保健副委員長を解任されたら生徒会書記と仲良くなりました

ハツカ

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解任

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「リーラ・ラヴァンド!君を保健副委員長から解任する!」
「…え?」
アマント王国・国立ソルセルリ魔法学校・保健室。
保健室と言っても、普段用の第1保健室とは別に、実技授業で怪我人が出た時に備えて、8床のベッドが並べられている広々とした第2保健室。
現在は患者のいないその部屋で、週に1度の保健委員会会議が行われていた。
「…どういうことでしょうか?委員長…」
「君はもう我が委員会に不要な人間だということだ!」
私の問いに、金に近い黄土色の髪をオールバックにした青年、保健委員会委員長、ドクトー・ホピタルが言い放つ。
室内にいる10人強の他の保健委員達は、椅子に着席したまま困った表情で成り行きを見ている。
「不要とは、どういうことでしょうか?私はちゃんと副委員長として働いていたつもりなのですが―」
「何を言っている!役立たずが!我が校には君程度の薬師はいくらでもいる!君なんていてもいなくても同じだ!調子に乗るな!」
「…」
確かに。
わたしの薬師としての能力そのものは人並だ。
でも私には、アレがある。
「しかも、君には現在、委員会費の横領の疑いがかかっている!」
「なっ…!?していません!そんな事!」
薬師としての能力について言われるのは我慢できたが、横領は聞き捨てならない。
やってない、そんな事。
「しらばっくれるな!先月の委員会費が普段より大幅に高かった!やっていないと言うなら、何に遣われたのか説明しろ!」
「先月って…学内剣術大会があったので怪我人が多かったのと、委員長、あなたが薬の調合を間違えて、使えなくなった薬を大量に破棄しなくちゃならなくなって、薬草を買いなおしたからですよ。忘れたんですか?」
しかし、出費の説明をしても
「その程度の出費で、こんなに高額になるものか!言い訳するな!」
「えぇ…」
包帯や薬草の値段も全く把握できていないらしい。
あれだけ使えばまとまった金額になるわよ。
でも私は、呆れつつも別のことを考えていた。
仮に私が遣い込んだと本当に思っていたとして、この委員長は私を追い出すだろうか?
副委員長であり、薬師である私がいなくなったら、保健委員会の仕事が大変になるのは目に見えている。
いや、どうせ大変になったら他の委員をこき使うつもりなんだろうけど。
それでも委員長の性格から考えて、メリットよりデメリットの方が大きいと彼は感じると思うんだけど。
私を追い出そうとしている理由は何なの…?
しかし、私の疑問は彼の次のセリフで解けた。
「君のような卑しいマネをする女は委員会にふさわしくない!
僕は、君より遥かに有能な人材をスカウトしてきた!
―入りたまえ」
委員長がドアに向かって声をかける。
私と、10数名の委員達はバッとドアに注目した。
―カチャリ
「失礼します」
呼ばれて、女子生徒が入室してきた。
この子、知ってる。
ケリル・ゲリゾンという女子だ。
土のような暗い色の茶髪をぎゅっとお団子にしている私と違って、ミルクティーのような淡い色の茶髪をふんわりとリボンで横結びにしている。
そして、髪型と似合いのふんわりとした控えめな笑顔で室内を進み、委員長の隣に立った。
ケリルが隣に立つとすぐに、委員長は彼女の肩を抱いた。
…ああ、そういうこと。
「彼女の名はケリル・ゲリゾン。
優秀なヒーリングの力の持ち主だ。
リーラ・ラヴァンド、君よりずっとこの委員会、この学校に貢献してくれるだろう。
君のように包帯やら薬草やらの経費すら必要ない。
君が居座っていた副委員長の席には彼女の方がふさわしい。
すぐに出ていくなら横領の件については大目に見てやる。
分かったらとっとと出ていけ!」
委員長―いえ、ホピタルは言いたいことをベラベラ喋って偉そうに胸を張った。
…ダメだ、こりゃ。
でも最後にこれだけは。
「先月の出費は必要経費です!」
この一言だけは言って、私は保健室から出て行った。
10数人の委員達の同情の目に見送られながら。
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