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第4章 裏切りと脅迫と忘却

我がままを良いですか? 後編<452>

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時刻は19時30分、冬野さんと一度自宅に戻ってリビングでキスをして、カビリアンへ向かった。




「お前ら、1時間前行動という言葉を知らんのか?」




カビリアンに入るなり、そう絡んできた竹中さんに私は言った。




「今、この瞬間。生まれて初めて聞いた言葉です。 お土産の豚の角煮。 持って帰った方が良いですか?」



「話が分かるじゃねぇから。 おい、飯あるか?」




どうやら、お腹空いてたらしい。



一人でご飯食べたくなかったんだろう。




「おい、セイ」



「ソウ。 昨日はありがとう」




カウンターでイクヤとリサと談笑していたソウが、席を立って私の方にやって来た。




「ちゃんと仲良くやれてんなら、それで良い。 寝不足になる位、なんて事ねえだろ?」



「寝不足? そんな事無いよ」




私が笑顔でそう返すと、ソウは何だか顔をしかめて、ユキさんと顔を見合わせて複雑そうな顔で何か無言のコミュニケーションを取っている様だった。



ソウと冬野さんが二人で何か話をしたそうなので私はイクヤとリサのところへ行った。



今日、森林公園で幼馴染のミキとハヤトに会った事を話した。




「へぇ、二人が結婚ね」



「小学校の頃は、セイとミキとハヤトの3人で良くつるんでたよな?」



「中学でリサと一緒にバスケ始めてからは、イクヤ男バスだったし、うちら三人が増えたよね」




私達は昔話に花を咲かせながら、20時に、約束の時間ギリギリにしか来ないであろう、私の両親を待っていた。





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