【R18】翼神のイタズラ PLAYER No.037 大橋道哉の場合

まめた

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DAY 27.

大忙しです 和泉さん

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「・・さぁて・・こんなもんか・・」

 だいぶん疲れたようで、
 和泉がボロボロの地下牢の天井を仰いだ。

 髭剃りの跡が青みがかった
 中年男に変えられた自分の顔を
 鏡でまじまじ見る。
 目尻のしわは和泉が描いたものなのに、
 マジで皺に見える。
 取り付けた鷲鼻わしばなも、
 びっくりするほど、自然だ。

「顔はオッケーだから・・
 大橋、後は自分で腕と手の甲に
 ファンデ塗って・・」

 和泉がボトルを出して軽く振った。
 ちゃぷちゃぷ音がする。

 和泉はボトルから乳白色の液体を手に取ると、
 俺の手の甲に薄く延ばしていく。
 塗られたその一部が白っぽくなる。
 そんな不自然でもない白さだ。

「こんな感じ・・できるでしょ?」

「・・おぅ・・できると思う。」

 ・・ここまで30分。
 まだまだ仕事が残ってる和泉に俺は頷いた。

 和泉は休む間もなく青木に取り掛かった。

 おっさんの青木に深く刻まれた
 シワとシミを消して、
 鼻も和泉がこねると形が変わり、
 つんとした印象の鼻にする。
 垂れた眉をつり目気味に描き直していくと、
 見た目年齢が20歳は若返る。

 みるみる若返っていく感じが面白くて、
 俺は見入ってしまう。

 和泉は、真剣そのもので、
 眉間に皺が寄ってて、
 イライラしていて、近寄り難い。
 しかも未だに変な鼻をつけた
 オッさんのままで・・
 雰囲気は職人だ。

 でも、普段の和泉よりよっぽど
 生きてる感じで・・よく分からんけど、
 少なくとも、俺の彼女をやってた頃の
 ニコニコしていただけの作り物みたいな
 美少女よりよっぽど、
 こっちのがかっこイイ・・。

 ・・言ったら殴られそうだし、
 何も言わんけど・・。

「苦しくないですか?」

 後ろから、あかりの少し荒い息の音と、
 ダマリさんの冷静な声が聞こえてくる。

 あかりの人形も
 無事に出来上がったらしいけど、
 俺達、男はまだ見ちゃいけないらしい。

 裸のまま、あかりは少女になるために
 胸をサラシ?と、コルセットで締めて
 真っ平な身体に見せるための対応中だ。

 最初はあかり1人で頑張っていたんだけど、
 力が足りなくて、うまく胸を潰せず、
 ダマリさんが協力中だ。

「むぎぎ・・だいじょぶ・・です。」

 あかりのいかにも締め付けられてます
 ・・な感じの声に和泉が
 あかりの方に向かって言った。

「田口、我慢し過ぎないで!
 走んないといけなくなった時に、
 締め付け過ぎてると、動けなくなるから!」

「わ・・わかりました。
 すみません。
 ダマリさん、少しゆるめて欲しいです。」

「はい。了解。」

「ありがとうございます。」

 ダマリさんの威勢のいい声が響いて、
 あかりのお礼を言う声は、
 普段とそう変わらなくなる。

 和泉は、青木の対応を一旦中断して、
 あかりの方をチェックしてるようだ。
 ・・まだ、俺達は見ちゃいけないらしい。

「うん。・・子供体型!
 こっちの世界なら10歳前後いける!」

「10歳前後・・・」

 バッチリ!・・という感じの和泉の声と
 あかりのちょっとした落ち込み声が
 背中側から聞こえる。

「なるべく、幼い女の子で・・
 迷子のセンでいくから」

 青木が俺と同様に背中を向けたまま、
 和泉に言った。

「OK!
 田口、服着たらテーブルの方に来て!」

「わ・・分かりました!
 ダマリさん、ありがとうございました。」

 テキパキとした口調で和泉が言った。

沙羅サラさん、
 人形達に服を着る様に指示しますか?」

 ダマリさんが和泉に聞く。

「あーー・・まだ待ってて!
 メイクの後のがいい!」

 和泉がそう言って少し考える。

「青木、悪いんだけど、先に田口やるわ。
 青木は大橋の腕にファンデ塗るの
 手伝ってやって!」

「了解。」

 青木は言うが早いか、俺に向き直った。

「塗りづらいとこは俺がやるから、
 お前は塗りやすいとこを終わらせろ?」

 ・・青木、手際がいい。
 ついでに言うと・・、

「お前、和泉の言う事、
 素直に聞くのな?」

 ・・これは俺が
 ちょっとびっくりしたこと・・。

 青木とはゲームで一緒に動くんだけど、
 俺が「こーしたらいーんじゃね?」
 ・・と提案すると、
 「俺の言うとおりに動いた場合」の
 デメリットを指摘した上で、
 大概、もっといい案を提案してくる。

 誰と組んでも似た様なコトするから、
 知り合いの中には青木を
 面倒くさがるヤツも多い。

 ・・その青木が、
 和泉の言うとおり素直に動いてる。

 青木は、俺の顔を見て平然と答えた。

「そりゃ、この技術見たら、
 俺が口挟むトコないじゃん。

 この件に関しては、
 全面的に和泉に任せるだけだ。」

 ・・・青木の知らん一面だ。
 惚れたか?・・と思ったけど、
 今聞いたら、青木がウザがるだろうし・・

 ソワソワしながら、両手を白くする俺に、
 青木はため息を吐いた。

「・・急いで終わらせて、
 できることあったら和泉を手伝・・・?」

 俺は青木の口を押さえた。

 ・・カツン・・・カツン・・

 遠くから微かに、
 足音が聞こえた気がした。

「・・ダマリさん?」

 なるべく低い声で言うと、
 ダマリさんが神妙な顔をして頷いた。
 鉄格子の方に移動する。

「・・・みなさん、
 一旦照明を落とします。

 ベッドの後ろに隠れてください。」

 俺達4人は足音を立てない様に、
 ベッドの奥にしゃがみ込んだ。

 一応、手近にあった棒切れを手にして
 俺は小さく深呼吸した。
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