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番外編⑤ モンスター化の呪い
⑨
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「なあシュン、今日はもう……、ぅわっ!?」
ぐいっと上半身を引っ張られ、俺は再び箱の中にすっぽりと収まった。だけど先ほどと違い、箱と蓋の間から少しだけ光が差し込み視界は真っ暗じゃない。
薄暗い箱の中で、俺の目の前になにかが現れる。さらりとした髪が、頬に触れた。
「あは。やっぱり会話できないといろいろ不便だねぇ」
「え……? シュン……?」
聞き馴染みのある――甘さを含んだイケボが耳に届く。薄暗い箱の中、俺の視界の先には――裸のシュンがいた。
「呪い、解けたのか……?」
「ううん。まだ完全には解けてないかなあ。下半身はまだ触手なんだー」
ほら、とシュンが己の下半身を指さしたので視線を向けると、たしかに腰から下は触手になっていた。
箱の底はまだうねうねとたくさんの触手が蠢いており、そのうちの何本かが箱と蓋の間に挟まっている。おかげでシュンの顔が見え、窒息することもない。
「たしかに……え、でもなんで上半身だけ戻ったんだ?」
徐々に戻っていく仕様なのだろうか。俺の質問に、シュンはにこりと微笑んだ。
「んー……なんかやってみたらできたんだよねぇ。ナギのおかげで呪いが解けてきたから、どうにか上半身だけでも戻れないかなって思って」
「はあ……? よくわかんねえけど……すごいな……」
ユーザーが自由に遊べるように作り込まれたゲームなのは知っていたが、こんなこともできるとは。開発陣に半ミミック状態が好きな人でもいたんだろうか。
そんなことを考えていたら、シュンの両手が俺の頬を包み込んできた。ゆっくりと顔が近づいてきて、唇にくすくすと笑う吐息がかかる。俺は自然に、目を閉じた。
ちゅ、と音を立てて唇が重なる。薄く口を開けば、ぬるりと舌が入り込んできた。
「ん……♡ はぁ……♡」
「は、ん……♡」
箱の中に、俺とシュンの息づかいが響く。それがなんだか無性に嬉しくて、ぎゅっと彼の背中に抱きついた。ねっとりと舌を絡ませ合い、唾液を飲み込む。
(あ……シュンの唾液……蜜の味がする……♡)
まだ呪いが完全に解けていないからだろうか。シュンの唾液が触手の蜜と同じ甘美な味がする。もっと飲みたくて、夢中で舌を啜った。
ぢゅうぢゅうと舌を吸い唾液を嚥下していると、ふ、と笑いながらシュンの唇が離れていく。
「あは。積極的じゃん」
「はぁ……♡ だって、シュンの唾液……触手から出てた蜜の味がして……もっと飲みたい……♡」
「そういうことかぁ。そんなに美味しい?」
「美味い……♡ いつもの唾液より、濃厚で、クセになる味……♡」
唾液の味を思い出して、ほう、と息を吐けばくすくすと笑い声が降ってくる。再びシュンの顔が近づいてきて、はむ、と下唇を食まれた。口を開いて舌を差し出せば、熱い舌が絡められ、たっぷりと唾液を流し込まれる。
唾液を飲み込むほどに思考がふわふわしてきて、シュンのことしか考えられなくなっていく。
「んぁぁ♡ はぁ……♡ シュン、もっと……♡」
唇が離されてすぐに甘えた声を出すと、シュンは目を細めた。ゆるりと口角を上げる笑みに、胸がきゅんとときめく。
「……あは。いいね、魅了効果って。キミをもっと僕の虜にさせたくなっちゃう」
「そんなの……もうずーっと前から、お前の虜だっての」
俺はもうシュン以外いらないんだから。セックスだけじゃなくて……隣で一緒に寝るのも、愛の言葉を交わし合うのも。彼がいない日常なんて、もう考えられないくらいに。
「ふふ。そうだねえ。あの男のことも、すっぱり断ってたし。えらいね」
「当たり前だろ。正直ちょっと……邪魔、だったし」
あの男性プレイヤーには申し訳ないけど、シュンとの特殊プレイを中断させされてちょっとだけイラッとしたのだ。
俺の言葉にシュンは嬉しそうに微笑み、俺の頭を撫でる。
「あははっ、いい子。成長したねえ。もう浮気は……絶対駄目だから、ね?」
