平凡を望む、されど...

わか

文字の大きさ
8 / 21
召喚士

第8話 偵察

しおりを挟む
前書き

前回のあらすじ

エルフを怒らせる主人公


本文


 (さて、どうしたもんのか...)

 激おこのエルフ、俺が復讐する相手ではない。これは、エレノアさんの戦いである。

 「あー、君は、俺が謝れば済むのか?」

 「もう、許さない。私はお前を成敗する!」

 「そうか...ここでは、観客が多い。着いてこい。」

 激おこエルフを挑発した上で指図する俺。俺がやられたら間違いなくキレるな。あはは。
 俺は、エルフに背を向けエレノアさんがいると思われる場所へ走る。召喚した疾風の靴を履いているため、日本にいる頃よりも速く走れる。

 「まてぇええっ!」

 (さすがに街の中で魔法を放つことはしないか。)

 友好の指輪は、俺とエレノアさんにしか見えない魔力の線で繋がっている。まだ距離がある。

 「風の刃ウィンドカッター!」

 路地に入った瞬間、魔法ぶっぱなしてきた。俺は背後にいるエルフの方へ向き、何処かにある土壁を召喚する。

 「なっ!?無詠唱魔法だとっ...」

 風の刃ウィンドカッターで土壁が破壊されるが時間は稼いだ。俺は、再びエルフに背を向け走り出す。その際、手榴弾をばら撒く。

 「アハハハハハッ!この程度で死ぬなよぉ!レジスタンスのエルフさん!!」

 「くっ!なぜそれを知っている!?」

 「何驚いているんだ?レジスタンスのことを知っている俺を殺すのか?」

 「その口を閉じろおおっ!」

 (早く、早く助けに来てエレノアさーーーん!)

 速く走れるといっても体力は日本にいた頃とあまり変わらない。レベルアップという概念があるのであれば、モンスターでレベルアップしているはず。だが、体力は変わっていない。つまりレベルアップの概念はない。キツい、早く。

 「タスケテクダサーーイ!騎士さまーーーっ!エルフに襲われていまーーーす!」

 「き、き、き、き、キサマーーァッ!どこまで俺をコケにするんだ」

 (エレノアさんの方に誘導しているんだが、一向に会わねー...。なんか面倒になってきたな。やめだ、やめ。)

 俺は、立ち止まり何度目か分からないがエルフの男に向き合う。俺がエレノアさんの方に行くのではなく来てもらおうか。

 「やっと止まったか...覚悟が出来たのだな?」

 「覚悟?そうだな、お前をぶっ飛ばす覚悟が出来たよ。先手必勝!召喚サモン、アサルトライフル!ヒャッハーーーッ!」

 連射される弾丸がエルフの身体を何発も貫通していく。これだけの銃声が鳴れば異変を察知してエレノアさんが来てくれるはず...っと思った矢先、後方で爆発が起き煙が立っている。

 「この爆発は、手榴弾か?ってことは...もう1人のエルフと戦闘が起きたのかも。ここに人が来るかもしれないし、宿に戻るか。」

 爆発音と共に雄叫びが聞こえる。恐らくレジスタンスのアジトの襲撃が出来たと思われる。そうなると、レジスタンスと騎士団との交戦も始まるはず。

 (お腹がすいたらエレノアさんも帰ってくるだろ。うーん、やっぱり様子見に行くか?)

 「エルさん!」

 「おっ!どうだ...った!?」

 「いたぞっ!!全員でかかれー!」

 「ぇぇええ!?なんでレジスタンスがこんなに?」

 「しくじりました…てへっ。」

 クソったれ!こんな時にてへっとか可愛くないんだよ!また持久走かよ、勘弁してくれ。
 俺とエレノアさんは街の中をひたすら駆け抜ける。市街にもかかわらず魔法が飛ぶわ飛ぶ。死傷者も多く出たのでは?と思うほど多くの魔法が飛び交う。うん?俺たち?ダメージを肩代わりしてくれる宝具のお陰で無傷である。
 身代わりの宝具(指輪型)、膨大な魔力を事前に注ぎ込むことによって使用者の意思とは関係なく身体に大きなダメージを受けると思われる攻撃を弾いてくれる。この身代わりの宝具、事前準備の段階で俺とエレノアさんで各10個用意してある。魔力チャージは召喚によっていくらでも可能。無敵の宝具なのだ!

 「はぁ、はぁ、はぁ。エレノアさん、身代わりの宝具、あといくつ残っている?」

 「はぁ、はぁ。あと3つ程ですね...これが無ければ、とっくに死んでましたね。」

 「はぁ、はぁー。もう追っては来ないか?ふぅー。どうやら巻いたようだね。近くの宿に避難しよう。もうクタクタ。」

 エレノアさんも同意見なのか軽く頷き宿屋までの案内をしてくれる。宿屋に着いてすぐフード付きのローブを脱ぎベッドに倒れ込む。

 「たはーっ。絶対明日筋肉痛だわ、これ。身体が癒えるまで大人しくしておこう。」

 「そうですね。さすがにもう走れませんし。私がミスしたばっかりに...本当に申し訳ありません。」

 ベッドの上で土下座するエレノアさんを見て、慌てて顔を上げるよう伝える。確かに、宝具がなければ死んでいたかもしれないけど、こうやって五体満足で生きているわけだし問題ない。その事を伝えると安堵した表情で横になるエレノアさん。
 宿の受付には3泊分のお金を支払っているからのんびり出来る。

 「適当に飯を置いておくから食べて。あと、明日でいいからレジスタンスのこと教えて。」

 「分かりました。そして、ありがとうございます。」

 俺は、ベッドの近くにあるサイドテーブルに召喚した飯と水を置き力尽きたかのように眠りにつく。

 (もう、動きたくない。おやすみ...)


後書き

次回 準備

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

今更……助けてくれと……言われても……

#Daki-Makura
ファンタジー
出奔した息子から手紙が届いた…… 今更……助けてくれと……言われても……

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 【ご報告】 2月28日より、第五章の連載を再開いたします。毎週金・土・日の20時に更新予定です。 また、誤字脱字の修正および一部表現の見直しを行いました。ただし、記載内容の趣旨に大きな変更はございません。 引き続きよろしくお願いいたします。

処理中です...