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第3章 7days 3years fights

×× カズヤの証言 囚人のジレンマの二人<239>

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「庭園は担保だ。燃やせば、放火罪が適用されるんだ」






二人は驚いていたが、まだそこに来ても、自分たちがした事を恐れたり、悪びれたりするそぶりを見せなかった。



俺は本当にこの兄従兄達には敵わないと思った。



何で、後悔しないんだ。



そう思った。






「じゃぁ、俺がちゃんと言うよ」




ユキは恐れるそぶり無く、綺麗にそう言い切った。



俺は、おぞましいと思った。




「お前、懲戒免職だぞ」




放火容疑で拘留されて、ただで済むはずないだろ。



ユキは一瞬動揺した様に見えたが定かではない。



だが、その一言で、ソウの腹は決まったんだと思う。



勤務者のユキと、自営業のソウ。



社会的制裁はユキが重くなる。



抵当件を持つ債権者に見せる弱みは、最大限に少ない方が良かった。




だから、ユキではなく、ソウでないといけなかった。





「オレが燃やした。ユキは帰れ。もう、良い。燃やしたかったんだ。気持ちは変わらない。俺が燃やしたかった。お前は、帰れ。店は諦める」



「何言ってんだよ。俺が」





拒むユキに俺は言った。






「時間ないって言ってんだ。それが一番悪いんだ」





二人が首をかしげるので、俺はその時、自分が一番危惧する最悪の事態を二人に説明した。






「二人で容疑を認めたからって、罪は二分の一にはならないんだ。 俺が一人に絞れって言ってんのは、それが一番罪が少ないからって意味だ。犯人が一人なら、罪は一つ。犯人が二人なら、罪は二つ。今しか、出来ない。二人で決めろ、早く」



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