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「片付け」
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文化祭を終えて、それぞれ後片付けに入っていた。俺もテントの撤去やポスターの改修などで校内を駆けずり回っていた。
そして数分後、全ての撤去を終えた。
「いやー疲れたな」
「まあね」
「もうクタクタだよ」
学校内の自販機の近くで、ジュース片手にくつろいでいた。外の方を見ると夕焼けが徐々になくなっていき、夜が近づいていた。
「北原さん! 休んでいるところ申し訳ないんだけど、校舎の外にあるポスター剥がすの手伝ってもらえる?」
「うん! いいよ! それじゃあ二人とも行ってくるね」
女子生徒に手伝いを頼まれて、北原が元気よく快諾した。
「おう!」
「行ってらっしゃい」
二人で正門の方に向かっていく北原を見送った。先ほどまで疲れていた表情を見せていたのに、呼ばれるとすぐさま顔色がもとに戻った。彼女のバイタリティーには驚かされる。
「すごいね。彼女」
「ああ、だからバーベキューの時、馬鹿みたいに肉数パックも一人で食べるんだろうな」
「言えてる」
彼女は他人のためならなんでも尽くせる人間なのだろう。
すると正門の方から誰かがこちらに走って来る。よく見ると北原を呼んだ女子生徒だった。
「ソラシノ君! 庭島君! 恵那ちゃんが連れて行かれた!」
「誰に!」
「今日、北原さんをナンパしていたお客さん」
頭の中に昼間、絡んで来た男二人が浮かんだ。
「他にもたくさんいて、バイクで連れて行かれたの」
「分かった! ありがとう! 行こう! 庭島!」
「おうよ!」
平和に終わると思っていたのに何故、こうなるんだ。ため息をこぼしながら、学校を出た。
学校を出て、バイクが出そうな大きめの道路に向かっていく。辺りを見渡していると前方の方にバイクの群れが見えた。
「多分、あいつらだ!」
「くそ! バイクなんて乗りやがって」
見失わないように目で捉えて追いかけていく。しばらく追いかけると人気のない大きな廃墟の中に入って行った。
「ここが奴らの根城か」
「絶対しめてやる」
庭島が拳の骨を鳴らしながら、工場に入っていく。俺もそれに続くように中へ向かった。
工場に入るとそこには無数の柄の悪そうな男達がいた。その中に紐で拘束されている北原が見えた。彼女が俺達を見るなり、目を丸くした。
「北原!」
「てめえ! 昼間の!」
男達の中に北原をナンパしていた二人がいた。
「へへ。今回は俺達だけじゃねえ!」
「熊谷さん!」
「おう!」
低い声とともに奥の方から目の前に百九十はありそうな褐色肌の男が出てきた。
「熊谷さん! やっちゃってください」
「任せろ! 可愛い後輩の頼みだからなあ」
熊谷と呼ばれる男が鋭い目で、俺を見下している。
「よくも俺の可愛い後輩に手を出してくれたな」
「先に俺達の友達に手を出したのは彼だ」
「宣告しておく。君達じゃ俺に勝つなんて無理だ」
そう言った瞬間、男の懐から見るからに切れ味が鋭そうな中華包丁が出て来た。
それとともに周囲の男達がこちらに迫って来た。その手にはカッターやメリケン。警棒や鉄パイプなどを持っている。
「北原! 目を閉じておけ」
「うん!」
北原が目を閉じて、頭を下に向けた。こんな残酷な場面、彼女には見せたくないと言うのが正直なところだ。
「はっ! 女の前でカッコつけんじゃねえよ」
「そりゃそうか。ボロボロに負けるダセエ姿見せたくねえもんな」
「ケヒャヒャヒャ!」
「あひゃひゃひゃひゃ!」
熊谷の下っ端の一人がそう言うと奴らが下品な笑い声を上げ始めた。
「無駄口が多いな。来いよ」
「しばらくまともに飯食えなくしてやるよ」
俺と庭島がチンピラ集団に怒りを向ける。
「野郎共! 潰せええ!」
熊谷を叫びとともに目を血走らせた男達が走って来た。
怒号に不規則な動作。まるで野獣だ。忌獣に比べれば、赤子も同然だが北原が捕らわれている。
早急に終わらせて、救出するのが最優先だ。
「サクッと終わらせるか」
