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就任
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あの騒動から1ヶ月。
私、リーラ・ラヴァンドは、保健室で1人、ガーゼや薬の数をチェックしていた。
あの後、病床から起き上がったドクトー・ホピタルと、反省室から出されたケリル・ゲリゾンを待っていたのは、生徒会からの事情聴取だった。
委員会の職務を放棄し、予算を横領し、物資不足を引き起こし、立ち入り禁止だった林に入り、大量のモンスターを学校に引き入れ、怪我人を出したこと。それら全ての罪が言及された。
場所は校長室。
メンツは、校長先生をはじめとする先生方、生徒会、私を含む保健委員数名、そして、外部からのゲスト。
まず、ケリル・ゲリゾンは、問答無用で退学処分を言い渡された。
彼女はその場で泣き崩れ、生徒会のメンバーに引きずられながら、校長室から退出させられた。
そして、ドクトー・ホピタル。
部屋の外からまだ聞こえてくるケリルの泣き叫ぶ声を聞きながら青ざめてはいたが、まだその表情には余裕があった。
なぜなら、校長室には、彼の両親が呼び出されていたからだ。
この外部からのゲストは自分をかばって、助けてくれると期待していたのだろう。
聞かれもしないのにペラペラ話し始めた。
「職務放棄なんて人聞きの悪い言い方しないでくださいよ!
僕はただ、部下である他の委員達が自分で何でもできるように自主性を育てていただけです!
これも1つの監督と教育ですよ!
それに、予算の横領なんて僕は何も知りませんでした!
ケリルが勝手にやった事です!
それに、モンスターの巣に攻撃を当てたのはケリルです!
僕は一発も攻撃をしていません!
それにこの事件で最も重症を負ったのは僕です!
僕こそ1番の被害者です!
他にも色々細かいミスが僕にもあったかもしれませんが、全てあの女に唆されていたんです!
僕は大して悪いことをしていない…と言うより僕はケリル・ゲリゾンの被害者で―」
―ガンッ!
彼は最後まで言えなかった。父親に思い切り殴られたからだ。
「いい加減にしろ…ホピタル家の面汚しが…!」
怒りがにじみ出ている声で、ドクトーの父親は拳を震わせた。
味方だと思っていた自分の父親に殴られ、半ベソになりながら、ドクトーは実家に連れ帰られた。
彼は一応自主退学ということになったそうだ。
彼の父親は、事前にドクトーがやった事の内容や証拠に目を通した時点で、息子を家に連れ帰ろうと思っていたようだ。
目の届く所に置いて監視した方がマシだと判断したのだろう。
こうして、一連の事件は終結し、原因も取り除かれた。
そして、空席になった保健委員長の席には、私、リーラ・ラヴァンドが座り、副委員長は、私に相談しに来たり、この事件でも何かと奔走してくれた後輩の女子生徒が収まった。
委員長に就任し、グチャグチャになった委員会を整え立て直し、そろそろ落ち着いてきた。
近いうちに新しい事も始められそうだ。
例えば…ヒーラーや薬師の病院ボランティアの活動先を増やす、とか。
活動先には、貧しい町人の為の病院も、もっと視野に入れる、とか。
通える範囲内の、大小様々な病院をマークした地図を眺めながら考えていると、保健室に来客があった。
「やぁ、リーラちゃん」
「あら、ヴァン」
あの事件以来、ヴァンとはさらに親しくするようになった。
相変わらず、自由気ままな彼の気持ちは測り切れないけど、彼と一緒にいると楽しくて穏やかな気分になれる。
「今日はどうしたの?」
「今度の休み、リーラちゃんの予定は空いてるか聞きたくて」
あら、またどこかの病院に行くのかしら。
「空いてるよ。多めに持って行った方が良い薬はある?」
「いや、薬は何も持ってこなくて大丈夫。服も、いつもみたいに地味で目立たない服装じゃなくていいよ」
「え?なんで?」
「いつもの病院ボランティアじゃなくて、デートだもん」
「…え?」
『デート』という単語に、頭が一気にオーバーヒートした。
顔も熱くなる。
「じゃ、おめかししてきてね~」
ヴァンはひらひらと手を振りながら、さっさと出て行ってしまった。
「デートって…」
何?何!?どういうつもり!?
やっぱりあいつ訳分かんない!
それに、委員の仕事中に言いに来ないでよ!集中できないじゃない!
