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第4章 裏切りと脅迫と忘却
snitch on ブルータス(告げ口をしたのは、身近で意外な人物) 後編<377>
しおりを挟む「本題に入る。今回の騒動の原因は俺だ。 事の発端は俺が、最初。ソウの店だったクラウンにテンを送り込んだ。 そこから、始まる。 テンは俺が冬野の店に頼みごとをしたのは、何でだと思った? テン」
竹中さんの言葉に、テンは迷わず即答した。
「フードのメニューが少なくて面白くないから、開発して来いって言ったけど? 違うの? 何でって、深く考えなかったよ」
「セイは?」
「……テンと同じ内容プラス、マキさんと喧嘩させようとしませんでした? テンの性格知ってるなら、あの人とトラブルになるのは目に見えてたと思ったんで 」
「冬野の店に通い詰めて、スタッフ気どりしてた姉ちゃんの事か?」
「多分そうです。竹中さんが頻繁に冬野さんのお店に行ってたなら、お会いしたことあるはずですよ? 茶髪ロングのちょっと性格のきつい女の人」
竹中さんは続けた。
「だったら、セイが正解だ。俺は、色恋と商売の分別が出来ない奴は好かん。一応、忠告はした。聖人君子面するばかりじゃ、仕事は出来んと……。三年居座ったのに、さっぱり居なくなったな」
聖人君子面して……。
前に一緒に水族館に言った時、冬野さんから誰かからそう言われて傷ついた事あるって、話してたけど、竹中さんが犯人か。
私も、マキさん絡みで、『人の心がないのか?』とか言われたっけ。
分かる、胸に刺さる。
「いや、マキさんなら、今もお客さんとして時々来てるよ」
酷いよ、そんな言い方。
わたしが呆れながら言うと、竹中さんは言った。
「客なら良いんだ。店側の人間に分別を求められない人間は、俺は一番嫌いだ。じゃなかったらな。 俺は、お前とテンを、面倒なんて見てねえよ」
「セイ、テン、冬野 由貴。お前らに、それぞれ、俺から言いたい事がある。良く聞け」
竹中さんは、滔々と、昔話を私たちに始めた。
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