俺は熊谷の振り下ろした中華包丁を躱した後、膝蹴りを奴の顔にぶつけた。
「があああ!」
吹き出る血と腫れ上がる顔。顔に目を向けると白目をむいていた。もう奴に戦闘する気力は残っていないだろう。
「そっ、そんな!」
「熊谷さんが!」
熊谷が倒れると他の不良達が露骨に狼狽え始めた。
「やる?」
「クッソ!」
「ぶっ飛ばす!」
声を荒げた男達がやって来る。しかし、奴らの攻撃はどれも単調であくびが出るほど遅かった。
「がはっ!」
「グフッ!」
「ゲホッ!」
俺は首や鳩尾辺りを集中的に狙って、襲いかかって来た奴らを倒した。
「どけや! ごら!」
「うあああああ!」
俺の近くで庭島が不良達を殴り飛ばしている。百八十後半はあるだろう長身と筋骨隆々と呼ぶにふさわしい肉体。
恵まれたフィジカルから繰り出される一撃は一般人なら一溜まりもないだろう。
気づけば辺りの不良達は全員、倒れていた。
「大丈夫?」
「おうよ! こんな奴らの拳なんか屁でもねえ。それよか北原助けるぞ」
俺は北原の方に向かおうとした時、背後から殺意を感じた。
振り返ると気絶していたはずの熊谷が中華包丁片手に庭島に斬りかかろうとしていたのだ。
「死ねえええええ!」
「させるか!」
俺は熊谷の空いた横腹に強めの張り手を打ち込んだ。
「ああああ! クソ!」
顔を歪ませながら、横腹を抑える。思った以上にしぶとい事に驚きながらも、仕掛けていく。
「くそったれえええ!」
鼻から血を流しながら、熊谷が中華包丁を振り回してくる。もう目はかなり虚ろになっていた。
「これで終わりだ」
俺は大振りで交わして、顎に強烈な一撃を食らわせた。振り切った瞬間、熊谷の目が白眼をむいて、泡を吹き始めた。今度こそ終わりだ。
戦闘を終えると庭島が既に解放してくれた北原の元に向かった。
「不安にさせて、ごめん」
「怖かった」
彼女が俺に抱きついて来た。俺は彼女を安心させようと強く抱きしめ返した。今の俺にできるのはこれくらいしかない。
俺の実力不足で友人を危険にさらしてしまった。しかも相手は一般人。いや、一般人だからこそ油断してしまったのだ。
慢心が招いた危機だ。戒めなくてはならない。北原を抱きしめながら、自分に誓った。
そして数分後、全ての撤去を終えた。
「いやー疲れたな」
「まあね」
「もうクタクタだよ」
学校内の自販機の近くで、ジュース片手にくつろいでいた。外の方を見ると夕焼けが徐々になくなっていき、夜が近づいていた。
「北原さん! 休んでいるところ申し訳ないんだけど、校舎の外にあるポスター剥がすの手伝ってもらえる?」
「うん! いいよ! それじゃあ二人とも行ってくるね」
女子生徒に手伝いを頼まれて、北原が元気よく快諾した。
「おう!」
「行ってらっしゃい」
二人で正門の方に向かっていく北原を見送った。先ほどまで疲れていた表情を見せていたのに、呼ばれるとすぐさま顔色がもとに戻った。彼女のバイタリティーには驚かされる。
「すごいね。彼女」
「ああ、だからバーベキューの時、馬鹿みたいに肉数パックも一人で食べるんだろうな」
「言えてる」
彼女は他人のためならなんでも尽くせる人間なのだろう。
すると正門の方から誰かがこちらに走って来る。よく見ると北原を呼んだ女子生徒だった。
「ソラシノ君! 庭島君! 恵那ちゃんが連れて行かれた!」
「誰に!」
「今日、北原さんをナンパしていたお客さん」
頭の中に昼間、絡んで来た男二人が浮かんだ。
「他にもたくさんいて、バイクで連れて行かれたの」
「分かった! ありがとう! 行こう! 庭島!」
「おうよ!」
平和に終わると思っていたのに何故、こうなるんだ。ため息をこぼしながら、学校を出た。
学校を出て、バイクが出そうな大きめの道路に向かっていく。辺りを見渡していると前方の方にバイクの群れが見えた。
「多分、あいつらだ!」
「くそ! バイクなんて乗りやがって」
見失わないように目で捉えて追いかけていく。しばらく追いかけると人気のない大きな廃墟の中に入って行った。
「ここが奴らの根城か」
「絶対しめてやる」
庭島が拳の骨を鳴らしながら、工場に入っていく。俺もそれに続くように中へ向かった。
