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第2章 人の人生を変えるなら、人に人生変えられるかくご位してやがれ

CROWNは、その日開店5周年を迎えました。後編<116>

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「正直、俺がセイと今何したいか分かる?」



今、冬野さんがしたいこと。

服も脱いでるし、時間も時間だ。



「お風呂ですか?」

「その前に抱きたい。何で嫌なの?」



(*・ω・)エッナンデテッテ……



と言うか、冬野さん、今私が答えを言う前に、何で自分で答え言っちゃうし。



普通に考えてたら、絶対思いつかなかったのにな。



その解答。



つまり、冬野さん。





(; ・`д・´) ハツジョウキデスカ?




何て、脳内が冬野さんに問いかけているが、私は寸前のところでそれを我慢した。




「すみません。生まれてこのかた、男の人とそう言う事したいと思った事がないんで、嫌です」

「……え、それは、経験云々の前に、性欲がないから出来ないと」

「経験云々の前にそうですね。なので、もちろん、経験もない訳です」

「え、じゃぁ、君のファーストキス、千波?」

「……あっ、そうだ。言われてみれば」




自分のファーストキスについて、今まで何の思い入れもなかったのだが、人生の初キスの思い出は冬野さんだが、酒に酔ってちなに盛大にキスしたらしい。





「じゃぁ、今じゃなくて、良いからさ。この際、セイのカラダのハジメテだけは俺に頂戴」



「え?」



「俺に頂戴」



「あの、要ります? 私なんか」



「今一番欲しい位、俺本気だから」



「ちなみにユキさんはハジメテですか?」



「ごめん、俺、高校の時に経験してるから、君にはキスもカラダもあげられない。欲しかった? 俺のハジメテ?」




冬野さんがくれるものなら、何でも貰いますけど。



今の冬野さんが居れば、私そんなに欲張りしない。




「すみません、私、そう言うこだわりないです」




そう答える私の上に覆いかぶさって、冬野さんは、私の足の間に自分のカラダを押さえつけて来た。



冬野さんだけ、ちゃっかり下着だけ付けててズルい。



私は全裸なのにと思って、いや、履いてない方が困ると思った。




「ちなみに今日はしないんですよね?」

「したかった?」

「まだちょっと心の準備が出来てません」

「でも、俺は心の余裕がそろそろ限界」

「え、水風呂でも入ります?」

「意外と辛辣な事言うんだね」






冬野さんは、ため息をついて、でもいつもしてくれる優しい笑顔で笑ってくれた。



私は何かホッとした。






「何か、作ろうか?」




「え?」

「何でも好きなカクテル、作るよ。そうだね。アイスブレーカーって知ってる?」




それは今までで初めて聞く名前だった。





「いいえ、初めて聞きます。作ってくれるんですか? 飲んでみたい」

「じゃぁ、決まりだ。君の好きなテキーラがベースだから気に入ると思うよ」




テキーラ、ホワイトキュラソー(オレンジリキュール)、グレナデンシロップ(ザクロのシロップ)、グレープフルーツのカクテル。



マティーニを飲むときに使う様な三角形のショートグラスにシェーカーで混ざり合った濁り赤と白の泡。



テキーラの強い癖とザクロの甘い香り。




「アイスブレーカーって、初対面の人と打ち解けるって意味合いがるんだ。俺、君と打ち解けたい。俺といると緊張するらしいから、これ飲んだら、俺に打ち解けてよ。少しずつで良いから」




最初に氷を入れてシェーカーを振っていたが、シェイクされて砕けた氷の粒が舌で溶ける度、心地よかった。



私に、こんな素敵な人の恋人務まるのだろうか?



リビング脇のキャビネットにある行く数多のカクテル。

自宅のリビングでバーが出来る、屋上付き、店舗兼自宅。裏手にガレージ付き駐車場。

そんな個人事業主で、直視できないくらいイケメンで優しくて、そして、意外と面倒なくらいエッチで、焼きもち焼きな冬野さんの恋人だなんて。




「美味しい。このカクテル」



カクテルの感想を述べ、冬野さんを見上げると、冬野さんは私がカクテルを飲んでる様子を両腕を組んで見つめていて、私は途端緊張して、石になった。

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