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DAY 26. 幕間
魚の物思い 7
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トニ side.
「・・では明日も宜しくお願いします。」
一也さんが、やれやれという様に
席を立つとサンドロさんが一礼をしました。
一也さんは、非常に頭の回る人です。
ただ潜伏するのではなく、
潜伏する前に、
敵の襲撃を受けやすい状況を作らないかと
提案したのは一也さんだそうです。
『これをネタに謝礼も
エロース様に約束頂いたらしいですよ。』
一也さんを追いかけ回す立場の
沙羅さんの補佐に就いているデニスが
魚同士に限定した念話をしてきました。
『そうでしょう。そうでしょう。
私の一也は賢くて優しいんです。』
クリスタが得意気です。
『その作戦も沙羅の変装技術ナシじゃあ、
成功しねぇだろうが??』
デニスが突っかかります。
『一也の作戦が無かったら、
変装ができたってアンタの沙羅なんて
すぐに捕まっちゃってるんだから!!』
『ンなわけない!!
沙羅はああ見えて、ガッツのある女だ』
・・・
2匹の魚は
ぎゃあぎゃあと言い争いを始めました。
・・そんな2匹の間にいつ入ろうか
考えていたところ・・
「んぎゃぁ!!」
一也さんが部屋に置かれた
ベッドのある一角に辿り着いたと同時に
道哉さんの悲鳴が上がりました。
「・・・・」
一也さんは予め神官達には
道哉さんが悲鳴を上げることを
お伝えしていたようで・・
サンドロさんをはじめ神官の方々は、
特に気にした様子もありません。
ほんの少しすると一也さんが道哉さんを
ズルズルと引きずってきました。
「・・・レモン水しかありませんが、
いかがでしょうか?」
サンドロさんが、グラスの水を
道哉さんと一也さんに手渡しました。
「「・・ありがとうございます・・」」
ムスゥっとした道哉さんと
呆れた表情の一也さんは、
それぞれにレモン水を受け取って
飲み始めました。
『どうなさったんですか?
道哉さん、一也さん?』
私がお尋ねすると一也さんがじぃっと
道哉さんを見ました。
「・・俺、ちょっとベッドの位置を直して来る・・
自分の魚には自分で説明しろ?」
一也さんは飲みかけのレモン水を
テーブルの上に置いて、
再びベッドの方に歩いて行かれました。
「・・・」
『・・あの、道哉さん・・?』
私が再び問いかけると、
道哉さんはポリポリと頭を掻きました。
「・・いや、寝惚けて
あかりにのしかかってたら、
青木の奴が急に俺を叩き起こして・・」
『・・・』
なるほどと思いました。
あかりさんの性格を考えると、
こんなたくさんの人が居る部屋の中で
交尾をする・・となれば、
絶対拒否でしょう。
『何でそんなので、
友達をたたき起こすんだ?
お前達は番じゃなかったっけか?』
デニスが不思議そうに
黄金色の身体をよじりました。
『一也はそんな乱暴者ではないと思いますが・・』
クリスタも同様に不思議なようで、
白い身体をよじります。
「私達の事ならお気になさらずに・・
いざという時にこちらの言う通りに
動いてくださるなら、
お好きに何でもして頂いて・・」
サンドロさんも不思議そうに首を傾げました。
『・・あかりさんは、
恥じらいの強い女性でして・・
交尾は二人きりでないと
嫌なんだそうです。』
デニスもクリスタも、
このゲームのサポート役に就くのは
初めてのことです。
異世界の日本における
貞操観念を把握していないのです。
神殿の治安を守る戦闘神官である
サンドロさんも異世界の
貞操観念については未知なようです。
『『「・・・・」』』
それは大変だ・・という目で
デニス、クリスタ、サンドロさんが
一斉に道哉さんを見やりました。
「・・・いや・・それ、
あかりが特別にお堅いとかじゃなくて、
俺達の世界だと普通・・」
『男性はどうなのですか?
男性は公衆の面前で交尾をすることに
抵抗があるものなのですか?』
言いかけた道哉さんは、
クリスタに横から口を挟まれて
押し黙って・・少し考えた後、
おっしゃいました。
「・・いや・・男か女かっていうよりも、
その辺は個々人の性癖かな・・」
『・・!
