勇者様が使用している。』というこれ以上無いほど名誉なことですし商品の宣伝にもなるのです。」

「ふむ。」

「この国だけでなく他の国からもここぞとばかりに商品を持ち寄り、勇者様達により多く見てもらうために我々商人は良いものをより良くするため日々商品の試行錯誤しております。」

「なるほど理解した、つまりは俺達は体の良い広告塔と言うわけだ…ならば遠慮はいらないな好きなだけ見させて貰う。」

「どうぞどうぞ!是非とも私の商品をご検討ください。」

「諸刃の西洋刀は好かん日本刀…太刀は無いのか?」

「たち…?でございますか…。」

「ふむ、伝わらないか…まぁいい総ての剣を見せろ。」

「あー!ズルいぜ!雷ちゃん俺も見る!!」

「鋼我、お前は剣より自分の拳だろ?お前はお前の好きなものを見つけろ。」

「あー…それもそっか!よーし!俺も探すぞ!!」

鋼我が気合いを要れて振り返るとギラギラと輝く目をした商人達か取り囲む…。

「ならば俺の商品を!」
「アタイの防具を!!」
「ワシの武具を!!!」
「私のとっておきを!!!」

「お!おー!全部見てやるぜ!!!!」

あっという間に鋼我の姿が人の波に消えていったー…。

「アタッカー志望の人はこちらへお並びくださーい!!」

「タンク適性はこちらへどうぞー!!」


うん、タダだしせっかくスキルを得たんだから何時までも制服って訳にもいかないよな…タダだし…もうこの世界に来たことを受け入れて俺もしっかり整えるか…実質タダだし。

「なぁかす…」

「うわーーーーー!?!?!!」

「…み!?」


霞は聖騎士というレア称号の持ち主なのであっという間に商人達の流れに飲まれて消えてしまった。

「武器はこの剣を!!」
「防具は動きやすさを追求ですかな?それとも防御を極限に上げますか!?」
「さぁさ!!こちらへどうぞー!!」


「………商人って…すげぇなぁ…。」


「もしもし、キミキミ。」

霞と回ろうと思っていた瞬間に1人になってしまったのでどうするかと思っていたら不意に袖をクイクイっと引かれた。

「え?」

見ると黒髪の褐色肌で小柄な少女が俺も見上げていた。
赤く見えるような瞳と尖ったような耳のかたち…。

「君はアタッカーではないのかい?タンクって体格でも無さそうだから…サポーターかな。」


俺が得たのは…スキル『特殊補助』


「うーん、特殊…補助…補助っていうからには俺はサポーターだと思う。」

俺もイマイチ自分のスキルを理解していない…補助なら補助でいいが特殊ってなんだろ?

「ん~?思う?まだ君は自分の得た祝福を理解していないのかい?」

「…うん。」

「ほうほう…80年前ほど前に来た勇者たちは初めは皆全力で楽しんでいたけど、君みたいにテンションが低い子も居るんだね。」

「…うん?」

「ん?」

「80年…前?」

「そうだよ、前に来た勇者はなんと言うか…皆ギラギラしてたなぁ。いや~懐かしい。」

目の前の女子は170(身長)の俺より20は低い…んでまじまじと見れば肌のツヤも同年代よりか若い……と思う…。

尖った耳………異世界………80年前………。


「あっエルフってヤツか!」

ポンと手をたたく。

「君…『ってヤツか』ってのは失礼じゃないか?」

「あぁごめん!あぁ年上か…あっあの、すいません!」

「いやいいよ気にしてない。エルフを初めて目の当たりにしたんだ無理もない自己紹介もまだだったしね。」

「すいません。」

「いいんだいいんだ、私はエルフだけど純粋なエルフじゃない『ダークエルフ』のノクトだ。見ての通り商人をしている。」

「ノクト…さん?」

「ノクトでもいいがちょっと待ってろ。え~と…確かここに1つ…あったあった、これだ。」

ゴソゴソと腰にぶら下げてる小袋から取り出したのは手のひらサイズの虫眼鏡?

「虫眼鏡ですか?」

「むしめがね?これは『インスペクトレンズ』というアイテムだ。これで覗いた対象相手を調べる事ができるアイテムなんだよ。」

ノクトはそういって俺をレンズ越しに見始めた。

「ふむふむ、なるほどなるほど…。」

「???」

「君はやはり仲間の攻撃力を上げたり敵の動きを遅くしたりと言ったサポートが優れているようだね。」

「そんなこともわかるんですか!」

「そうさ、でも効力は短くてねほら見てごらん。」

「あれ?レンズが曇ってきた。」

「これはあくまで消耗品だからね、直ぐに曇って使い物にならなくなる。だけど勇者や冒険者やギルドのハンターに留まらず主婦の目利きの道具としても幅広く使われてるんだよ。」

「へー、凄い道具ですね。」

「確かに凄い道具なんだけどね『鑑定士』の称号やそれに近いスキルをもった者はこれがなくても相手を見れば調べれるそうなんだ。」

「鑑定士ですかクラスに持ってる人いるのかな…?」

「まぁ今は無くともレベルが上がると習得できるかもしれないね。」

「なるほどレベルアップ…ってどうなればレベルアップなのかもわからないんですが。」

「あぁそうかごめんね、これを特別にあげるよ。」

渡されたものは鎖が付いたペンダント?
全体的にはドラ○エのスライムのような型で中央に丸い大きめ水晶(なのか?)が1つとその周りを小さい水晶(暫定)が1、2、3…9つ並んでいる。

「これは?」

「首に掛けてごらん。」

言われるままに首に鎖の輪を通す。

スライムがぼやっと光ると数字の2が浮かび上がってきた。

「ふむふむ君の今のレベルは2だね。まぁ召還したてはそんなものだろうね。」

「2ですか…。」

「そう、経験値が溜まっていくと周りの小さいのが1つずつ光ってくる、それが10溜まるとレベルアップって訳さ。」

「なるほど、数値化出来ないレベルと経験値をこれで視覚化出来るんですね。」

胸のスライムがキラッと光る。

「そうだよ、でもさっき話した鑑定士ならこれも必要無くなるんだけどね。」

「へー!鑑定士はそんなに凄いスキルなんですね!」

「でもそんな凄いスキル持ちはそうそう現れないし修得も難しい…それを手軽に使用出来るようにしたのがこのアイテム達さ!」

「なるほど冒険の必需品なんですね。」

「どうだい、君このままウチで防具を揃えてみないかい?」

「そうですね…1人じゃ良くわからないのでお願いします。」
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魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。 だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。 ……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。 これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。

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純真な赤ずきんちゃんが狼獣人にみつかって、ぱくっと食べられちゃう、そんな甘々な初夜の物語。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
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一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

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