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「幹部」
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幹部。初めて相対する存在に緊張感のあまり、生唾を飲んだ。今まで多くの戦闘員達、忌獣対策本部の幹部問わず、この存在の前に命を散らしていった。
「北谷さん。下がってください」
「はい!」
俺は彼女を後ろに下がらせた後、刀型の聖滅具を起動させた。
「苛立っているようだね。ソラシノ君」
「何故、俺の名前を」
「知っているよ! 若くして戦闘員となり、多くの忌獣と信徒を葬った存在! 忌獣を作り続けている側としては鬱陶しい限りさ!」
どうやら思った以上に俺の事は知られているらしい。だけど関係ない。俺がやる事はいつだって一つだ。
「お前を討伐する」
「やれるもんならやってみろ!」
契が叫んだ後、腕を地面につけた。その瞬間、地面から数本の黒い手が生えて来た。その手が蛇のように動いて俺や北谷さんを掴もうとしてくる。
俺は刀身を振るって、近づいて来た複数の手を斬った。しかし、斬ったらその都度別の所から生えてくる。その厄介な部分に思わず、憤りを覚える。
「はっ!」
北谷さんも銃型の聖滅具を起動させて、応戦を始めた。しかし、それでもキリがない。
俺は契の方に目を向けた。奴は苦戦するこちらの様子を見て、笑みを浮かべていた。だけど奴の能力がなんとなく理解できた。
「北谷さん。ちょっと」
俺は彼女の近くに駆け寄って、耳元でとある事を伝えた。
「わかったわ」
彼女は頷くと来た道を引き返した。
「ふん。恐れをなしたか。それとも増援か。させるか」
北谷さんを捕らえようと腕が伸びるが、俺が全て切り落とした。
「邪魔はさせない」
「邪魔をするな!」
奴の叫び声と同時にこれまで以上に多くの手がこちらに向かって来た。右の茂みから。足元。ありとあらゆる所から手が伸びる。
命を握りつぶす手。これでどれだけの人間が殺められて来たことか。しかし、それも今日で終わりだ。俺がこいつを討伐する。
切り進めながら、奴との間合いを詰めていく。一歩。また一歩。確実に距離を詰める。もうすぐだ。俺の予想が正しければ勝てる。
「くっ!」
奴が後ろに下がった時、無数に動いていた手が止まった。その数秒後、発砲音が聞こえた。
弾は見事、契の顳顬に着弾した。弾が飛んで来た方を見ると、茂みの中で北谷さんが聖滅具を構えていた。
作戦は上手く行った。奴の能力は地面や壁に自分の手を固定しないと発動できない。だから頑なに動かなかったのだ。それを察した俺は彼女に逃げるように見せかけて、近くの茂みから手が動かなくなった瞬間、狙撃するように言った。
そして、詰め寄る俺に意識が向かっていたため、茂みの中にいる彼女の存在に気付けなかったのだ。
「やったわね」
「ええ、なんとか」
北谷さんと合致した瞬間、契の死体が動いた。
「確実に脳を撃ち抜いたはずだ」
「ええ。なのにどうして」
動揺している俺達を尻目に契の体が四方八方に揺れ始めて、とうとう姿を変えた。
忌獣だ。
「グオオオオオオ!」
突然、耳を劈くような雄叫びを上げ始めた。すると洞窟の奥から何か大きな物音が聞こえた。
「どうやら本当の戦いはこれかららしいな」
俺は再度、武器を構えた。
「北谷さん。下がってください」
「はい!」
俺は彼女を後ろに下がらせた後、刀型の聖滅具を起動させた。
「苛立っているようだね。ソラシノ君」
「何故、俺の名前を」
「知っているよ! 若くして戦闘員となり、多くの忌獣と信徒を葬った存在! 忌獣を作り続けている側としては鬱陶しい限りさ!」
どうやら思った以上に俺の事は知られているらしい。だけど関係ない。俺がやる事はいつだって一つだ。
「お前を討伐する」
「やれるもんならやってみろ!」
契が叫んだ後、腕を地面につけた。その瞬間、地面から数本の黒い手が生えて来た。その手が蛇のように動いて俺や北谷さんを掴もうとしてくる。
俺は刀身を振るって、近づいて来た複数の手を斬った。しかし、斬ったらその都度別の所から生えてくる。その厄介な部分に思わず、憤りを覚える。
「はっ!」
北谷さんも銃型の聖滅具を起動させて、応戦を始めた。しかし、それでもキリがない。
俺は契の方に目を向けた。奴は苦戦するこちらの様子を見て、笑みを浮かべていた。だけど奴の能力がなんとなく理解できた。
「北谷さん。ちょっと」
俺は彼女の近くに駆け寄って、耳元でとある事を伝えた。
「わかったわ」
彼女は頷くと来た道を引き返した。
「ふん。恐れをなしたか。それとも増援か。させるか」
北谷さんを捕らえようと腕が伸びるが、俺が全て切り落とした。
「邪魔はさせない」
「邪魔をするな!」
奴の叫び声と同時にこれまで以上に多くの手がこちらに向かって来た。右の茂みから。足元。ありとあらゆる所から手が伸びる。
命を握りつぶす手。これでどれだけの人間が殺められて来たことか。しかし、それも今日で終わりだ。俺がこいつを討伐する。
切り進めながら、奴との間合いを詰めていく。一歩。また一歩。確実に距離を詰める。もうすぐだ。俺の予想が正しければ勝てる。
「くっ!」
奴が後ろに下がった時、無数に動いていた手が止まった。その数秒後、発砲音が聞こえた。
弾は見事、契の顳顬に着弾した。弾が飛んで来た方を見ると、茂みの中で北谷さんが聖滅具を構えていた。
作戦は上手く行った。奴の能力は地面や壁に自分の手を固定しないと発動できない。だから頑なに動かなかったのだ。それを察した俺は彼女に逃げるように見せかけて、近くの茂みから手が動かなくなった瞬間、狙撃するように言った。
そして、詰め寄る俺に意識が向かっていたため、茂みの中にいる彼女の存在に気付けなかったのだ。
「やったわね」
「ええ、なんとか」
北谷さんと合致した瞬間、契の死体が動いた。
「確実に脳を撃ち抜いたはずだ」
「ええ。なのにどうして」
動揺している俺達を尻目に契の体が四方八方に揺れ始めて、とうとう姿を変えた。
忌獣だ。
「グオオオオオオ!」
突然、耳を劈くような雄叫びを上げ始めた。すると洞窟の奥から何か大きな物音が聞こえた。
「どうやら本当の戦いはこれかららしいな」
俺は再度、武器を構えた。
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