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モテる指輪
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いつまで経っても背中に衝撃が来ないことを不思議に思ったのか、頭を抱えて地面に縮こまっていた羊も恐る恐る目を開けたようで、『何これっ!?』と驚いている。そして羊もフードの人物に気付いたようで、立ち上がって二人並んでフードの人物の方を見る。
「時間を止めるなんてそんな大仰なことできるかよ」
「えっ、でも実際に」
狼が目の前で箒を振り上げている女子の頬っぺたを指で突っつく。動く気配も無ければ瞬きをする様子も無い。
「思考や動きといったあらゆるものを一時停止させてるんだ。時間が止まってるわけじゃない」
「……同じじゃねーの?」
「いや、……。あー、……。……ああ、うん、同じだ」
「おい、説明を諦めたろ、今。ちゃんと説明しなさい」
「専門用語を交えないで説明するのが面倒過ぎる。何しても動かないし、気付かれないって意味じゃ同じだよ。頬っぺたじゃなくて胸を突っついてもバレねぇぞ?」
「………………あれ、よーするに俺今合法的に胸突っつける?」
「いや、全然合法じゃないよ? 蘇生措置するわけでもなく、意識の無い女の子の胸突っつくんだから普通にセクハラだよ? ダメだよやっちゃ。絶っ対にダメだよ?」
「おいそれはどっちだ。俺は一体どうすればいいんだ? くっ! 沈まれ俺の右腕ぇっ!!」
バカ二人がおバカな会話をしていると、
「な、何なんだよこれぇっ!?」
どうやら時間(厳密に言うと違うらしいが)が止まっているのは女子たちだけで男子生徒は動けるらしい。話についていけないらしくただひたすらテンパっている。
「何だ? あのピーチクパーチクうるさいのは。知り合いか?」
「「いや、全然」」
「クラスメイトだと言っているだろバカ二人っ!!」
さらに声のボリュームを上げて騒ぐ男子生徒をうるさそうに見つめていたフードの人物だったが、男子生徒の指に光る指輪を見つけると、
「ほう」
明らかに声のトーンが一個下がった。怒りの気配を滲ませて、いや、あれはそもそも怒りの気配を隠す気も無さそうだ。むしろ今まで我慢してました、とでも言いたげに怒りの気配をどんどん放出しているような気さえする。
「テメェか。ワシが急に叩き起こされた元凶は」
男子生徒の方を向いて言うフードの人物。流石に身の危険を感じたのだろう。男子生徒が無意識下に一歩後退りした、と思った直後には、フードの人物は男子生徒の目の前に居た。小走りできる程度には二人の間に距離があったと思うが、その距離が一瞬で詰まっていた。
「抵抗すんな。大人しくしてろ。今、イラついてんだ」
フードの人物は男子生徒へと手を伸ばす。抵抗するな、とは言われてもあれだけあからさまに攻撃色を滲ませている人物が自分の顔へと手を伸ばしてきたら怖いだろう。
「さっ、触るなぁっ!!」
半狂乱的に振り回した手がフードに当たり、フードがわずかに捲り上がる。フードの下から銀色の髪、褐色の肌。ほんの一瞬覗き込んだだけでも、人の目を、心を奪えてしまうような、そんなある種危険な美しさを持った顔のほんの一部がかすかに見えた瞬間、
フードの人物の膝蹴りが男子生徒の鳩尾に何発かが、一発と誤認できるほど瞬時に入り込んだ。
「おい小僧。イラついてるって言ってんだろうがよ。これ以上イラつかせるんじゃねぇよ。リアルに八つに裂かれてぇか? あん? ……おい、シカトしてんじゃねぇぞ、コラ」
いえ、違います。今の膝蹴りで意識持ってかれているんです。
羊は横の狼に聞く。
「今、何発入れた? 1発じゃなかった、ってのだけ分かったんだけど」
「3発……、までは目で追えたけどな……」
「7発だ」
いつの間にか二人のもとへ戻ってきていたフードの人物が答える。7発……、あの時喧嘩しなくて良かったぁ……、と狼がホッとしていると、突如首筋に手が回されヒヤッとする。横を確認すると羊の首にも同じように手が回っており、身長差の関係で若干二人の間にフードの人物が浮いているようにも見える。
「で? お前ら。これは一体全体どういう状況なんだ? うん? 怒らないから素直に言ってみ?」
