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第3章 7days 3years fights
裏切りは恋を知らぬ愚かさ故 後編<246>
しおりを挟む私はしばらくそこに呆然と立ち尽くした。
何はともあれ色々あって、色々失ってしまったな。
何て、淡い感傷に浸りながら、気を取り直して車両に移った。
お盆で中々席が見つからなかったが、何とか1列空席の窓際の席に腰を下ろして、外を眺めた。
「でも、逃げ切ったから私の勝ちだよね……」
悔しまぎれにそう呟いていた。
ふと、人の気配を感じたが、隣に人が座っただけだと気にしなかった。
「俺から、逃げ切ったつもりなら、君の負けだよ」
ぎょっとした。
否、ゾッとしたが正しかっただろう。
愛しいとか、嬉しいとか、喜ばしいとか。
そんなんじゃなかった。
驚愕とか、仰天とか、度肝ごぼう抜き、そんな類だ。
「冬野さん。 私、状況が見えません」
「君の逃走本能のはるか斜め上を目指した。俺の狡猾的、周到な、戦略による君の負け。 君と勝負をしたつもりはなかったけど、これを勝ったと思っているなら、負けだからね」
隣に冬野さんが居るなんて、嘘みたいだ。
まさかの光景が私の隣を埋め尽くしている。
窓際に座る私、通路際の冬野さん。
この期に及んで、退路を模索している自分が歯痒かった。
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