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第3章 7days 3years fights

裏切りは恋を知らぬ愚かさ故 後編<249>

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別れたくない。





冬野さんはそう言った。





愛想が尽きて、限界で、別れたいと言っていたじゃないか。





「どうしてですか?」



「……君を困らせたかった。こどもっぽい事したって、謝る位じゃ、シャレにならないけど、本当にそれに尽きるんだ。」





確かに冬野さんは。



どうしても気に入らない事あると、そっぽ向こうするところがある。




一度だけ、背中を向けられ、無視されたことがあったっけ。




短い時間だったけど。





容姿も性格も完璧な冬野さんだが、実は。



意外と、不貞腐れ屋さんなのかも知れない。




でも、だったら。





「あまのじゃくは、バイオレーションです」





バスケッボールのルールにおける、ファール(物理的接触)以外の反則技。



私の言葉に、冬野さんは静かに言った。




「ファールじゃなくて良い?」



「私に触れてない。だから……バイオレーション」





冬野さんは私の右手に手を添えた。




「でも、セイ。悪いけど、今度は俺のターン。  俺、何日振りに君と会うと思う」




コンペの準備で忙しくて2週間前から、会ってなかった。



連絡も録にしなかった。





「……アン・スポーツマン・ライク・ファールを私にどうぞ。ごめんなさい」



「じゃあ、一緒に帰ろう」



「はい」




冬野さんは私の返事を待って。隣にいる私を思いっきり両手で抱きしめた。

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