悪魔との契約

天邪鬼

文字の大きさ
上 下
1 / 1

突然の囁き

しおりを挟む
「ねえ、見た?防弾青年団のライブ」

「良いなー、私なんて追試験で行けなかったよ」

ありがちな女子の会話が聞こえる。

イケメンだったら人生イージーモードなんだろうか。容姿だけで得するなんて良いものだ。

俺は19の大学生だ。

理想の自分ばかり追い求めて生きてきた。頭が良く容姿端麗な自分になりたかった。

小学校の時は内向的で周りの空気を読むのも苦手、一人で本ばかり読んでいたしよくいじめられていた。

俺は人と接するのが嫌いだった。

自分のステータスばかり気にしていていつまでも自分に自信を持てずに生きてきた。

俺は一人で電車で下校していた。前に座っていた奴が脚を組んでいてしかも俺に当たった。

俺は公衆トイレでお茶とトイレットペーパーをぶち撒けた。

「くそが!」

家に帰っていつもどうり部屋にこもった。

「あぁ、頭が良くてイケメンだったら人生変わっていただろう」

ボーッとしてきた。

そして目の前の視界が少しずつ暗くなっていくのを感じた。

「あれ?なにかおかしい。」すると真っ暗になった。

低い声で地に響き渡るような声、明らかに心の声ではなかった。その低い声は語りかけるように「そうだ。理想の自分になるべきだ」と聞こえた。

これからは声の主を「悪魔」と呼ぶことにする悪魔は続けてこう言った。

「理想の自分になる方法は天使を狩るんだ君は我々に協力して欲しい」

俺は当然驚きこの幻聴らしき声を半信半疑で聞いていたが具体的な方法を聞いて僕は驚いた。

「天使は人間に取り憑いているものもいる。

ただしその人間はごく普通に日々の生活を送っている。天使が取り憑いているか否か分かる能力を授ける。

そして狩るのは人間であるお前にしか出来ない。狩る方法は取り憑かれている人間を殺すんだ。やるか?」

「わかったやるよ。この苦しみから逃れられのなら安いものだ。」

「一人殺るごとにお前は理想に近づく」

「何故こんな事をすすめる?」

「天使との戦争さ。」

視界は元に戻り、声も聞こえなくなった。俺は正直ほっとした。

理想を手に入れられない苦しみから逃れられるチャンスだと思った。

俺は殺すための毒をネットショッピングで買った。

「こんなことが起こるなんて・・・」俺は興奮してその日はなかなか寝付けなかった。

翌朝学校に行くと感じる奴が居た。天使が取り憑いていると感じる奴が居た。

悪魔から授かった天使を見分ける能力は本物だった。

授業中も相変わらずトイレにこもって本を読んでいたが薬品が家に届くのが待ち遠しくて仕方なかった。

「どうするあいつを殺すか・・理想のためだから仕方ない。でもどうやって・・・

どうやって毒を飲ませるか・・・隙を見て弁当などに混入させるか・・・でも証拠は残してはいけない。警察に捕まるからな」。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...