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「初詣」
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年が明けた。戦場の中で年始を迎えた。全く年明けくらい休ませてほしいものだ。
血みどろのニューイヤー。めでたい日のはずなのにため息を覚える。護送車に戻り、携帯をとると北原からメールが来た。
『初詣行こ!』
断る理由などなかった。
約束の日。雪が降る中、北原を待っていた。年始という事もコンビニ以外はシャッターが連なっていた。
「お待たせー」
北原が手を振りながら、こちらにやってきた。神社参拝という事もあってか、着物姿に身を包んでいた。
「問題ない」
彼女と合流して、初詣に向かった。
「嬉しそうだね」
「ああ、俺、初詣初めてなんだ」
行事そのものは知っていたが、行ったことはなかった。人生初の初詣。一体どんなものか楽しみだ。
神社に向かうと多くの参拝客で賑わっていた。鈴を鳴らして、柏手を叩いていた。
「想像以上に多いな」
「年始だからね」
俺も彼らに習って、手を合わせた。
参拝を終えて、神社を出て近くの公園にやってきた。二人でココアを手に年末の静かな空気を感じていた。
「ねえ、ソラシノ君は神様っていると思う?」
「いないと思うけど。どうして?」
「私も正直あまり信じてないかも。だって出てきてくれないし。それにたくさんの人達がお願い事しても叶えてくれるなんてほとんどないもん」
「みんな幸せになると神頼みばっかりになって努力しなくなるからじゃないのか?」
俺自身、神や仏は信じていない。でもその類に関して考えた事くらいはある。
「そーかなあ。でもケチだとは思う!」
「そうか」
「そう!」
北原が眉間にしわを寄せた。小動物が身構えているようで少し面白い。
「このあとどうする?」
「じゃあ、私の家こない?」
彼女がにこやかなに微笑んだ。突然の誘い。内心、驚きながらも俺は彼女とともに向かった。
「ここだよ」
彼女が住んでいるマンションについた。部屋に入ると非常に清潔感のある空間が広がっていた。
「お邪魔します」
ソラシノは居間で腰を下ろした。人の家に上がるというのは初めてだ。なんの気もないのにもかかわらず、妙に緊張してしまう。
「お待たせー」
北原が茶菓子とお茶を持って来てくれた。俺の隣に座りながら、小さな口で頬張り始めた。俺も一つ口に入れた。
「美味いな」
「でしょ! これ最近のマイブームなんだー! おかげで太ったけど」
彼女が眉で八の字を作った。こうして二人でいると庭島と三人でいる時と違う空気感になる。交際とは不思議なものだ。
「今年は色々なところ行こうね。三人でも、二人でも」
「おう。二人で行こう」
どこへでも行こう。その度に俺は世界を知り、彼女のことをより知ることが出来るのだ。
「あっ! 言い忘れていた!」
「何が?」
俺は首をかしげると彼女がこっちを見た。
「明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします!」
「ああ、よろしく」
今年の年始は今まで一番、暖かなものになった。
血みどろのニューイヤー。めでたい日のはずなのにため息を覚える。護送車に戻り、携帯をとると北原からメールが来た。
『初詣行こ!』
断る理由などなかった。
約束の日。雪が降る中、北原を待っていた。年始という事もコンビニ以外はシャッターが連なっていた。
「お待たせー」
北原が手を振りながら、こちらにやってきた。神社参拝という事もあってか、着物姿に身を包んでいた。
「問題ない」
彼女と合流して、初詣に向かった。
「嬉しそうだね」
「ああ、俺、初詣初めてなんだ」
行事そのものは知っていたが、行ったことはなかった。人生初の初詣。一体どんなものか楽しみだ。
神社に向かうと多くの参拝客で賑わっていた。鈴を鳴らして、柏手を叩いていた。
「想像以上に多いな」
「年始だからね」
俺も彼らに習って、手を合わせた。
参拝を終えて、神社を出て近くの公園にやってきた。二人でココアを手に年末の静かな空気を感じていた。
「ねえ、ソラシノ君は神様っていると思う?」
「いないと思うけど。どうして?」
「私も正直あまり信じてないかも。だって出てきてくれないし。それにたくさんの人達がお願い事しても叶えてくれるなんてほとんどないもん」
「みんな幸せになると神頼みばっかりになって努力しなくなるからじゃないのか?」
俺自身、神や仏は信じていない。でもその類に関して考えた事くらいはある。
「そーかなあ。でもケチだとは思う!」
「そうか」
「そう!」
北原が眉間にしわを寄せた。小動物が身構えているようで少し面白い。
「このあとどうする?」
「じゃあ、私の家こない?」
彼女がにこやかなに微笑んだ。突然の誘い。内心、驚きながらも俺は彼女とともに向かった。
「ここだよ」
彼女が住んでいるマンションについた。部屋に入ると非常に清潔感のある空間が広がっていた。
「お邪魔します」
ソラシノは居間で腰を下ろした。人の家に上がるというのは初めてだ。なんの気もないのにもかかわらず、妙に緊張してしまう。
「お待たせー」
北原が茶菓子とお茶を持って来てくれた。俺の隣に座りながら、小さな口で頬張り始めた。俺も一つ口に入れた。
「美味いな」
「でしょ! これ最近のマイブームなんだー! おかげで太ったけど」
彼女が眉で八の字を作った。こうして二人でいると庭島と三人でいる時と違う空気感になる。交際とは不思議なものだ。
「今年は色々なところ行こうね。三人でも、二人でも」
「おう。二人で行こう」
どこへでも行こう。その度に俺は世界を知り、彼女のことをより知ることが出来るのだ。
「あっ! 言い忘れていた!」
「何が?」
俺は首をかしげると彼女がこっちを見た。
「明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします!」
「ああ、よろしく」
今年の年始は今まで一番、暖かなものになった。
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