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仇敵との同盟
おもてなし
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寺に入って約一時間経った。
山名豊国は小次郎に言われた事を伝えるため、帰ろうとする。
だが、せっかく山名領に来たんだ。
それなら少しぐらいおもてなしをしようと思った。
幸いにもこの近くには温泉のある宿場町がある。
「では僕達はそろそろ城に戻らなければならない。でも君達はせっかく山名領に来たのだから良い温泉宿に招待したいと思う。どうかな?」
小次郎達はここまで来るのに随分急いでいた。
ここまで来るのに馬に乗っていたとはいえ、疲労もある。
「私達も疲れていますし、せっかくなのでお言葉に甘えさせてもらいます。」
ペコリとお辞儀をする宗信。
小次郎達は馬に乗り、豊国に連れられて温泉宿場町に行く。
温泉宿場町の第一印象はガヤガヤとした賑やかな町である。
町には色んなお店がある。
茶店、鍛治屋、怪しい壺を売る店、南蛮商品を取り扱う店など。
この宿場町は山陰でも有名な温泉宿場町で、たくさんの旅人が訪れる。
中には外国人や公家の人もいるみたいだ。
「色んな人がいるなあ。」
目を輝かして周りをキョロキョロと見る小次郎。
その小次郎の反応を見た豊国はおもてなしをする側の人間として凄く嬉しく感じた。
「小次郎殿、この町がそんなに珍しいかい?」
「あぁ、色んな人もいるし、この町では女の子も買えるみたいだしな。」
この町には何やら怪しい店もあるみたいだ。
豊国は少し苦笑いして小次郎に「それは止めておいた方が良いですよ」と言う。
確かに豊国の言う通りだ。
さっきから小次郎の後ろから殺気がする。
恐らくこの殺気は宗信のだろう。
宗信は一度怒ると怒りを鎮めるのに時間がかかる。
今日の朝みたいな事にはしたくない。そう思った小次郎は宗信にいう。
「ごめん。さっきのは嘘だよ。俺は人を買うなんて行為は嫌いだ。人間は売り買いするものじゃない。人身売買なんて許せない!」
咄嗟に小次郎は適当な言葉を考えて言った。
これで宗信がさっきのを冗談と分かってくれたら良いのだが。
「そうですよね。さすが小次郎さんです。」
良かった…。どうやら殺気は消えたようだ。
しかし、このやり取りはめんどくさい。
宗信の前では変な事を言うのを止めた方が良いな。
しばらくすると大きな宿屋についた。
正確に言うと大きくて豪華な宿屋だ。
その高級感溢れる雰囲気からかキラキラと輝いて見える。
どうやらここは山名が公家や大大名をもてなす為に使う宿屋らしい。
中へ入り、豊国は宿屋の女将に話をしてお金を渡した。
豊国は戻ってきて笑顔で言う。
「では今夜はここでお泊まりください。旨い食べ物や、山陰ならではの日本海で取れた魚料理を召し上がってください。」
そう言うと豊国はお辞儀をして「それでは」と言って帰って行った。
小次郎達は宿に入ると、すぐに温泉に浸かりに行った。
汗を掻いていて気持ち悪いのである。
特に豊国に説明をしていた時の小次郎の雰囲気。
アレのせいで秀綱と宗信は余計変な汗を掻いたのである。
あの時の小次郎は一体何だったのだろうか?
豊国に危機感を持たせるための演出?
もしかして、そうやって相手を自分のペースに持っていくのが小次郎の特技なのだろうか?
