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第2章 人の人生を変えるなら、人に人生変えられるかくご位してやがれ
水野 雪 前編<177>
しおりを挟む「ユキの彼女?」
サイドを短く刈り上げ、長い茶髪の髪をふわふわさせた奇抜な髪型に、狂犬みたいに鋭い目をして、とがった鼻先に薄い唇で、見た目は格好良い部類でも、ユキとは対照的な冷たそうな男だった。
私が、今までで、一番好きで、唯一愛してたって言えるくらい、好きになれた人。
「違います」
物珍しそうな顔で私を見下ろすその男は、ユキよりリンゴ1個分位背が高かった。
体つきも割と華奢なユキより、大きかった。
ていうか、ゴリラだと思った。
顔の良い、ライオン色した、どう猛なゴリラ。
「ここに住んでるんですか?」
「居候」
なんでまた。
最初にそう聞いたとき私はあんまり、良い気持ちじゃなかった。
黒のタンクトップにダメージジーンズで、一体何してる人なんだろうと思った。
ずいぶん日焼けしているし。
その日は、ユキの家でBBQをして、ユキの家族と私たち家族やご近所さんも来ていて、みんな和気藹々としていた。
私は、知らない顔ぶれだったその男に、声をかけてみたのだが、まさかユキの家に居候してる従兄だったなんて思いもしなかった。
でも、不意に傍に寄った時、その男からはふわりとバニラみたいな薔薇の匂いがした。
私はそれが嫌いじゃなかった。
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