工場に入るとそこには無数の柄の悪そうな男達がいた。その中に紐で拘束されている北原が見えた。彼女が俺達を見るなり、目を丸くした。
「北原!」
「てめえ! 昼間の!」
男達の中に北原をナンパしていた二人がいた。
「へへ。今回は俺達だけじゃねえ!」
「熊谷さん!」
「おう!」
低い声とともに奥の方から目の前に百九十はありそうな褐色肌の男が出てきた。
「熊谷さん! やっちゃってください」
「任せろ! 可愛い後輩の頼みだからなあ」
熊谷と呼ばれる男が鋭い目で、俺を見下している。
「よくも俺の可愛い後輩に手を出してくれたな」
「先に俺達の友達に手を出したのは彼だ」
「宣告しておく。君達じゃ俺に勝つなんて無理だ」
そう言った瞬間、男の懐から見るからに切れ味が鋭そうな中華包丁が出て来た。
それとともに周囲の男達がこちらに迫って来た。その手にはカッターやメリケン。警棒や鉄パイプなどを持っている。
「北原! 目を閉じておけ」
「うん!」
北原が目を閉じて、頭を下に向けた。こんな残酷な場面、彼女には見せたくないと言うのが正直なところだ。
「はっ! 女の前でカッコつけんじゃねえよ」
「そりゃそうか。ボロボロに負けるダセエ姿見せたくねえもんな」
「ケヒャヒャヒャ!」
「あひゃひゃひゃひゃ!」
熊谷の下っ端の一人がそう言うと奴らが下品な笑い声を上げ始めた。
「無駄口が多いな。来いよ」
「しばらくまともに飯食えなくしてやるよ」
俺と庭島がチンピラ集団に怒りを向ける。
「野郎共! 潰せええ!」
熊谷を叫びとともに目を血走らせた男達が走って来た。
怒号に不規則な動作。まるで野獣だ。忌獣に比べれば、赤子も同然だが北原が捕らわれている。
早急に終わらせて、救出するのが最優先だ。
「サクッと終わらせるか」
俺は熊谷の振り下ろした中華包丁を躱した後、膝蹴りを奴の顔にぶつけた。
「があああ!」
吹き出る血と腫れ上がる顔。顔に目を向けると白目をむいていた。もう奴に戦闘する気力は残っていないだろう。
「そっ、そんな!」
「熊谷さんが!」
熊谷が倒れると他の不良達が露骨に狼狽え始めた。
「やる?」
「クッソ!」
「ぶっ飛ばす!」
声を荒げた男達がやって来る。しかし、奴らの攻撃はどれも単調であくびが出るほど遅かった。
「がはっ!」
「グフッ!」
「ゲホッ!」
俺は首や鳩尾辺りを集中的に狙って、襲いかかって来た奴らを倒した。
「どけや! ごら!」
「うあああああ!」
俺の近くで庭島が不良達を殴り飛ばしている。百八十後半はあるだろう長身と筋骨隆々と呼ぶにふさわしい肉体。
恵まれたフィジカルから繰り出される一撃は一般人なら一溜まりもないだろう。
気づけば辺りの不良達は全員、倒れていた。
「大丈夫?」
「おうよ! こんな奴らの拳なんか屁でもねえ。それよか北原助けるぞ」
俺は北原の方に向かおうとした時、背後から殺意を感じた。
振り返ると気絶していたはずの熊谷が中華包丁片手に庭島に斬りかかろうとしていたのだ。
「死ねえええええ!」
「させるか!」
俺は熊谷の空いた横腹に強めの張り手を打ち込んだ。
「ああああ! クソ!」
顔を歪ませながら、横腹を抑える。思った以上にしぶとい事に驚きながらも、仕掛けていく。
「くそったれえええ!」
鼻から血を流しながら、熊谷が中華包丁を振り回してくる。もう目はかなり虚ろになっていた。
「これで終わりだ」
俺は大振りで交わして、顎に強烈な一撃を食らわせた。振り切った瞬間、熊谷の目が白眼をむいて、泡を吹き始めた。今度こそ終わりだ。
戦闘を終えると庭島が既に解放してくれた北原の元に向かった。
「不安にさせて、ごめん」
「怖かった」
彼女が俺に抱きついて来た。俺は彼女を安心させようと強く抱きしめ返した。今の俺にできるのはこれくらいしかない。
俺の実力不足で友人を危険にさらしてしまった。しかも相手は一般人。いや、一般人だからこそ油断してしまったのだ。
慢心が招いた危機だ。戒めなくてはならない。北原を抱きしめながら、自分に誓った。
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