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第3章 7days 3years fights

裏切りは恋を知らぬ愚かさ故 前編<235>

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「おはよう」





カズヤがやって来た。







サーモンピンクのシャツに、白の半ズボン。



スリッポンのスニーカーを履いてた。



髪は前髪を掻き分けてセットして、爽やかな笑顔。





冬野さんも、ソウも、カズヤも、本当目が覚める様なイケメンだ。




何で、こんなにイケメンなんだろう。




取り敢えず。




すみませんが……。




今泣いてるんで、突然、現れないでくれませんか?






って言いたかったけど、言ってどうにかなるものでもなかったので言わなかった。





「おはようごさいます」



「まだ、泣いてるの?」





「……留守番で、一人になるまで我慢してたの。油断した。あっち行って」




私は野菜の下ごしらえを着々と進め、今は干しシイタケをぬるめのお湯と砂糖でもどす作業をしていた。





「セイは、ユキの彼女だったんだ」



「過去形で言われるの辛い」




私が恨めし気に見上げると、苦笑いで私の頭をカズヤは撫でた。






何でいきなり優しいんだよ。





「語彙が違う。セイの正体がって意味だけ。行動力あるね」



「無謀って言い方で良いよ。振られたし」




カズヤは私に肩がぶつかる位近くに並んで座った。




「無謀と英雄は紙一重だよ……。無謀なのは。そうだね、3年前のソウとユキは無謀だった。でも、俺、君がしようとした事は、英雄だと思う」



「意味わかりません」




カズヤは私の左手に自分の右手を添えた。



「君は俺に、正直に全部見せてくれただろう。だから、俺は、セイに。全部、俺の全部知ってる事を話すよ。せめてもの、気休めにしかならないだろうけど」




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