「ああ。もう絶対しない」
まっすぐにシュンを見つめれば、ちゅ、と頬にキスをされた。そのまま彼は首筋や鎖骨に口づけていく。熱く柔らかい唇が触れた部分から、じわりじわりと熱が広がる。
ぐいっと上半身を引っ張られ、俺は再び箱の中にすっぽりと収まった。だけど先ほどと違い、箱と蓋の間から少しだけ光が差し込み視界は真っ暗じゃない。
薄暗い箱の中で、俺の目の前になにかが現れる。さらりとした髪が、頬に触れた。
「あは。やっぱり会話できないといろいろ不便だねぇ」
「え……? シュン……?」
聞き馴染みのある――甘さを含んだイケボが耳に届く。薄暗い箱の中、俺の視界の先には――裸のシュンがいた。
「呪い、解けたのか……?」
「ううん。まだ完全には解けてないかなあ。下半身はまだ触手なんだー」
ほら、とシュンが己の下半身を指さしたので視線を向けると、たしかに腰から下は触手になっていた。
箱の底はまだうねうねとたくさんの触手が蠢いており、そのうちの何本かが箱と蓋の間に挟まっている。おかげでシュンの顔が見え、窒息することもない。
「たしかに……え、でもなんで上半身だけ戻ったんだ?」
徐々に戻っていく仕様なのだろうか。俺の質問に、シュンはにこりと微笑んだ。
「んー……なんかやってみたらできたんだよねぇ。ナギのおかげで呪いが解けてきたから、どうにか上半身だけでも戻れないかなって思って」
「はあ……? よくわかんねえけど……すごいな……」
ユーザーが自由に遊べるように作り込まれたゲームなのは知っていたが、こんなこともできるとは。開発陣に半ミミック状態が好きな人でもいたんだろうか。
そんなことを考えていたら、シュンの両手が俺の頬を包み込んできた。ゆっくりと顔が近づいてきて、唇にくすくすと笑う吐息がかかる。俺は自然に、目を閉じた。
ちゅ、と音を立てて唇が重なる。薄く口を開けば、ぬるりと舌が入り込んできた。
「ん……♡ はぁ……♡」
「は、ん……♡」
箱の中に、俺とシュンの息づかいが響く。それがなんだか無性に嬉しくて、ぎゅっと彼の背中に抱きついた。ねっとりと舌を絡ませ合い、唾液を飲み込む。
(あ……シュンの唾液……蜜の味がする……♡)
まだ呪いが完全に解けていないからだろうか。シュンの唾液が触手の蜜と同じ甘美な味がする。もっと飲みたくて、夢中で舌を啜った。
ぢゅうぢゅうと舌を吸い唾液を嚥下していると、ふ、と笑いながらシュンの唇が離れていく。
「あは。積極的じゃん」
「はぁ……♡ だって、シュンの唾液……触手から出てた蜜の味がして……もっと飲みたい……♡」
「そういうことかぁ。そんなに美味しい?」
「美味い……♡ いつもの唾液より、濃厚で、クセになる味……♡」
唾液の味を思い出して、ほう、と息を吐けばくすくすと笑い声が降ってくる。再びシュンの顔が近づいてきて、はむ、と下唇を食まれた。口を開いて舌を差し出せば、熱い舌が絡められ、たっぷりと唾液を流し込まれる。
唾液を飲み込むほどに思考がふわふわしてきて、シュンのことしか考えられなくなっていく。
「んぁぁ♡ はぁ……♡ シュン、もっと……♡」
唇が離されてすぐに甘えた声を出すと、シュンは目を細めた。ゆるりと口角を上げる笑みに、胸がきゅんとときめく。
「……あは。いいね、魅了効果って。キミをもっと僕の虜にさせたくなっちゃう」
「そんなの……もうずーっと前から、お前の虜だっての」
俺はもうシュン以外いらないんだから。セックスだけじゃなくて……隣で一緒に寝るのも、愛の言葉を交わし合うのも。彼がいない日常なんて、もう考えられないくらいに。
「ふふ。そうだねえ。あの男のことも、すっぱり断ってたし。えらいね」
「当たり前だろ。正直ちょっと……邪魔、だったし」
あの男性プレイヤーには申し訳ないけど、シュンとの特殊プレイを中断させされてちょっとだけイラッとしたのだ。
俺の言葉にシュンは嬉しそうに微笑み、俺の頭を撫でる。
「あははっ、いい子。成長したねえ。もう浮気は……絶対駄目だから、ね?」
「ああ。もう絶対しない」
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