シカノスケ

ZERO

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仇敵との同盟

賊退治

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小次郎達はしばらくすると勝久の館に着く。




二人は勝久に山名との同盟の事を報告した。



「そうか、同盟は上手くいったか。」

勝久は特に喜びもせずに言う。


「はい。援助の話は正月前後に使者を出すから、その時に詳しく話すらしいです。」



「正月前後…まあそれぐらいが良いだろうな。よし、もう下がってよいぞ。」



勝久がそう言い、二人は退席した。


「ふん。新入りの癖になかなかやるじゃないか。」


そう言うのは勝久の側近の横道秀綱。


「ん?アンタは横道だっけ?」

記憶が曖昧な小次郎。


「貴様、その反応はなんだ!私は勝久様の側近だぞ!親衛隊だぞ!名前ぐらい覚えておけ!」


怒り狂う横道。

「まぁまぁ。秀綱さん落ち着いてください。小次郎さんも秀綱さんとあまり顔を合わせないから覚えてないだけですから。」



横道の怒りを鎮めようと必死な宗信。








怒りが収まった秀綱は言う。




「実は賊を退治をしてもらいたいのだ。」



「賊を退治?人数はどれくらいなんだ?」


「報告では100人と聞いている。賊にしては大規模だ。やれるか?」



宗信の部隊は30人程度。

人数的にかなり厳しい。


「分かりました。やります。」


宗信の言葉に小次郎は「え?やるの?」と言った。


「賊退治も武功の1つです。やってみせます。」




横道に賊討伐の依頼を受け、館から出る二人。



「30人で100人を相手出来るのか?てかさ、そもそも賊はどこに現れるんだ?」


歴史の事は知っていても戦については全く分からない小次郎は不安でいっぱいだ。


「大丈夫ですよ。3倍の敵に勝つなんて簡単です。それに相手は賊です。良い装備をしていないはずです。」


良い装備と言うのはちゃんとした刀や槍、鎧のことである。


賊と言うのは戦場で死んだ兵士の鎧、刀などを剥ぎ取って売ったり、それを自分達の装備に使ったりする。


しかし、そんな使い古されたボロボロな装備では切れ味も悪く、鎧もすぐ壊れてしまう。


そう言う理由から、良い装備をしていた方がやはり有利なのである。



「んでさ、賊はどこに現れるんだ?場所がよく分かっていないんじゃないか?」



「大丈夫ですよ。賊と言うのは町を襲って食糧や金を奪うんです。そして、それを自分達の基地に持って帰るんですけど…、どうやら今回の賊は基地がまだ無いと思います。」


賊に基地がないと分かるのは、連中が野宿をしていたとの報告が合ったからである。


それにまだ、毛利家は尼子を滅ぼしてから出雲の国は町作りをしていない為、賊の基地となる場所が少ないのだ。


だが、宗信は賊が基地としようとする場所に心当たりがあるみたいだ。





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