この言葉を使ってホントに怒らない人など居るのだろうか? 嫌に優しい声音が余計に怖い。今は脱力しているが首筋に回されている手はもっと怖い。下手な回答をすると一気に手に力を入れられそのまま首をポキーッ! と折られそうである。とはいえ、適当なウソを吐いてもそれはそれでポキーッ! と折られそうなので、二人は言葉に気を遣いつつ、ことの顛末を話すことに。
「時間を止めるなんてそんな大仰なことできるかよ」
「えっ、でも実際に」
狼が目の前で箒を振り上げている女子の頬っぺたを指で突っつく。動く気配も無ければ瞬きをする様子も無い。
「思考や動きといったあらゆるものを一時停止させてるんだ。時間が止まってるわけじゃない」
「……同じじゃねーの?」
「いや、……。あー、……。……ああ、うん、同じだ」
「おい、説明を諦めたろ、今。ちゃんと説明しなさい」
「専門用語を交えないで説明するのが面倒過ぎる。何しても動かないし、気付かれないって意味じゃ同じだよ。頬っぺたじゃなくて胸を突っついてもバレねぇぞ?」
「………………あれ、よーするに俺今合法的に胸突っつける?」
「いや、全然合法じゃないよ? 蘇生措置するわけでもなく、意識の無い女の子の胸突っつくんだから普通にセクハラだよ? ダメだよやっちゃ。絶っ対にダメだよ?」
「おいそれはどっちだ。俺は一体どうすればいいんだ? くっ! 沈まれ俺の右腕ぇっ!!」
バカ二人がおバカな会話をしていると、
「な、何なんだよこれぇっ!?」
どうやら時間(厳密に言うと違うらしいが)が止まっているのは女子たちだけで男子生徒は動けるらしい。話についていけないらしくただひたすらテンパっている。
「何だ? あのピーチクパーチクうるさいのは。知り合いか?」
「「いや、全然」」
「クラスメイトだと言っているだろバカ二人っ!!」
さらに声のボリュームを上げて騒ぐ男子生徒をうるさそうに見つめていたフードの人物だったが、男子生徒の指に光る指輪を見つけると、
「ほう」
明らかに声のトーンが一個下がった。怒りの気配を滲ませて、いや、あれはそもそも怒りの気配を隠す気も無さそうだ。むしろ今まで我慢してました、とでも言いたげに怒りの気配をどんどん放出しているような気さえする。
「テメェか。ワシが急に叩き起こされた元凶は」
男子生徒の方を向いて言うフードの人物。流石に身の危険を感じたのだろう。男子生徒が無意識下に一歩後退りした、と思った直後には、フードの人物は男子生徒の目の前に居た。小走りできる程度には二人の間に距離があったと思うが、その距離が一瞬で詰まっていた。
「抵抗すんな。大人しくしてろ。今、イラついてんだ」
フードの人物は男子生徒へと手を伸ばす。抵抗するな、とは言われてもあれだけあからさまに攻撃色を滲ませている人物が自分の顔へと手を伸ばしてきたら怖いだろう。
「さっ、触るなぁっ!!」
半狂乱的に振り回した手がフードに当たり、フードがわずかに捲り上がる。フードの下から銀色の髪、褐色の肌。ほんの一瞬覗き込んだだけでも、人の目を、心を奪えてしまうような、そんなある種危険な美しさを持った顔のほんの一部がかすかに見えた瞬間、
フードの人物の膝蹴りが男子生徒の鳩尾に何発かが、一発と誤認できるほど瞬時に入り込んだ。
「おい小僧。イラついてるって言ってんだろうがよ。これ以上イラつかせるんじゃねぇよ。リアルに八つに裂かれてぇか? あん? ……おい、シカトしてんじゃねぇぞ、コラ」
いえ、違います。今の膝蹴りで意識持ってかれているんです。
羊は横の狼に聞く。
「今、何発入れた? 1発じゃなかった、ってのだけ分かったんだけど」
「3発……、までは目で追えたけどな……」
「7発だ」
いつの間にか二人のもとへ戻ってきていたフードの人物が答える。7発……、あの時喧嘩しなくて良かったぁ……、と狼がホッとしていると、突如首筋に手が回されヒヤッとする。横を確認すると羊の首にも同じように手が回っており、身長差の関係で若干二人の間にフードの人物が浮いているようにも見える。
「で? お前ら。これは一体全体どういう状況なんだ? うん? 怒らないから素直に言ってみ?」
この言葉を使ってホントに怒らない人など居るのだろうか? 嫌に優しい声音が余計に怖い。今は脱力しているが首筋に回されている手はもっと怖い。下手な回答をすると一気に手に力を入れられそのまま首をポキーッ! と折られそうである。とはいえ、適当なウソを吐いてもそれはそれでポキーッ! と折られそうなので、二人は言葉に気を遣いつつ、ことの顛末を話すことに。
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