一也はどうなんですか??』
水槽の中でギリギリまで
道哉さんの方に身体を乗り出した
クリスタに道哉さんは困惑気味です。
「・・えーー・・と青木の性癖・・・?
・・いや、あいつはお堅いんじゃないかと・・
知らんけど・・」
『えーーー・・』
クリスタが何故か残念そうです。
『いや・・何でお前が
そんなん気にするんだよ?』
私と同じ疑問を持った様子の
デニスがクリスタに問いかけます。
『さ・・サポートしないといけないもの!』
本当になぜか、慌てるクリスタに、
・・ふむ・・とデニス。
『なるほど!
じゃあ、沙羅はどうなんだ?
道哉教えてくれ!』
「・・えーーーーー・・・
嫌だよ・・。和泉のを教えたら、
ぶっ飛ばされそうじゃん・・」
「・・なんの話してるか
分からないけど、
大橋、ベッドの位置を移動させたから
とっとと寝ろ。
明日も忙しいぞ。」
いつの間にか一也さんが戻っていらっしゃいました。
「・・ベッドの位置?」
「俺とお前のベッドを女子達のベッドから離した。」
「えーーー・・」
残念そうにしながら道哉さんは
一也さんに引き連れられていきました。
「・・・なるほど・・」
おもむろに頷いたサンドロさんに
魚達の視線が集まりました。
「一也さんは道哉さんに愛を
感じていらっしゃるという事ですか」
元々4人分隙間なくぴっちりと
横並びに置かれていたベッドが
一也さんによって男性陣と女性陣の間に
人2人分ほどの隙間が空けられておりました。
『ええーーーーー!!
そんなのダメですよ!』
『そうだ!ダメだ!!
沙羅の愛はどうなるんだ!?』
・・男性陣のベッドが2つ並べば・・
こちらの世界では男性同士での
恋愛も性交も一般的です。
サンドロさんの言葉にデニスとクリスタが、
ぎゃあぎゃあと叫び声を上げました。
・・・どうでも良いのですが・・
私もそろそろ眠いです。
ますます議論が白熱するテーブルの上で、
私はうつらうつらし始めておりました。
「・・では明日も宜しくお願いします。」
一也さんが、やれやれという様に
席を立つとサンドロさんが一礼をしました。
一也さんは、非常に頭の回る人です。
ただ潜伏するのではなく、
潜伏する前に、
敵の襲撃を受けやすい状況を作らないかと
提案したのは一也さんだそうです。
『これをネタに謝礼も
エロース様に約束頂いたらしいですよ。』
一也さんを追いかけ回す立場の
沙羅さんの補佐に就いているデニスが
魚同士に限定した念話をしてきました。
『そうでしょう。そうでしょう。
私の一也は賢くて優しいんです。』
クリスタが得意気です。
『その作戦も沙羅の変装技術ナシじゃあ、
成功しねぇだろうが??』
デニスが突っかかります。
『一也の作戦が無かったら、
変装ができたってアンタの沙羅なんて
すぐに捕まっちゃってるんだから!!』
『ンなわけない!!
沙羅はああ見えて、ガッツのある女だ』
・・・
2匹の魚は
ぎゃあぎゃあと言い争いを始めました。
・・そんな2匹の間にいつ入ろうか
考えていたところ・・
「んぎゃぁ!!」
一也さんが部屋に置かれた
ベッドのある一角に辿り着いたと同時に
道哉さんの悲鳴が上がりました。
「・・・・」
一也さんは予め神官達には
道哉さんが悲鳴を上げることを
お伝えしていたようで・・
サンドロさんをはじめ神官の方々は、
特に気にした様子もありません。
ほんの少しすると一也さんが道哉さんを
ズルズルと引きずってきました。
「・・・レモン水しかありませんが、
いかがでしょうか?」
サンドロさんが、グラスの水を
道哉さんと一也さんに手渡しました。
「「・・ありがとうございます・・」」
ムスゥっとした道哉さんと
呆れた表情の一也さんは、
それぞれにレモン水を受け取って
飲み始めました。
『どうなさったんですか?