そんな事を考えながら宗信は温泉に浸かっていた。
「宗信、何をボーっとしているんだ?」
秀綱が宗信の隣に浸かり話し掛けてくる。
宗信は元気の無い顔で秀綱の方を向く。
「私、最近小次郎さんの事が気になって仕方ないんです。でも今日の小次郎さんが豊国さんに説明していた時の雰囲気を見てたら、なんだが怖く感じちゃって…。でも普段はだらしないし優しいし…。なんだか、小次郎さんが良く分からないです。」
秀綱は「ほう?」と言う。
「宗信よ、それは恋の病みたいな物だな。普段一緒に暮らしていて、だらしのない人が急に別人みたいに感じたって事だな。」
宗信はコクりと頷く。
「まだ小次郎も宗信も知り合って3ヶ月も経ってないんだから知らない部分が合っても不思議ではなかろう。とりあえずだな、もうちょっと小次郎と過ごせば本当のアイツが見えてくるだろう。」
なんとなく宗信は秀綱に目を合わせないようにした。
「まぁ、元気を出せって。小次郎は私達の為に未来の知識を活用しているんだ。私達には悪さをしないはずさ。」
山名豊国は小次郎に言われた事を伝えるため、帰ろうとする。
だが、せっかく山名領に来たんだ。
それなら少しぐらいおもてなしをしようと思った。
幸いにもこの近くには温泉のある宿場町がある。
「では僕達はそろそろ城に戻らなければならない。でも君達はせっかく山名領に来たのだから良い温泉宿に招待したいと思う。どうかな?」
小次郎達はここまで来るのに随分急いでいた。
ここまで来るのに馬に乗っていたとはいえ、疲労もある。
「私達も疲れていますし、せっかくなのでお言葉に甘えさせてもらいます。」
ペコリとお辞儀をする宗信。
小次郎達は馬に乗り、豊国に連れられて温泉宿場町に行く。
温泉宿場町の第一印象はガヤガヤとした賑やかな町である。
町には色んなお店がある。
茶店、鍛治屋、怪しい壺を売る店、南蛮商品を取り扱う店など。
この宿場町は山陰でも有名な温泉宿場町で、たくさんの旅人が訪れる。
中には外国人や公家の人もいるみたいだ。
「色んな人がいるなあ。」
目を輝かして周りをキョロキョロと見る小次郎。
その小次郎の反応を見た豊国はおもてなしをする側の人間として凄く嬉しく感じた。
「小次郎殿、この町がそんなに珍しいかい?」
「あぁ、色んな人もいるし、この町では女の子も買えるみたいだしな。」
この町には何やら怪しい店もあるみたいだ。
豊国は少し苦笑いして小次郎に「それは止めておいた方が良いですよ」と言う。
確かに豊国の言う通りだ。
さっきから小次郎の後ろから殺気がする。
恐らくこの殺気は宗信のだろう。
宗信は一度怒ると怒りを鎮めるのに時間がかかる。
今日の朝みたいな事にはしたくない。そう思った小次郎は宗信にいう。
「ごめん。さっきのは嘘だよ。俺は人を買うなんて行為は嫌いだ。人間は売り買いするものじゃない。人身売買なんて許せない!」
咄嗟に小次郎は適当な言葉を考えて言った。
これで宗信がさっきのを冗談と分かってくれたら良いのだが。
「そうですよね。さすが小次郎さんです。」
良かった…。どうやら殺気は消えたようだ。
しかし、このやり取りはめんどくさい。
宗信の前では変な事を言うのを止めた方が良いな。
しばらくすると大きな宿屋についた。
正確に言うと大きくて豪華な宿屋だ。
その高級感溢れる雰囲気からかキラキラと輝いて見える。
どうやらここは山名が公家や大大名をもてなす為に使う宿屋らしい。
中へ入り、豊国は宿屋の女将に話をしてお金を渡した。
豊国は戻ってきて笑顔で言う。
「では今夜はここでお泊まりください。旨い食べ物や、山陰ならではの日本海で取れた魚料理を召し上がってください。」
そう言うと豊国はお辞儀をして「それでは」と言って帰って行った。
小次郎達は宿に入ると、すぐに温泉に浸かりに行った。
汗を掻いていて気持ち悪いのである。
特に豊国に説明をしていた時の小次郎の雰囲気。
アレのせいで秀綱と宗信は余計変な汗を掻いたのである。
あの時の小次郎は一体何だったのだろうか?
豊国に危機感を持たせるための演出?
もしかして、そうやって相手を自分のペースに持っていくのが小次郎の特技なのだろうか?
そんな事を考えながら宗信は温泉に浸かっていた。
「宗信、何をボーっとしているんだ?」
秀綱が宗信の隣に浸かり話し掛けてくる。
宗信は元気の無い顔で秀綱の方を向く。
「私、最近小次郎さんの事が気になって仕方ないんです。でも今日の小次郎さんが豊国さんに説明していた時の雰囲気を見てたら、なんだが怖く感じちゃって…。でも普段はだらしないし優しいし…。なんだか、小次郎さんが良く分からないです。」
秀綱は「ほう?」と言う。
「宗信よ、それは恋の病みたいな物だな。普段一緒に暮らしていて、だらしのない人が急に別人みたいに感じたって事だな。」
宗信はコクりと頷く。
「まだ小次郎も宗信も知り合って3ヶ月も経ってないんだから知らない部分が合っても不思議ではなかろう。とりあえずだな、もうちょっと小次郎と過ごせば本当のアイツが見えてくるだろう。」
なんとなく宗信は秀綱に目を合わせないようにした。
「まぁ、元気を出せって。小次郎は私達の為に未来の知識を活用しているんだ。私達には悪さをしないはずさ。」
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