ドキドキと高鳴る鼓動を何とかごまかしながら、私は業務に没頭した。
とにかく、帰宅時間が来て、保健室を施錠したら、走って自室に帰って、それから―
なるべくすてきな服を選ばないと…。
終わり
私、リーラ・ラヴァンドは、保健室で1人、ガーゼや薬の数をチェックしていた。
あの後、病床から起き上がったドクトー・ホピタルと、反省室から出されたケリル・ゲリゾンを待っていたのは、生徒会からの事情聴取だった。
委員会の職務を放棄し、予算を横領し、物資不足を引き起こし、立ち入り禁止だった林に入り、大量のモンスターを学校に引き入れ、怪我人を出したこと。それら全ての罪が言及された。
場所は校長室。
メンツは、校長先生をはじめとする先生方、生徒会、私を含む保健委員数名、そして、外部からのゲスト。
まず、ケリル・ゲリゾンは、問答無用で退学処分を言い渡された。
彼女はその場で泣き崩れ、生徒会のメンバーに引きずられながら、校長室から退出させられた。
そして、ドクトー・ホピタル。
部屋の外からまだ聞こえてくるケリルの泣き叫ぶ声を聞きながら青ざめてはいたが、まだその表情には余裕があった。
なぜなら、校長室には、彼の両親が呼び出されていたからだ。
この外部からのゲストは自分をかばって、助けてくれると期待していたのだろう。
聞かれもしないのにペラペラ話し始めた。
「職務放棄なんて人聞きの悪い言い方しないでくださいよ!
僕はただ、部下である他の委員達が自分で何でもできるように自主性を育てていただけです!
これも1つの監督と教育ですよ!
それに、予算の横領なんて僕は何も知りませんでした!
ケリルが勝手にやった事です!
それに、モンスターの巣に攻撃を当てたのはケリルです!
僕は一発も攻撃をしていません!
それにこの事件で最も重症を負ったのは僕です!
僕こそ1番の被害者です!
他にも色々細かいミスが僕にもあったかもしれませんが、全てあの女に唆されていたんです!
僕は大して悪いことをしていない…と言うより僕はケリル・ゲリゾンの被害者で―」
―ガンッ!
彼は最後まで言えなかった。父親に思い切り殴られたからだ。
「いい加減にしろ…ホピタル家の面汚しが…!」
怒りがにじみ出ている声で、ドクトーの父親は拳を震わせた。
味方だと思っていた自分の父親に殴られ、半ベソになりながら、ドクトーは実家に連れ帰られた。
彼は一応自主退学ということになったそうだ。
彼の父親は、事前にドクトーがやった事の内容や証拠に目を通した時点で、息子を家に連れ帰ろうと思っていたようだ。
目の届く所に置いて監視した方がマシだと判断したのだろう。
こうして、一連の事件は終結し、原因も取り除かれた。
そして、空席になった保健委員長の席には、私、リーラ・ラヴァンドが座り、副委員長は、私に相談しに来たり、この事件でも何かと奔走してくれた後輩の女子生徒が収まった。
委員長に就任し、グチャグチャになった委員会を整え立て直し、そろそろ落ち着いてきた。
近いうちに新しい事も始められそうだ。
例えば…ヒーラーや薬師の病院ボランティアの活動先を増やす、とか。
活動先には、貧しい町人の為の病院も、もっと視野に入れる、とか。
通える範囲内の、大小様々な病院をマークした地図を眺めながら考えていると、保健室に来客があった。
「やぁ、リーラちゃん」
「あら、ヴァン」
あの事件以来、ヴァンとはさらに親しくするようになった。
相変わらず、自由気ままな彼の気持ちは測り切れないけど、彼と一緒にいると楽しくて穏やかな気分になれる。
「今日はどうしたの?」
「今度の休み、リーラちゃんの予定は空いてるか聞きたくて」
あら、またどこかの病院に行くのかしら。
「空いてるよ。多めに持って行った方が良い薬はある?」
「いや、薬は何も持ってこなくて大丈夫。服も、いつもみたいに地味で目立たない服装じゃなくていいよ」
「え?なんで?」
「いつもの病院ボランティアじゃなくて、デートだもん」
「…え?」
『デート』という単語に、頭が一気にオーバーヒートした。
顔も熱くなる。
「じゃ、おめかししてきてね~」
ヴァンはひらひらと手を振りながら、さっさと出て行ってしまった。
「デートって…」
何?何!?どういうつもり!?
やっぱりあいつ訳分かんない!
それに、委員の仕事中に言いに来ないでよ!集中できないじゃない!
ドキドキと高鳴る鼓動を何とかごまかしながら、私は業務に没頭した。
とにかく、帰宅時間が来て、保健室を施錠したら、走って自室に帰って、それから―
なるべくすてきな服を選ばないと…。
終わり
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