道哉さん、一也さん?』
私がお尋ねすると一也さんがじぃっと
道哉さんを見ました。
「・・俺、ちょっとベッドの位置を直して来る・・
自分の魚には自分で説明しろ?」
一也さんは飲みかけのレモン水を
テーブルの上に置いて、
再びベッドの方に歩いて行かれました。
「・・・」
『・・あの、道哉さん・・?』
私が再び問いかけると、
道哉さんはポリポリと頭を掻きました。
「・・いや、寝惚けて
あかりにのしかかってたら、
青木の奴が急に俺を叩き起こして・・」
『・・・』
なるほどと思いました。
あかりさんの性格を考えると、
こんなたくさんの人が居る部屋の中で
交尾をする・・となれば、
絶対拒否でしょう。
『何でそんなので、
友達をたたき起こすんだ?
お前達は番じゃなかったっけか?』
デニスが不思議そうに
黄金色の身体をよじりました。
『一也はそんな乱暴者ではないと思いますが・・』
クリスタも同様に不思議なようで、
白い身体をよじります。
「私達の事ならお気になさらずに・・
いざという時にこちらの言う通りに
動いてくださるなら、
お好きに何でもして頂いて・・」
サンドロさんも不思議そうに首を傾げました。
『・・あかりさんは、
恥じらいの強い女性でして・・
交尾は二人きりでないと
嫌なんだそうです。』
デニスもクリスタも、
このゲームのサポート役に就くのは
初めてのことです。
異世界の日本における
貞操観念を把握していないのです。
神殿の治安を守る戦闘神官である
サンドロさんも異世界の
貞操観念については未知なようです。
『『「・・・・」』』
それは大変だ・・という目で
デニス、クリスタ、サンドロさんが
一斉に道哉さんを見やりました。
「・・・いや・・それ、
あかりが特別にお堅いとかじゃなくて、
俺達の世界だと普通・・」
『男性はどうなのですか?
男性は公衆の面前で交尾をすることに
抵抗があるものなのですか?』
言いかけた道哉さんは、
クリスタに横から口を挟まれて
押し黙って・・少し考えた後、
おっしゃいました。
「・・いや・・男か女かっていうよりも、
その辺は個々人の性癖かな・・」
『・・!
一也はどうなんですか??』
水槽の中でギリギリまで
道哉さんの方に身体を乗り出した
クリスタに道哉さんは困惑気味です。
「・・えーー・・と青木の性癖・・・?
・・いや、あいつはお堅いんじゃないかと・・
知らんけど・・」
『えーーー・・』
クリスタが何故か残念そうです。
『いや・・何でお前が
そんなん気にするんだよ?』
私と同じ疑問を持った様子の
デニスがクリスタに問いかけます。
『さ・・サポートしないといけないもの!』
本当になぜか、慌てるクリスタに、
・・ふむ・・とデニス。
『なるほど!
じゃあ、沙羅はどうなんだ?
道哉教えてくれ!』
「・・えーーーーー・・・
嫌だよ・・。和泉のを教えたら、
ぶっ飛ばされそうじゃん・・」
「・・なんの話してるか
分からないけど、
大橋、ベッドの位置を移動させたから
とっとと寝ろ。
明日も忙しいぞ。」
いつの間にか一也さんが戻っていらっしゃいました。
「・・ベッドの位置?」
「俺とお前のベッドを女子達のベッドから離した。」
「えーーー・・」
残念そうにしながら道哉さんは
一也さんに引き連れられていきました。
「・・・なるほど・・」
おもむろに頷いたサンドロさんに
魚達の視線が集まりました。
「一也さんは道哉さんに愛を
感じていらっしゃるという事ですか」
元々4人分隙間なくぴっちりと
横並びに置かれていたベッドが
一也さんによって男性陣と女性陣の間に
人2人分ほどの隙間が空けられておりました。
『ええーーーーー!!
そんなのダメですよ!』
『そうだ!ダメだ!!
沙羅の愛はどうなるんだ!?』
・・男性陣のベッドが2つ並べば・・
こちらの世界では男性同士での
恋愛も性交も一般的です。
サンドロさんの言葉にデニスとクリスタが、
ぎゃあぎゃあと叫び声を上げました。
・・・どうでも良いのですが・・
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